10―49
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パーティメンバーたちが『キャンプルーム』から出て行き、裏口の扉が閉められたのを確認してから、僕はホムンクルスたちを呼び出す。
『オフェーリア』『オフィリス』
「お呼びですか? ご主人様」
「二人とも、召喚されたら、必ず【トゥルーサイト】と【レーダー】を起動してね」
「ハッ!」
「分かりましたわ」
僕は、近くのテーブルの席に座った。
「じゃあ、これからオフィリスに憑依するから、オフェーリアは、ここで僕の体を護衛していて」
「畏まりました」
テーブルに突っ伏して目を閉じる。
『オフィリス憑依』
そう念じると突然、立った状態で目を開けていた。
視線の先には、テーブルに突っ伏した僕の後ろ姿が見える。
『フェリアのメイド服』は、丈が膝上くらいのスカートなので、太ももや股間がスースーする。
オフィリスは、フェリスに似せて作ったので、エルフのような肩幅の狭い華奢な身体つきになったのも違和感がある。
『オフィリス、【インビジブル】と【ナイトサイト】と【レビテート】を起動して』
『分かりましたわ』
『じゃあ、あの扉から外に出て』
『はいですわ』
体が僕の意志に反して勝手に動き出した――。
体の感覚はあるのに自由に体を動かすことができない。
しかし、僕の意志とは無関係に体が勝手に動いているという状態だった。
オフィリスは、『キャンプルーム』内を移動して裏口の扉を開けて外へ出た。
そして、裏口の扉を閉める。
『【レビテート】で森の上に移動して』
『分かりましたわ』
次の瞬間、エレベーターに乗って上昇するような感覚に見舞われた。
オフィリスは、木の枝を避けながら、森の上空へ移動する。
上昇が止まった。【レビテート】の限界高度に達したようだ。
『パーティメンバーたちの様子を見て』
『はい』
オフィリスが視線を下げる。
視線の先にV字型に【ストーンウォール】で陣地が築かれているのが見えた。
矢避けの【ストーンウォール】も設置されている。
レリアとアリシアは、矢避けの【ストーンウォール】に腰掛けていた。
ここからだと、陣地までは30メートル以上の距離があるだろう。
【レビテート】自体が30メートルほどの高さまで上昇することができるので、斜め上から見下ろしているこの位置からは、それ以上の距離があるということだ。
――ドォーンッ!
陣地の前の広場で炎が爆発した。
それほど大きな爆発ではない。
アリシアが【ファイアボール】を使ったのだ。
――ドォーンッ!
続けてレリアが【ファイアボール】でオークの集団を攻撃した。
この調子なら、かなり早くオーク共を殲滅できるだろう。
『オフィリス、このままここで待機していて』
『分かりましたわ』
僕は、オフィリスの視界を使って、パーティメンバーたちが戦う様子を観戦した――。
◇ ◇ ◇
その後、オークたちは、『東の大陸』の時間で昼の12時前には殲滅された。
前回のようにオーク・プリーストを先に片付けていなかったので、オーク・ウォーリアのHPを回復されたりしていたが、レリアとアリシアが優先的にオーク・プリーストを倒していったので、極端な効率低下は無かったと思う。
むしろ、余裕を持ってオークを殲滅できたという印象だ。
彼女たちは、それくらい強くなったのだ。
勿論、僕が与えた装備による効果もあるだろう。
今までの装備だったら、ずっと時間が掛かった筈だ。
パーティメンバーたちが引き上げて『キャンプルーム』の裏口のほうへ歩いて行く。
『降りて、「キャンプルーム」へ戻って』
『畏まりましたわ』
オフィリスが【レビテート】で降下する。
エレベーターで下降するような感覚に見舞われた。
【レビテート】による下降では、スカートが捲れたりすることはなかった。
最初に加速するときにフワッとなったが、【レビテート】では風を下から受けることがないようだ。
――ガチャ
オフィリスが裏口の扉を開けて中に入った。
『僕の後ろまで移動して』
『分かりましたわ』
オフィリスが僕の後ろまで移動した。
――ガチャ
裏口の扉が開いて、パーティメンバーたちが帰ってきた。
「あっ、ユーイチの奴、寝てやがるぜ!」
「本当ですわ」
「
「ホントですわね。悪戯してあげましょうか?」
「おっ、いいなそれ」
カーラが僕の体に触れようとした。
「お待ちなさい!」
オフェーリアがそれを静止する。
「な、なんだ?」
「ご主人様に触れてはいけません」
「カーラ、止めなさい。そのメイドは危険よ」
アリシアがそう言った。
「触ったらどうするんだよ?」
「殺します」
「ちょっ、何言ってんだ?」
オフェーリアが白い光に包まれて武装した。
メイド服姿なのは変わりないが、背中の腰の辺りに『アダマンタイトの小太刀+30』を二本装備している。
オフェーリアが『アダマンタイトの小太刀+30』を抜いてカーラの前に出た。
「オイ、ちょっと……」
カーラは、青くなって後ろへ下がった。
『憑依解除』
僕は、憑依を解除して自分の体に戻った。
目を開けて体を起こす。
「オフェーリア、そこまでだ」
「ハッ!」
オフェーリアが白い光に包まれて武装を解除した。
僕は、オフェーリアとオフィリスを『アイテムストレージ』へ戻す。
白い光に包まれてオフェーリアとオフィリスが消え去った。
「ユ、ユーイチ、あのメイドは……?」
カーラが怯えた声で聞いてきた。
「ああ、僕が寝ている間、護衛してもらっていたんですよ」
「マジでオレを殺そうとしたんだけど?」
「ホムンクルスたちは融通が利かないので、気をつけてください。敵対すると簡単に殺されてしまいますよ」
「ああ……。死ぬかと思ったぜ……」
「早かったですね。まだ、朝の5時前ですよ」
「ええ、レリアが最初から攻撃に参加したから早く終わったわ」
「この調子なら、次の課外活動は余裕でオークの拠点を叩けそうですね」
「そうね。オークに囚われた女性たちを救出しましょう」
「
「オレは、たった今、無くしたぜ……」
「ユーイチが使役する者と比較してどうする」
「そうよ。あのメイドはバケモノよ。あたしたちが束になっても敵わないわ」
僕は、気になったことを聞いてみる。
「そういえば、ホムンクルスの強さも見ただけで分かるのですか?」
「それが……モンスターや冒険者に比べて強さが分かりづらいのよ。あのメイドを初めて見たとき、あなたに比べてそれほど強そうには見えなかったのだけれど……捕まえられて初めて気付いたわ」
アリシアが夜這いに来て捕まったときのことを話した。
「オレも殺気を向けられるまでは、あそこまで強いとは感じなかったんだよな。マジでチビるかと思ったぜ」
「前に
「それはそうだけど、想像していたよりもずっと強かったってことだよ」
――今日は、8月1日(日)だ。
新しい月の始まりの日だった。
「今日は、休日ですが、どうします?」
「そうね。お風呂に入りながら考えましょ」
「そうですわね」
「風呂でサッパリしたいぜ」
「行きましょ、ユーイチ」
アリシアが座っている僕の腕を取って、浴場の扉へ誘った――。
◇ ◇ ◇
――チャポン……
僕は、パーティメンバーたちと湯船に入っていた。
体育座りで湯船の端にもたれ、目を閉じていると、カーラが話し掛けてきた。
「ユーイチは、そんな格好してないで、もっと
「寛いでますよ」
目を閉じたまま返事をする。
――ザバーッ……
湯船の中を移動する音がした。
むにゅっと膝に柔らかい感触が当たる。
目を開けると、カーラが僕の膝に伸し掛かっていた。
体育座りをしている僕の膝の上に胸を載せて、両手で僕の肩を掴んだ。
「カーラ、何を……」
「カーラ、はしたないですわよ!」
レティシアがカーラを注意する。
「なぁ、ユーイチ。マジでオレたちを抱いてくれないか?」
「何を言って……?」
「もう、我慢できないんだよ……」
「カーラ! 隊内で問題を起こさないで!」
「クリスもユーイチに抱かれたくねーか?」
「なっ、何を言ってるのよ……」
「オレたちは、刻印を刻んでいるから、男と寝たところで何のリスクもないんだぜ?」
「あなたと一緒にしないでくださいまし!」
「レティは、クラウスを裏切れないか?」
「また、そんなことを……」
「ユーイチくん、あたくしもそろそろ限界なのですわ……」
どうやら、カーラとグレースは、ここ一ヶ月くらい男断ちをしていたせいか、ストレスが溜まっているようだ。
レリアとアリシアは、この話題に参加するのを避けている。下手に口を挟むと槍玉に挙げられてしまうからだろう。
「フェデリコさんに相談しては?」
「本気で言ってるのかよ?」
「ええ……。それが何か?」
「くっ……。お前にとってオレはその程度の女なんだな……」
カーラが悔しそうにそう言った。
「当たり前でしょう? 何を期待していますの?」
レティシアがカーラに追い打ちを掛けるように言った。
「あの、前にも言った通り、僕には心に決めた女性が居ますから……」
「その女と結ばれるのは、いつになるんだよ?」
「それは……分かりません……」
「んだよ……そんなに待てねーぞ……」
――やっぱり、僕は子供だな……。
いくらこの世界で強くなったと言っても、こういうときに自分が子供だということを思い知らされる。
女性に求められても、それに応えることができないのだ。
『ワイルドな大人の男なら、ここで野獣に豹変してカーラの望みを叶えることができるんだろうな……』
僕は、話題を変えることにした。
クリスティーナに今後の予定について尋ねる。
「それよりも、今日は、この後、どうします?」
「まだ、朝の5時過ぎだから、少し早いわね」
「何時にこの宿を出るのですか?」
「10時までに出ればいいのだけれど……」
「少し寝ますか?」
「そうね。魔力を回復したいし、8時過ぎまで眠ってもいいわね」
「宿を出たら、どうしますか?」
「ユーイチは、何処か行きたいところはないの?」
「そうですね……マジックアイテムとか売ってる店があったら見てみたいですね」
「ええ、案内するわ」
「『東の大陸』の村人に聞いたのですが、靴などは【工房】のスキルを持った行商人が直接作成してくれるということでしたが、この街でもそんな感じなのでしょうか?」
「【工房】のスキルを持った職人が町人のために靴を直接作ることは無いわね。靴屋が職人にいろいろなサイズを発注して仕入れるのよ」
「へー、靴の他にも【工房】で作られているものはあるのですか?」
「ええ、多くのものが【工房】で作成されているわよ」
「例えば?」
「衣類や鞄、家具や様々な道具、多くの日用品が【工房】で作成されているわ。調味料なんかもね」
「調味料もですか?」
「ええ」
調味料は、【料理】で作られていそうに思うが、【工房】で作られているようだ。
例えば、塩は、塩化ナトリウムが主成分だし、【工房】で作ろうと思えば作れるのかもしれない。
【料理】は、食材や調味料をイメージした通りに組合せて加工するスキルで、【工房】はイメージしたアイテムを作成するスキルだからだ。
「なぁ、無視されると辛いんだが……?」
カーラがそう言った。
「何がですか?」
「お前なぁ……裸の女にこんなくっつかれているのに何も感じねーのかよ?」
「いえ、意識しないようにしてますから……」
僕の膝でカーラの胸が潰れている感触は、凄く扇情的だが、敢えて気にしないようにしていた。
裸の使い魔たちに抱きつかれたことは何度もある。
その経験から、意識を逸らす
「ユーイチ、頼むぜ……お前が天井のシミを数えている間に済ましちまうからさ……な?」
『魔法建築物である、この『キャンプルーム』の天井にシミなど存在しない……』
僕は、心の中でそう突っ込んでから、カーラのストレスを解消する方法を思いついた。
「カーラのストレスを解消する方法を知っているのですが、試してみますか?」
「どんな方法だ?」
「それは、秘密です」
「面白そうですわね」
グレースも食いついてきた。
「いいぜ。やってみろよ。オレの身体をユーイチの自由にしてもいいからさ」
「あたくしにもお願いしますわ」
「では……」
『ルート・ニンフ召喚』
僕は、背後の洗い場にルート・ニンフを召喚した。
「旦那さま……」
「なっ……」
「ルート・ニンフ、ニンフたちを8人召喚して」
「分かったわ」
振り向くと洗い場に8人のニンフたちが光の中から現れた。
ニンフ1とニンフ2は、くノ一のような格好をしている。
召喚されたニンフたちは、白い光に包まれて裸になった。
ルート・ニンフは、最初から裸だ。
風呂場で召喚されたので、すぐに裸になったのだろう。
「じゃあ、この女性。カーラって言うんだけど、彼女をマットで可愛がってあげて。あ、4人は、この人。グレースさんをお願い」
「「分かった」」
『ラブマット』『ラブマット』
洗い場に『アイテムストレージ』から『ラブマット』を2つ設置した。
――ザバッ
――ザバッ
裸のニンフたちが僕の左右から湯船に入ってきた。
「オイ、ちょっと……」
左右からカーラを捕まえて、抱き上げた。
「うわっ!」
背中に片腕を回し、もう片方の手で膝を抱えている。
「ちょ、こんな格好、恥ずかしいぜ!?」
足が開かれ、カーラの見えてはいけない部分が丸見えになる。
僕は、慌てて目を逸らした。
ニンフたちは、カーラを抱えて僕の頭の上を越え、マットに移動して行った。
――ザバッ
――ザバッ
また、2人のニンフが湯船に入ってきて、今度はグレースを抱え上げた。
「あらあら……。この格好は恥ずかしいですわね……」
そして、グレースを抱えてマットへ移動して行く。
「ああっ、ちょ、止めろ! ユーイチ! 何とかしてくれ!?」
カーラが助けを求めているが無視した。
「ああん、そこは駄目ですわ……」
グレースもニンフたちに奉仕され始めたようだ。
「ねぇ、ユーイチ? 大丈夫なの?」
クリスティーナが聞いてきた。
「彼女たちの欲求不満は、ニンフたちが解消してくれるはずです」
「
「マットを出しますから、その上で眠ったらどうですか?」
レティシアが話に割り込んで質問をしてくる。
「裸でですの?」
「いえ、寝間着に着替えればいいじゃないですか」
「そうですわね」
『装備7換装』
僕は、湯船の中で寝間着に着替えた。
――ザバッ
そして立ち上がった。
『ラブマット』『ラブマット』『ラブマット』
『ラブマット』を3つ空いた場所に出した。
「広いので二人一組で使ってください」
「ええ、分かったわ……」
『キャンプルーム』
僕は、濡れた浴衣を乾かすために『キャンプルーム』の扉を一瞬だけ召喚した後、『アイテムストレージ』に戻すことで、自動清掃機能を発動させてから、一番端の『ラブマット』まで移動して、マットの上に仰向けで横になる。
『オフェーリア』
護衛にオフェーリアを召喚した。
「オフェーリア、僕の貞操を守って」
「畏まりました」
オフェーリアがマットに上がり、僕の上に跨る。
そして、抱き着くように覆いかぶさった。
オフェーリアの身体がお腹から太ももの辺りまで密着しているのを感じる
お腹の辺りには、柔らかい二つの双丘が乗っていた。
『【08:00】まで睡眠』
僕は、オフェーリアの体温を感じながら眠りに就いた――。
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