安定の


「ソーウヤッ!」


授業が終わって帰る頃、俺は前の席にいたソウヤに後ろから抱きついて名前を呼んだ。


「なんだようぜぇ、引っ付くな!」


「そんなつれないこと言うなよ、俺達付き合ってんだろ?」


「は?」


俺の突然の一言でソウヤの眉間にシワが寄る。


「いつから、なんで付き合う事になった!」


「え、この前夢でソウヤが告ってくれたじゃん」


俺がソウヤの眉間に指をチョンってやるとそこで呆れたため息が漏れた。


「なに、正夢になって嬉しいだろ!」


「誰がだ!もうお前ホントいっぺん死んでこい」


言いながらソウヤは荷物を纏めて教室から出る。


俺もソウヤの後に続いて話しかけた。



「なぁなぁ、帰りファミレスでパフェ食べあっこしねぇ?」


「誰がするかこの節操なしのド変態が!」


ソウヤったら照れちゃって!そんなとこも可愛いんだから!


「してくれないなら今ここで大声で叫ぶ!」


「は?」


「皆聞いてくれー!俺ソウヤとモゴッ!」


周りに人がいっぱいいる中俺が叫ぼうとした瞬間口を塞がれた。


そして観念したのか、


「黙れ大馬鹿者!!ファミレス行けば良いんだろ、行けば!」


こう返ってきたのでテンションMAXでガッツポーズしながらソウヤの腕に手を回して寄り添う。


「よっしゃ!」


「食べ合いはしないけどな!つか腕に手ぇ回すなキショい!!周りの視線考えろ!」


俺達を見てる周りのヤツらはキャーキャーと黄色い声をあげている。


ソウヤは若干キレた様子で俺の手を振り払った。


「あーあ、折角の恋人気分がー!気にしたら終わりだぜ?」


「お前の場合はちょっとは気にしろやボケナス!言っとくけどファミレスはリョウタロウが払えよ!」


「アーンしてくれんなら良いぜ!」


「するかボケィ!」


あ、ソウヤのキャラが崩れた。


そんだけ嬉しいって事か、分かった!


もし次俺に恋人が出来ても嫉妬すんなよ?


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