第93話 五味の市で魔王と勇者さま、販売するかも? (12)
我が家の奥さま二人からのお礼を聞いた赤穂のお兄さんは、気を良くしながら、「いいえ、いいえ、どういたしまして……」と、二人に気にしないでくれと言葉を返す。
でッ、言葉を返し終えると赤穂のお兄さんは再度、我が家の魔王な奥さまと勇者な奥さまに。
「本当だよ。奥さん達二人~。上島さんの言う通りだから。全部試食をして味を覚える……。そして覚えたら、自分が気に入った味の物をお客さんに、『これ、美味しいので、試食してみてください……。そして気に入ったら購入をしてください!』と、いわないと、いけないと違うかなぁ~? だから旦那さんには気にせずに、じゃんじゃん試食をすればいい。こんな感じで……」
赤穂のお兄さんは多分、俺達夫婦の会話を離れた位置から見て聞いていたのではないかと思われる。
だって、缶コーヒーを持ってくるタイミングが余りにもいいからね。
でッ、傍から見て聞いていて気になったのだろうか?
我が家の奥さま二人が、試食の件で余りにも、夫の俺に対して遠慮しているのと、試食販売というのが理解できていないようだから赤穂のお兄さんも彼なりに、妻二人に説明をしてくれたのだと思う。
だって簡易ではあるがレヴィアとエヴァに説明を終えると赤穂のお兄さんは、我が家の商品の試食を、気にもしないで食べ始めたからね。
でッ、その動作につられるように、我が家の魔王な奥さまと勇者な奥さまも、自身のしなやかな指先で試食のお菓子や豆菓子、ドライフルーツなどを『パクパク、ムシャムシャ』と、リスやハムスターのように食べ始めた。
またその様子が可愛くて仕方がない。
だから俺はまた自身の顔が緩み鼻の下を伸ばす──。未だ午前中の五味の市の開店前なのに、俺は何度二人の妻達を見て、自身の顔を緩まし、鼻の下を伸ばしたのだろうか? と、思わず思案をしてしまったぐらいだよ。
でッ、俺は思案をした結果……。
要するに覚えていないぐらいした! と、いった結論になった。
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