第90話 五味の市で魔王と勇者さま、販売するかも? (9)
「そ、そうかな?」
「ああ、そうじゃ~。姫はきっと喜ぶと思うぞ、殿~。う~ん、それにしても。この竹炭豆は美味しいの~。食べ出したら止まらないの~」
まあ、最初は、黒光りした容姿に違和感……。竹炭豆を試食することを拒んだ。我が家の魔王な奥さまだが、一度食べ出したら『やめられない~、とまらない~』と、いった様子で、次から次へと竹炭豆を、自身の口へと放り込み始めたよ。
『美味しい~、美味しい』と、言葉を漏らしながら。
でッ、最後はね、我が家の姫……。俺の娘なのだが。この竹炭豆の味は、我が家の姫さまも喜ぶと告げてきれたのだよ。
だから俺は嬉しくてね。
未だ顔も見たこともない俺の娘なのだが、どんな容姿なのだろうか?
と、俺自身も色々と娘のことで想像を膨らます。
特に我が家の奥さまは、あの容姿を見てもわかると通りで、この世の者とも思えない程美しい……と、いうか。この世界の者ではなく、別の世界の魔王さまなのだが。家のレヴィアに似ていれば、将来かなりの有望──。美人になるから、俺は父親としては複雑な心境……。
何処かの見知らぬ男に、『娘さんを自分の嫁にください!』と、嘆願をされても。
『お前などには、娘をやらん!』と、言いそうな気がするから怖い……。
ましてや、昨晩聞いたのだが……と、言っても。訊ねたのは俺ではなくエヴァがレヴィアに訊ねたのだが。
「レヴィアタン~?」
「ん? 何だ、エヴァ?」
「貴女と旦那さまとの間にできた姫は、どちらに似ているのですか?」
まあ、こんな感じでエヴァに、俺達二人の間にできた娘が、どちらに似ているのと訊ねられたレヴィアなのだが。直ぐに俺の顔を見て、少し思案を始めると。自身の艶やかな唇を開き。
「儂よりも、殿の方に似ているような気がする」
俺に似ていると言葉を返してきた。
それを聞き俺は、「そ、そうなんだ?」と、少々動揺をした声色で言葉を告げた。
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