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「ユーイチ様……」


 料亭『涼香すずか』の女将スズカに呼ばれて目を開ける。

 そろそろ出かける時刻なのだろう。


「すぐに、出られますか?」

「もう少し大丈夫ですわ」


 僕は、身体にしがみついているニンフたちを押しのけてマットの中で身体を起こした。


「「あんっ」」


 ニンフたちが小さく声を上げた。

『ハーレム』の扉を一瞬帰還させて、自動清掃機能を発動させる。

 そして、【フライ】で飛行して湯船に向かった。


 湯船で腰を下ろすと、後ろからついてきた使い魔たちが僕の周りを取り囲んだ。


「座って」


 ――ザバーッ!


「スズカさん」

「何でしょう? ユーイチ様?」


 ――ザバッ


 スズカが立ち上がって、僕の前に来た。


「この世界の年齢について教えてほしいのですが、生まれたばかりの赤ん坊は、0歳ですよね?」

「いいえ、1歳ですわ」


 この世界は、数え年が一般的なようだ。つまり、リエは、元の世界だと14歳だったということになる……。


『ああ……これは落ち込むなぁ……』


「どうなさいました?」


 スズカが僕が落ち込んでいるのを見て声を掛けてきた。


「いや、年端としはもいかない少女を娼婦にしてしまったことに罪悪感を感じまして……」

「あらあら、そんなことを気に病む必要はございませんわ。10歳で身体を売る少女もりますわよ」


 この世界には、モラルが欠如しているようだ。いや、元の世界でも半世紀ほど前には、途上国で似たようなことが行われていたと聞いたことがあるので、人間という生物の度し難い本性なのかもしれない。

 日本でもデフレでブラック企業が台頭たいとうした時代があったようだ。同一労働同一賃金の原則や重労働には報酬を多く、簡単な仕事は報酬をそれなりにと叫ばれ、ここ四半世紀の間に労働環境が改善されたらしい。政治経済の授業で桐山先生がそんな話をしていた記憶がある。


「ユーイチさま……」


 スズカは、僕のすぐ側に近づいてきて、僕の頭をでた。

 彼女から見れば、僕は子供のような年齢に見えるのかもしれない。

 実際、実年齢は僕の母親よりも上だろう。

 目を閉じて、しばらくスズカの愛撫あいぶを受けた。


いやされるなぁ……』


「ありがとう」


 僕は、目を開けた。

 目の前にスズカの裸体が目に飛び込んできてドギマギした。

 僕は首を振って邪念を振り払う。

 今日は忙しいので、こんなことをしている場合ではない。


「じゃあ、そろそろ時間だろうし、『ロッジ』に戻ろう……」

「畏まりましたわ」


 僕は、『ハーレム』を後にした――。


 ◇ ◇ ◇


『装備2』に換装して『ハーレム』を出た僕は、『ロッジ』のいつもの席に座った。

 裸で出てきた使い魔たちには服を着るよう指示した。


【工房】→『装備作成』→『レシピから作成』


 目を閉じて、まだ装備を渡していない新しい使い魔たちの装備を作成する。


 ・魔布の白無垢しろむく

 ・竜革の白草履しろぞうり

 ・魔布の黒ブラジャー

 ・魔布の黒Tバックパンティー

 ・魔布のクローク+10


 それらをレシピから6セット作って、目を開ける。


「トモコと昨日身請けした3人の娼婦、それから、アヤカとリエは、こっちに来て」

「「はいっ」」


 僕の前にトモコ、アオイ、エリコ、ナツメ、アヤカ、リエが並んだ。


『トレード』


 白無垢と草履、黒の下着、フード付の外套がいとうを配った。


「フフフ……これが、坊やの娼婦の正装なのかい?」

「まぁ、そうですね。外套は、外出用です。それ以外に着る物が欲しかったら、【工房】で作るなり、買うなりしてください」

「ありがとうね」

「「ありがとうございます」」

「ふふっ……ありがとうございます。ご主人様……」

「ありがとうございます!」


 口々に礼を言ってきた。


「じゃあ、着替えてみて。トモコ以外は、『装備』→『全て装備』→『換装』と順番に念じれば、装備できるよ」


 トモコ以外は、白無垢の上にフード付の外套をまとった姿となる。トモコは、白無垢姿だ。刻印の使い方がよく分かってるために適切な装備を装着したようだ。最近、刻印を刻んだばかりの僕よりも経験豊富だろう。


「屋内では、基本的に外套は装備から外しておいて」

「「はいっ」」


 自分は、屋内でも外套を着たままなのに、娼婦たちにはそう命じた。


「ユーイチ様」


 一段落したところで、スズカがやってきた。店に戻る時間なのだろう。


「あ、扉を召喚しますね」


『ロッジ』


『ロッジ』の扉を召喚した。


「ありがとうございます。では、行って参りますわ」

「いってらっしゃい」


「ご主人様、わたくしも行って参ります」


 女中のタカコもスズカの後に続いた。


「いってらっしゃい」


「あたしも帰るよ」


 トモコも『春夢亭しゅんむてい』へ帰るようだ。


「はい、ではまた」

「またね、坊や。娼館が出来たら見に行くよ」


 三人を見送った後、僕は『ロッジ』の扉を帰還させた。


『所持金』


―――――――――――――――――――――――――――――


 所持金 …………… 9175803.96ゴールド


―――――――――――――――――――――――――――――


 昨夜のトロール討伐で稼いだため、娼婦の装備などにかなり出費があったにも関わらず、900万ゴールド以上の所持金となっていた。

 今日は、用地買収のために『組合』へ行く日だ。すぐに娼館を建てられるように【工房】で作ってしまおう。


【工房】→『アイテム作成』


 僕は、目を閉じて娼館の設計を再開した。

 ほぼイメージは固まっているので、細部の確認だ。


 娼館内の扉は、トイレのドアを除いて、全て僕か僕の使い魔にしか開けられないように設定する。これで、内部に不審者が入り込むのを防ぐことができるだろう。念のため、娼婦たちにも【トゥルーサイト】を常に起動しておくように言っておけば、【インビジブル】を使って侵入しようとした者も察知できる。魔力系魔術が使えるのは、僕たちだけではないのだ。警戒しておくに越したことはない。


 自動清掃機能は、サービスを行う部屋では、入り口の鍵を掛けた時と開けたときの両方で発動するようにする。トイレは、入り口のドアを開閉したときと、小部屋のドアの鍵を掛けた時と開けたときに発動するようにしよう。娼婦たちの個室もドアの開閉で発動するように設定する。また、それ以外の場所は、全館で1日4回6時間ごとに発動するように設定する。つまり、0時と6時、12時、18時に自動的に発動するのだ。その他にも玄関の扉を閉めた時にも発動させる。

 これで娼館内では、掃除の必要がなくなるだろう。玄関先を掃く程度のことはする必要があるかもしれないが。

 また、入り口の開口部には【エアプロテクション】の魔法を設置する。これで、外からの風雨を遮断できるはずだ。


トイレの個室に使い方を書いた説明書きを入れた方がいいだろう。洋式トイレなので、この世界の人間には使い方が分からない可能性が高いからだ。絵を入れて図解した分かりやすい説明書きを作った。そして、全てのトイレの個室の奥に貼り付けた。


 娼館自体は、出し入れ可能なマジックアイテムではなく、現実の空間に設置する魔法建築物として作成するが、裏口の扉をマジックアイテムとして僕が所持することにする。

 いつものように以下の条件を付加しておく。


―――――――――――――――――――――――――――――


 追加条件1:分解不可

 追加条件2:譲渡不可


―――――――――――――――――――――――――――――


 最後に玄関扉の上に看板を設置する。看板に書くために店の名前を決めないといけない。

『春夢亭』みたいな名前にすればいいのだろうか?

 ○○亭というのは、旅館に付けられることが多いようなので、宿泊施設ではない僕が作る娼館には相応しくないだろう。

 逆にインパクト重視で西洋風の名前にしてはどうだろう?


『例えば、「サキュバス」とか……この世界の住人には意味不明かもしれないしなぁ……』


 サキュバスを和風にすると夢魔だ。では、『夢魔の館』というのはどうだろう?

『魔』というのは、イメージが悪いかもしれないが、娼婦という夢魔に精気をしぼり取られる館というのは、イメージにピッタリだと思う。

 看板のデザインは、ダークブルーの下地に黒で翼を持つサキュバスのシルエットを描き、それに重ねて『夢魔の館』という文字を赤で入れてみた。


 僕は、最終的な確認を行う。

 イメージ映像の中をゲームのように移動して問題点がないかチェックしていく。

 十分にチェックしてから、僕は[作成]ボタンを押すイメージをする。

『「エアプロテクションの刻印石」と魔法石が245個必要です。よろしいですか?』というメッセージが【工房】のウィンドウに表示された。

 僕は、【魔術作成】で『エアプロテクションの刻印石』を作成し、【商取引】で魔法石を245個購入してから娼館を作成した。

『アイテムに名前を付けてください』と表示されたので、『夢魔の館』と設定した。


『アイテムストレージ』を確認すると、『夢魔の館』と『夢魔の館・裏口』という二つのアイテムが追加されている。

 この状態で、裏口を召喚したらどうなるのだろうと思って、召喚しようとしたら、『このアイテムは、現在使えません』とエラーが表示された。

『夢魔の館』が実体化していないためだろう。


『現在時刻』


 現在の時刻は、【09:19】だった。


「ユウコさん、ユキさん、時間はいいのですか?」

「おお、主殿あるじどの。今日は、用地の買収に『組合』へ行くのじゃろ?」

「ええ、そのつもりです」

「だったら、わしも一緒に行ってやろう」

「いいのですか?」

「構わんよ。刻印を刻みに来る客なんて滅多におらんからな」

「何時ぐらいがいいですか?」

「主殿さえ良ければ、今からでも構わんが?」


 確か『組合』は、10時からだったはずだが?


「『組合』は、10時からでは?」

「うむ、じゃが職員はそれまでに入れるから、特別に入れてやろう」

「ありがとうございます」

「なぁに、主殿は儂のご主人様なのじゃから、儂にできることなら何でもしてやろう」


 他に誰を連れて行こうか?

 フェリアとルート・ドライアードは、護衛と言い張って付いてくるだろう。

 レイコは、表向きの責任者にするのだから連れていったほうがいいかもしれない。


「レイコ、すぐに出られる?」

「ハッ! 問題ありません」

「じゃあ、これから一緒に『組合』に行こう」

「畏まりました」

「ニンフ1とニンフ2はジロウの監視を継続して」

「「分かった」」


 ニンフ1とニンフ2は、それぞれの『密談部屋』へ入っていった。

 こういった部屋は、内部から扉を召喚すると、最後に扉を消した場所に再度、扉が召喚されるのだ。


『ロッジ』


 僕は、『ロッジ』の扉を召喚した。

 フェリアを見る。甲冑姿のフェリアがうなずいて『ロッジ』の扉を開けて外に出た。

 僕は、彼女の後に続いて外に出た。僕の後にルート・ドライアード、レイコ、ユウコ、ユキが『ロッジ』から出てきた。『ロッジ』の扉を閉めてから、帰還させる。


 僕たち6人は、『組合』へ向かった――。


 ◇ ◇ ◇


『組合』の前の広場には、まだ10時前だというのに大勢の人が集まっていた。

 ユウコを先頭に僕たちは、『組合』の建物の側面にある関係者用の出入り口から中へ入った。


 廊下を進むとすれ違う人々がユウコに丁寧な挨拶をして、僕たちを奇異の目で見た。

『組合』の職員には、女性が多いように見える。

 後で聞いた話では、『組合』の建物内で仕事をする内勤に女性が多いだけで、外回りの仕事をしている者を含めると男性職員のほうが数はずっと多いみたいだ。

 また、現在の『エドの街』の『組合』の組合長は、女性のようだ。エルフの初代組合長以来、組合長は女性が多いらしい。

 この世界は、『女神教』の存在といい、思ったほど男尊女卑だんそんじょひの社会ではないようだ。ただ、商家しょうかについては、男権主義の父権主義に思える。


 いくつかの扉を抜け廊下を奥まで進んだら、見覚えのある場所に出た。

 ここは、前に【魔術刻印】を刻んでもらったときに通った廊下だ。

 右に曲がり突き当たりの扉を開けたら、『組合』のエントランスホールに出る。

 ユキは、そこで廊下に引き返した。自分の持ち場に行ったのだろう。


 ユウコは、そのまま前に土地の売買について相談した窓口へ移動する。

 カウンターには、まだ誰も居なかった。


「おーい! 誰かおらぬか?」


 ユウコが少し大きな声で奥へ呼びかけた。


「はーい!」


 奥から着物を着た女性が出てきた。前に対応してくれた30代くらいで髪を片方に下ろした女性だ。


「ユウコさま!? ああ、例の件ですね」

「そうじゃ、ここにられる主殿に早く土地を売って差し上げろ」

「はい、ユーイチ様でしたね?」

「そうです」

「『組合』から西へ15分くらい歩いたところにご希望の広さの土地を用意させていただきました」

「ありがとう。広さは、50メートル×20メートルだったよね?」

「はい。土地の代金は、1000ゴールドになります。また、立ち退き料として500ゴールドが別途必要となりましたので、合わせて1500ゴールドです」

「そんなに安いの?」

「西側の土地は地価が下がっておりますので」


 西門が閉ざされているため、西側の土地は安いらしい。そのため、庶民の住宅地になることが多いようだ。

 考えてみたら、住宅地の真ん中で娼館を運営するなんて、元の世界だったら、反対運動が起きたかもしれない。


「じゃあ、お金は誰に払えばいいのかな?」

「儂に払ってくれればいいぞぇ」


 ユウコがそう言った。


「では、10年分の税金も前納しますね」

「税金は、10年で100ゴールドになります」

「じゃあ、ユウコさん1600ゴールド支払います」


『トレード』


 僕は、ユウコに1600ゴールドを渡した。


「確かに受け取ったぞぇ」

「では、正確な場所を知りたいのですが?」

「よろしければ、わたくしがご案内いたしましょうか?」

「よろしいのですか?」

「はい、この窓口は、あまりお客様が来られませんので。もし、来られたとしても他の者が対応いたします」

「分かりました。では、お願いします」


 10時になったのか、職員が玄関の扉を開けた。

 外に並んだ冒険者たちが一斉に『組合』の建物内へ入ってくる喧噪けんそうを背後に聞きながら、僕たちは、先ほど出て来た奥の扉に戻る。

 ユウコとは、途中で分かれた。彼女は、刻印を刻む部屋へ戻って行った。


 土地の対応をしてくれた受付嬢は、マリという名前だそうだ。

 マリに連れられて、僕たちは『組合』の関係者出入り口から外に出た。

 そして、大通りを西の方角へ移動する。

 歩いて10分ほどは、店舗などの商業施設が多かったが、その辺りから住宅が多くなってきた。

 さらに5分ほど歩いたところで、マリは立ち止まった。

 道路の左側に広い空き地が見える。しかし、50メートルは無さそうだ。


「こちらですわ。両側の住宅は、取り壊していただいても結構です」

「フェリア、ルート・ドライアード、両側の家を調べて、人や動物が居ないか確認してくれ」

「ハッ!」

「御意!」


 レーダーを使えばすぐだろう。


「ユーイチ様、ここに娼館を建てられるのですよね?」

「ええ、そのつもりです」

「ああ……私も所帯を持っていなければ、働かせていただきましたのに……」

「娼婦になるよりも結婚して子供を育てるほうが良い人生でしょう?」

「でも、刻印を刻めず、老いて死んでいきますわ」

「本来は、それが当たり前なんですけどね」

「確かにそうですわね」


 フェリアたちが戻ってきた。


「ご主人様、建物内に人や動物の気配はございません」

「こちらもです」

「じゃあ、解体して」

「畏まりました」

「了解いたしました」


 フェリアたちが左右の建物へ向かう。


主様ぬしさま、私も手伝いましょうか?」


 レイコが手伝いを申し出た。


「いや、いいよ。あの程度の建物ならすぐに終わると思うし」


 見ると二人は、【レビテート】で空中に浮かび上がり、武器で建物を壊し始めた。

 住宅をまるで紙細工のように易々と斬っている。

【戦闘モード】を起動していないので、二人の動きがとらえきれない。

 5分と経たずに両側の住宅は瓦礫がれきの山と化した。

 二人が僕の側に戻ってくる。


『このまま、【グレート・ピット】を発動したら、あの瓦礫はどうなるかな?』


 大半が木材なので、魔法で焼却するという手もあるが、周囲の住宅に燃え広がったら大問題だ。

 かといって、片付けるのは面倒なので、【グレート・ピット】を使って穴の中に落とすしかないだろう。


『いや、まてよ……』


【魔術作成】→『改造』→【エクスプロージョン】


 エクスプロージョンの効果範囲を50メートル×20メートル×3メートルとする。

 魔法の名前は、『フラット・エクスプロージョン』とした。英語的に意味が合ってるのかどうか分からない、いい加減なネーミングだ。


【工房】→『装備作成』


『フラット・エクスプロージョンの指輪』を作成した。


『装備2』


―――――――――――――――――――――――――――――


 武器:アダマンタイトの打刀+100

 服:魔布のローブ+100

 脚:魔布のスラックス+10

 腕輪:アダマンタイトの腕輪+10

 足:竜革のブーツ+10

 背中:魔布の隠密クローク+10

 下着:魔布のトランクス+10

 左手人差し指:グレート・ピットの指輪

 左手中指:ストーンフロアの指輪

 左手薬指:回復の指輪

 右手中指:フラット・エクスプロージョンの指輪


―――――――――――――――――――――――――――――


『装備2換装』


 大魔術を2連続で使わないといけないので、MPが持つか心配だが、【ハイ・メディテーション】と『回復の指輪』で回復させられるだろう。


「では、敷地に魔法を使うので、下がっていてください」


 僕は、生身の人間であるマリに注意をうながした。


『フラット・エクスプロージョンの指輪』


 右手中指に装備した指輪を起動した。

 効果範囲を示すガイドが表示される。

 瓦礫が効果範囲に収まるようにガイドを思考で動かして『発動』と念じる。

 目の前の空間が真っ白に染まった。

 白い空間から風が吹いてくる。それほど強い風ではないものの、周囲に砂埃すなぼこりが舞った。

 光が消え去ると瓦礫も消滅していた。それどころか、空き地にはぺんぺん草も残っていなかった。


『グレート・ピットの指輪』


 左手人差し指に装備した指輪を起動する。

 先ほどと同じ範囲の地面を指定して術を発動させた。


 ――ゴゴゴゴ……ザザザザザザーッ!


 地響じひびきがして、目の前の何もない地面が白く光って、深い穴が出現した。周囲の縁には、土砂が中から湧き出てくる。


「な、何?」


 マリが驚いている。


「これは……」


 レイコも驚いたようだ。


 僕たちの目の前にプールのような50メートル×20メートルで深さ5メートルの穴が出現した。


『夢魔の館』


 その穴の中央に『夢魔の館』を実体化する。


「何だあれ?」

「こっちに来てみろよ!」


 突如として10階建てのビルが実体化したので、近所に住む人たちが何事かと見に来たようだ。


「…………」


 マリは、驚愕きょうがくして目を見開いた。


『ロッジ』


 僕は『ロッジ』の扉を召喚して、使い魔たちを呼んだ――。


―――――――――――――――――――――――――――――

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