第81話 五味の市で魔王と勇者さま、販売するかも? (1)

「うぉ~、今日は日曜日だから、朝早くから、お客さま達が沢山いるよ~!」


 我が家の愛車ハイエースを五味の市の駐車スペースへと停めて、車の外へと出た。


 そして俺は辺りを見渡して駐車場へと停車している車を確認──。


 すると予想以上に今日は、お客さまの停車している車の数の多さに俺は興奮──。


 周りの目など気にもしないで声を大にして叫んだ。


「おお、殿、ここなのか~? 今日儂等家族が商いをする五味の市と言うのは?」


 俺につられるように後部座席から降りたレヴィアは、五味の市の建物を見て問いかけてきた。


 だから俺は魔王な奥さまに。


「うん、そうだよ。レヴィア~」


 と、言葉を返す。


「朝早くからお客さまが多いいと、旦那さまは言われていますが? 未だお店の方は空いてはいないのですか? 旦那さま……? 何だか、先程から? 牡蠣の入った大きな樽を店内へと、何個も運んでいる人達の姿がエヴァの目には映るのですが?」


 今度は魔王な奥さまに続いて、勇者な奥さまが俺に訊ねてきた。


 五味の市の店内に入店する人達が多々いるのに、未だお店は開店していないのかとね。


 だから俺は可愛い我が家の勇者な奥さまに。


「ん? あああ、あれはね、今日、店内で殻付き牡蠣を販売する養殖業者の人達や漁師さん達が、殻付き牡蠣を販売する為の準備をしているのだよ」


 と、優しく笑みを浮かべながら質問に答えたのだよ。


 まあ、本当に和むといいうか?


 何度も言葉を漏らして大変に申し訳ないが。我が家のエルフな奥さまは本当に愛らいしい。妻のコロコロと多彩に変わる、表情を見ているだけで、『萌萌キュン~。(ハートマーク)』に陥ってしまうぐらいだから。


 まあ、俺が一人、自身の鼻の下を伸ばして、『デレ~』としながら顔を緩めていると。


「う~ん、これはまた、周りに沢山の建物がありますが。旦那さま、あれは何でしょうか?」


 俺に、我が家のエルフな奥さま問い掛けてきた。


 だから俺は何? と、脳裏で思いながら、エヴァの指さす方向へと視線を変えて凝視──。


 そして確認すると、我が家のエルフな奥さまが、何を俺に訊ねているのか直ぐにわかったから優しく説明をする。


「え~と、市場に向かって右の建物が漁業組合で。左が牡蠣打ち場──。そして、俺達の後ろに見える建物が、コンビニエンスストアーとお土産さんが一緒になって販売をしている店舗と。更に裏にはバーベキューコーナーもあるのだよ。それにね、この正面の市場の裏には、海と船着き場があるから。後で二人とも行って見てくればいいよ。本当に直ぐそこだから」


 俺の説明を聞いたエルフな奥さまは、自身の腕を組み、『フムフム』といった様子で、大変に関心をしながら市場に向かって右側の道へと移動始める。


 そして移動が終えると、俺の方を向き。


「ん? ああ、本当ですね! 旦那さまの言う通りで! ここからでも海が見えます!」


「そうでしょ、エヴァ?」


「はい」


 俺は我が家のエルフな奥さまの返事を聞き終えると、今度は魔王な奥さまへと視線を変える。


「レヴィアも行って見てみればいいよ。エヴァの位置まで行けば海がよく見えるから」


 俺は魔王な奥さまへと視線を変えると。レヴィアにもエヴァの位置までいき、『海をみてくれば?』と、告げる。


「うむ、分かったよ。殿。後で行ってみる」


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