第6話:メインプレイ:エンディング5

GM:昭人、確認ですが。《聖痕》の累計使用回数は何回になりましたか?

昭人:今回で15回でございます。

GM:なるほど。では……昭人の記憶に関するシーンだ。

昭人:アッハイ(遠い目)

GM:場所は学生寮の自室で。細かくは手洗い場の鏡の前としましょうか。

昭人:では、軽くRPをば。

「ふぅ……」 顔を洗い終え、一息つく。

「最近、賑やかになってきたな。こんなに充実した日々を送るのは初めてだ。

 鏡の世界に迷い込んで、いきなりバケモノに襲われて……ローザさんと出会った。

 引き連れられて、揚羽や陽介、クマと出会って、友達になって……。

 ……色々、あったなあ」

 そこでふと鏡に目をやる。そこには、いつもと変わらぬ自分の表情。

GM::では、昭人よ。君の右手の聖痕が、いつかのように、熱を持って疼きだす。

 聖痕の疼きは、まるで脈打つように、君に何かを伝えてくる。

 そして、君の脳裏に、ある光景が蘇る……。

昭人:「っ!? これは……また……!?」

GM:さて、前回は君と約束を交わした人物が、輪廻の獣によって肉塊にされるまでを描写したわけだが。

 今回は、以前とは逆に、少し遡った時間の描写をしていくぞ。では、回想スタートだ。




輪廻の獣(GM):「ヴォオォォォォォ!」

GM:周囲に轟き渡る、輪廻の獣の咆哮。

 破壊衝動と凶暴性に満ちたその轟音と共に、輪廻の獣が、周囲に災禍を撒き散らす。

 逃げ惑う人を、道端の建物を、まるで玩具のようにもてあそび、蹂躙し、獣は暴れ続ける。その視界に、一台の大型トラックが映った。

 輪廻の獣は、それを次なる標的と定めたのだろう。真っ直ぐに加速し、怪物から逃亡しようとする大型トラックに一瞬で追いすがる。

輪廻の獣(GM):「ヴルアァァァ!」

GM:太く鋭利な爪による横薙ぎの一撃が、大型トラックの脇腹に突き刺さり、その進路を大きく横へと曲げる。

 コントロールを失った大型トラックがブレーキ痕を引きながら突入する先に、彼らはいた。

 突然の災厄にわけもわからず逃げ惑う、3人の家族連れ。父親と母親と一人の少年の姿。

 それは、君が見間違うはずもない、君の父と、母と、そして君自身だった。

 3人の家族が暴走した大型トラックに巻き込まれるその光景を、君は、どこか実感の伴わない思考のまま、ただ見つめていた……。

 といったところで、今回の回想は終了だ。後は好きにRPしてシーンを〆てくれ。




昭人:「……あれ、今のって、俺の記憶……?

 昔の出来事……だよな。あの後……。

 ……あ、そうか。

 この後に、父さんと母さんは……」

 そう言葉にした瞬間、彼の目から大粒の涙が溢れ始める。

昭人:「え……あれ……?

 止まらない……なんで……?」

 困惑する意識の中、彼は泣き続けた。

 泣いて、泣いて、泣いて。

 自分がなぜ泣いているのかもわからずに、その涙は、彼が泣き疲れるまで止まらなかった。


昭人:ふぅ……いや~、しんどい(愉悦顔)

ローザ:やっぱり、桜華さんって桜華さんじゃなかったんだ……。

GM:視点の違和感には触れてこなかったか。ちょっと意外だった。

昭人:まだ真実も見えてこないからね。憶測でフラグを建てるのもどうかと思って。

GM:なるほど。あ、次の記憶解放で、昭人の真実が判明するよ。と予告しておこう。


GM:では、これにてシナリオ本編を終了します!

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