ランカー
★☆★☆★
質量すら感じさせるほどのふかい
硬質な靴音が静寂をみだす。紗幕の付近でとぎれると、一枚の背後に明かりがともり、影が映しだされた。
強烈な威圧感をまとった異形の巨人である。
「クンバカルナ、インドラジット」
地をゆるがす声音がひびく。ほどなく別の二枚があかるくなった。
「なんだい? ラーヴァナの
片側からざらついた声が応じる。陰影のみにもかかわらず、嫌悪感をおぼえるほどの肥えふとった巨漢だ。
「
「だめだな、あいつら。ど素人だよ。オレが力を貸してやらなかったら、
「人形どもを放つまでは守ってやれ。その後は雛の
「うまくやるさ、これまでどおり。で、インドラジットは今日もだんまりかい? あいかわらず無口だな、いきててたのしいか?」
クンバカルナとよばれた異形が、のこった紗幕によびかける。うつっているのは他の二体にくらべれば
インドラジットは口をひらくこともなく、わずかなジェスチャーをかえした。クンバカルナがあざけるような声をもらす。
「オレか? もちろんたのしいぜ? それになるべくおおく言葉をついやす必要があるのさ、いい魔術をつむぐためにはな」
「無駄話はそのくらいにしておけ。インドラジット、雛と接触したか?」
首肯したインドラジットをラーヴァナがみすえた。
「歌をきいたか。よし、お前の出番までに可能なかぎりちかづいておけ。雛の動きが想定より早い。ふたりとも慢心するな」
ラーヴァナの紗幕につづき、のこったふたつも明かりがきえる。闇はふたたび沈黙にとざされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます