150万PV突破記念・もう少し未来のお話③
クルマの中で「億田不動産の看板娘を妊娠させたんだから覚悟するよーに」と伝えると楓ちゃんは「ぶん殴られるかも」と緊張顔。ところが億田のおじ様ときたら何とも歯切れの悪い、なんとなくお預けされてる犬みたいな奇声を発した。
「ぬうぅぅん、順番が違うぅぅ~」
あれ? 予想外の反応。てっきり「
「億田不動産の看板娘を孕ませた不届き者やけども~っ! あの白バイさんの子供やったらどうしようもないやん!」
楓ちゃんのお母さん、晶おば様は白バイ隊員であり滋賀県警イケメン女子白バイ隊の元隊長さんでもある。母と知り合った頃のおば様は『高嶋署の白き鷹』と呼ばれたイケメン女性白バイ隊員であり、市内のドライバーからは『狙われたらお終い』と恐れられた存在だったのだとか。
「ああっ! もうっ! ビックリするくらいそっくりや!」
「よく言われます」
晶おば様は女性の心を盗む『恋泥棒』でもあったらしい(笑) 男装の麗人が嫌いな女子が居るだろうか、いや居ない。おばさまは男装してるわけじゃないけど(笑)
「レイちゃんは覚えてないと思うけど、この
「記憶以前に生まれてないやん」
私が生まれた時にタクシー代わりに呼び出された億田のおじ様は、愛車を爆走させて晶おば様に検挙されそうになったんやって。
「見逃してくれってアイコンタクトしたらな、見逃すどころか陣痛で苦しんでる姐さんの為に先導までしてくれたのがこの兄さんのお袋さんや。だからぶん殴られへん」
結構いい話だけど、おじ様は「キレイな
「楓君やったな、いや、あの時のイケメンさんのご子息がレイちゃんを妊娠させるとはな。世の中は何が在るかわからんな」
「母は女性なので『メン』ではないですけどね」
髪の毛が薄くなったり皺が増えたり、この数年でおじ様はすっかり老け込んだような気がする。特に思うのがニコニコしている時の目元の皺。すっかりお爺さんになってしまった。
「で? 今のご時世に
おじ様が問うと楓ちゃんは「授かった命ですもん、ゴールインです」と答えた。
「お腹が大きいならんうちに式を挙げてしまおう。おっちゃん協力するで」
「お願いします」
おじ様の協力が有れば百人力。この際だから甘えてしまおうと思う。楓ちゃんのご両親に関しては多分だけど問題なし。晶おば様だって「レイちゃんなら大歓迎」って言ってたもん。
「問題はお母さんなんやなぁ、私がお嫁に行くと一人になってしまうしなぁ」
悩む私におじ様は「そんなもんは何とでもなる、おっちゃんの任せぇ」と言ったのだった。
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