第9話:メインプレイ:エンディング1-3

GM:では、回想から現実に戻りまして。

怪盗ジョーカー(GM):「……」

GM:怪盗は――悪役になってまで昭人を守ろうとした友は、何も言わず、君を見つめている。

昭人:「……ごめんね、快人。こんな重い真実を背負わせてしまって。

 それと、ありがとう。おかげで俺は、前に進めそうだ」

怪盗ジョーカー(GM):「思い出したようだな、全てを……大丈夫か?」

昭人:「大丈夫、ではないかな。やっぱりショックだし、苦しいよ。でも――。

 君や皆、そして、ローザがいてくれるなら。俺は、頑張れるよ」

怪盗ジョーカー(GM):「ああ、そうか――」

GM:ここで怪盗ジョーカーは、イージーエフェクト《完全演技》を解除する、同時に彼の表情が、耐えかねたようにくしゃりと歪む。


 ミドル序盤、快人を問い詰めるシーンでローザが挑戦した知覚判定。あれは、快人の《完全演技》を見破れるかどうかの判定だったのだ。

 ちなみに、秘密にしていた難易度は20。まあ普通に無理ゲーである。それだけ、快人の覚悟と意志が堅かった、ということだ。


怪盗ジョーカー(GM):「……お前の友に賭けた、俺の勝ちだ。お前が日常を取り戻してくれて、よかった。本当に……よかった……!」

GM:その仮面の下に光るものが見えたのは、きっと気のせいではないだろう。

ローザ:「……そっか。ごめんなさい、五条さん。私、あなたをダブルクロスなんて言って――」

怪盗ジョーカー(GM):「気にすることはない。怪盗には似合いの称号だ」

ローザ:「それでも、ごめんなさい。それと、ありがとう。私達に賭けてくれて」

怪盗ジョーカー(GM):「礼には及ばん。俺は俺の、約束を果たしたまでだ。

 お前たちこそ、辛い状況をよく耐えてくれた。友として、誇りに思う」

昭人:「……2人には、本当に迷惑をかけたよ。ごめん」 頭を下げます。

「俺の弱い心が、皆を傷つけた。本当に、ごめん」

怪盗ジョーカー(GM):「……言いたいこともないではないが……言葉は、そちらに譲るとしよう」 ローザを見ながら。

ローザ:「弱くない。弱くなんかないよ。誰だって、きっと逃げ出したくなるよ。でも――。

 それで、昭人さんが前に進めるなら。それは逃げたんじゃなくって、回り道をしただけなんだよ。

 だから、謝らないで、昭人さん。胸を張って、私たちに顔を見せてよ」

昭人:「……ありがとう」 顔を上げて、嬉しそうに微笑む。

ローザ:その笑顔に、こっちも嬉しくなって笑みを浮かべる。

「どういたしまして、昭人さん」

怪盗ジョーカー(GM):「ああ。骨を折ったかいもあるというものだ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る