無敗無双のカヴァリエーレ

作者 明色蹄鉄

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★★★ Excellent!!!

描写が細やかで力強い。何よりすっと物語が心の内に沁み渡るような、そんな作品です。

人の身に過ぎた力を持ち、普通ならば到底覆せない程の苦境に立たされても尚大切な人たちや己の信念の為にと戦うことの出来る人たちの物語、という印象を抱いています。

その強さと意志の強さからどうしても偉丈夫のような女性を思い浮かべてしまいがちですが、節々で織り混ぜられる描写を読んで、彼女たちが折れそうな程に華奢な体躯をしていることを思い出すこともしばしば。

第2部が始まり、新たな事実を知る時の高揚感もあります。

★★ Very Good!!

不死身のような “白獅子のアイネス”。

白き騎士甲冑を血の赤に染める彼女は、地虫のように這う敵兵を潰し切裂き、
肉片と血泥にまみれながら、生き残るに力及ばなかった弱敵を嘲笑う。

それが彼女の本性だと誰もがそう思っていた。すでに 「人」 ではないと、
当の本人でさえも嗤いながらそれを肯定する。
ある日気まぐれで命を助けられた謎多き少女、“シェスカ” を除いて。

シェスカの人なつこさや明朗さが、アイネスにこごる僅かな優しさの残滓を掘り起こしたとて、
いまさらそれが救済に繋がるなどと信じる愚か者はいない。

おそらくは血涙と焼け落ちた廃墟が、悲喜劇が、哀切が、混迷がその先に待っていると、
誰しもがそう思い、主演女優の奈落落ちを期待しているステージに、
それでも 「笑いながら」 主役たるアイネスは、きっと自らの足で上がるのだ。

――その時、彼女はやはり独りなのであろうか。
それともあるいは誰かが側に寄り添うように付き従っているのか。

未だ続く物語がいずれ明らかにする未来を、ともに待とう。