第144話 帰宅の途 (16)
と、おじさんに不満を告げたよ。思いっきりね。俺の妻達二人が牡蠣ソフトを自身の舌を出し『ペロペロ』と舐める姿や、二人が艶やかな唇を大きく開けて──竹輪を咥え食する姿を邪な目で凝視するなと。
するとおじさんは『シュン』と気落ち……。
俯きながら自身の口を開き。
「そうか、じゃ、仕方がないの~。上島が見るなと憤慨してくるから。余生短い儂じゃが。お前の女房二人を嬉しそうに見るのを諦めるよ……」と。
まあ、俺にこんな感じで落胆をした様子と声色で告げてきた。
まるで俺に、年寄りなのだから、少々のことは大目に見ろと言いたい素振りではあるのだが。
いくらおじさんが、俺と大変に仲がよくて余生が短いだろうが。これだけは許して欲しいし。俺自身もこれ以上は耐え忍ぶことができないのだ。
だからおじさんが、いくら落胆……。気落ちをした声色で俺に申してきても無視して放置……。
俺は素知らぬ振りをしながら、ちくわのおじさんや赤穂のお兄さん達が今迄していたように。俺自身も鼻の下をのばしながら、レヴィアやエヴァの牡蠣ソフトを『ペロペロ』と舐めながら食べる様子を見て、自身の脳裏で色々なことを妄想したのだ。
大変に幸せそうな顔をしながら。
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