Snow White Lunatic

作者 天童美智佳

8

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★★★ Excellent!!!

無垢な殺戮者・紗雪と、道徳的な協力者・陽葵。

陽葵の一人称によって紡がれるこの物語は、彼女の特異な認識の世界へと読者を引きずり込みます。
天国へ昇るか、地獄へ堕ちるのかは、行為に対しての自覚の有無によって決まるのか。
陽葵と紗雪の間にあるものは、姉妹愛を超越した愛か。それとも、これもまた紗雪が悪意なく働く殺戮と同じく、神への冒涜なのか。

作中で時折陽葵が体験する夢か現か知れない幾つかの出来事はグロテスクなほどにリアルに描かれ、対して、紛れもなく実際に起きている筈の殺戮や虐待などは、余りに耽美的な筆致で描かれています。

いずれにしても、この作品世界は陽葵と紗雪だけのもの。
読者はそこに引きずり込まれながらも、触れることは許されない、どこか神秘的な空気が常に漂っています。

二人はこれからどこへ行くのか。物語はどんな結末を迎えるのか。読者はそれを、遠巻きに見守るしかないのでしょう。

★★ Very Good!!

真っ先に目に飛びこんでくるのは、一人称にもかかわらずきちんと描かれた美しい情景描写でした。
仄暗い世界を唯一彩るのは主人公の心理描写で、
これもダークながら人の性、堪え切れない業を見事に表現なさっています。

また、双子の関係性……狂気的な愛がそれらによってきちんと描かれており、ある種の芸術的な美しさに昇華されています。

いささか改行が少なく、web小説に慣れてらっしゃる方には少々読みづらいかもしれません。
ですが、この作品の雰囲気には丁度いい、私はそう考えています。

ライトノベルというより文芸ものに近いこの作品には、読み手によっていくつもテーマを見出すことができます。
悲しき愛情、人が持つ隠し切れない業、それらが哀愁と共に紡がれるこの作品を
ぜひ一度読んでみてほしい、そう感じます。