第37話 俺と魔王さんと勇者さん (21)
「う~ん、う~ん、ううう……。さてさて、どうするかな~?」
「ん? また何かお悩みですか~? 旦那さま~?」
「えっ? 俺~?」
「はい、そうですよ? 先程から唸り声ばかりあげていますから?」
自身の両手を組み……ではなく。俺の奥さまと、彼女? 友人? 新妻さま?
まあ、よくわからない関係のエルフの美少女を両脇に抱え──。溜息を漏らしながら思案を続けている俺のことが気になるのか?
エルフの美少女こと勇者エヴァさまが訊ねてきた。
俺が自身の眉間に皺を寄せて、何をそんなに悩みながら思案をしているのかとね。
だから俺は先程中断した話しの続きを始めだした。
「いや~、先程途中で会話が中断した話しだけれど。レヴィアの大きな角と、二人揃って持っている、その大きくて可愛い笹耳をどうやったら人前で隠せるかな? と、俺は思案をしていたのだよ」
「へぇ~、そうなのですか~? そういえば先程、そんな話しを旦那さまはしていましたね~」
俺の話しを聞き、エヴァが言葉を返してきたのだよ。
だから俺は「うん」と、軽く頷きながら言葉を漏らす。
「そいえば、旦那さま~。レヴィアは以前この世界に遊びにきて、旦那さまと知り合ったのですよね~?」
「えっ? 多分? そうだと思う? 俺自身に記憶がないからよくわからない。それに覚えていないのだよ」
俺はエヴァの問いかけに対してこんな感じで答えた。
レヴィアと逢った頃の記憶がまったくないからわからないと。
「そうですか~。それでは、どんな状態でレヴィアがいて、また歩いていたのか自体、旦那さまで全然はわかりませんね~?」
家のエルフさまは俺の説明を聞き、記憶がないなら仕方がないといった感じでね。言葉を言い終えると、二人の会話に交わらずに、マイペースで俺に甘えているレヴィアへと視線を変える。
そんなエルフさまの様子を俺は見ながら「うん」と言葉を返す。
そしてエヴァのように、レヴィアへと視線を変える。
二人揃ってレヴィアへと視線を変えると、流石にマイペースで俺に飽きることなく甘えているレヴィアも二人分の熱い視線は気になるようで。
「ん? どうした、二人共? 儂を見ているようじゃが、何か訊ねたい事でもあるのか?」
まあ、こんな感じで、俺が悩んでいたことと、エヴァとの会話を全くといって良い程聞いていない? と、いうか。全く気にもしていなかった様子なのだ。
だから俺は、少し悩んだ顔をしながらレヴィアに。
「俺とエヴァとの会話を聞いていなかったのか、レヴィア?」
まあ、こんな感じで訊ねてみた。
「ん? あああ、聞いてはいたぞ、殿~。これのことだろう~?」
レヴィアが俺に言葉を告げると。
〈ボン~!〉
まるで映画やドラマ、アニメ、漫画の変身シーンのように音がなり煙が立ち込める。
そして煙が消えると、そこには、角と耳のない我が家の奥さまの姿がある。
「えっ、えぇえええっ! 無い──! レヴィアの角と耳が……」
俺は自身の妻の容姿を見て驚愕──。
だって家の奥さまの、オタク心をそそる水牛のような角と可愛い笹耳が消え失せているから正直驚いた。
「そんな、大きな声を出して驚かなくて、これぐらいの簡単な変身魔法なら儂だけでは無く、エヴァだって出来る事だぞ。だから殿~。そんな大きな声を出すな~」
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