カレシ


サナちゃんをソウヤに取られてから数日が経った日。


悲しみに暮れていた俺に転機が訪れたんだ。


「ソウヤ、サナちゃんとは上手くいってるのか?」


「んなわけねぇだろ、何回も言うが犯罪だっつの!」


「フラれたのか?」


そうか、ソウヤもついてないな!


「ちっげぇよ!俺にそんな趣味はねぇ!」


そんなショック受けるなよソウヤ、世の中には何億もの生物が存在してるんだぜ!


「まぁまぁ落ち込むなって!俺が相手になってやっても良いんだけどよ、残念ながらそれは出来ねぇんだな」


「リョウタロウ…お前人の話聞いてたか?」


「突然だがソウヤ!俺、カレシ出来た!」


そう、なんとまた新しい相手が出来たんだぜ!


「どうせ人外か幼稚園児だろ」


「ばっかだなー!ちゃんとした人間だぞ!」


しかもイケメンの!


「紹介するぜ、ジャーン!彼氏のハヅキ君!」


俺はスマホの画面をソウヤに見せつけた。


するとソウヤが固まった。


どうだ、あまりのカッコ良さに言葉も出ないか!


「…リョウタロウ」


「ん?」


ソウヤが口を開く。


「ゲームのキャラじゃねぇか!!」


そう、乙女ゲーのキャラクターのハヅキ君。


容姿端麗、モデルもこなす才色兼備の彼氏なのだ!


「羨ましいだろ!やっと落とせたんだぜ!」


「お前とうとうヤキがまわったな」


え?だって男が乙女ゲーやっちゃいけないなんて決まりないだろ?


「ハヅキ君はさー、クールだけど優しい一面も持ってるんだ」


「せめて生きてる人間にしろよ!」


「ソウヤ、お前にもこのアプリ教えようか?」


「いらねぇよ、ど阿呆!」


遠慮しなくて良いのに。


ソウヤもシャイだな。


「ハヅキ君ー、んー!」


「スマホにキスすんなキモい!」


「だってほら、ハヅキ君は何気に寂しがり屋さんだからこうして愛情表現しないとな?」


「はぁ…いい加減お前の相手すんの疲れた」


そう言ってソウヤが先に歩き出す。


「おい待てよソウヤ!拗ねてんのか?」


「うるせぇ、一生二次元に浸ってろ変態!」


変態変態って失礼だなー、そんなソウヤも好きだけど。


でも今はハヅキ君がいるしソウヤの事はキープの状態にしとくか!


ハヅキ君愛してるぜ!


これから愛を育んでいこうな!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る