第41話 不審なバイク達①
とにかく売った者勝ち・儲けた者勝ちなTatani
最近は車検を必要とするバイクを原付登録して売っている。
最初は『大型バイクは欲しいが諸費用がもったいない。』という
高級住宅地のセレブの年寄りに売っていたが、
夏休みに入り免許を取る学生もいるのだろう。
『宅の息子ちゃんを立派なバイクで通学させたいざます♡』
という奥様方にも好評だ。
もう小さなバイクなんか売っていられない。
多少危ないかと思っていたが普通に登録して乗れる。
高嶋市内の修理屋は嫌がって修理しないがなんて事は無い。
ナンバーを外して中古車の修理名目で市街のショップに出せばよい。
最近はバイクを運ぶためのトラックと運転手も雇った。
ラッピングで派手に仕上げたトラックは看板となり店の宣伝になる。
(チョロイもんだねぇ。陸送代も二重取りだし。)
※ ※ ※
「250㏄のバイクを原付2種登録した?それはアカンやろ~」
汗を拭きながら安井さんが言う。
「きちんと90㏄のエンジンに積み替えて登録してあるで」
「それやったら良いかもしれんけどよ。走らへんやろ?」
「うん。カブより重い分遅い」
「けったいな事するのぅ」
「笑えるやろ?それ以外にも何か狙ってるみたいやけど」
「まぁTataniみたいにエンジンそのままでやるのと違うやろうけど」
安井さんは情報通なのでご存知な様だ。
「安井さんも何か知ってる?
「知るも何も市外にツーリングに出たら有名やぞ?原付ナンバー付けた
マナーの悪い奴が居るって。しかもモロに『高嶋市』登録やからな」
いつもは人の話をしっかり聞く安井さんが珍しく被せ気味で答えた。
(普通・大型2輪やと滋賀登録やもんな。一目でわかるか。)
「そもそもよ。大型二輪を原付て不正に登録しとる時点で問題外や。
道一杯に並んでチンタラ走るわ、ゴミは投げ捨てるわで評判悪いぞ。
『高嶋市から来ました』って言うのがはばかられる程や」
(安井さん、怒ってはるな。)
「夏休みでバイク免許を取った高校生にも売ってるみたいやな。
ナンバーは原付やけどバイク自体は大型やし問題になるんちゃうか?」
「そんなバイク、整備したら店が飛びますね。ウチは整備は無理やけど」
「大島君も市外にツーリングに行くときは気を付けや。
高嶋市のバイク乗りは嫌きらわれてるで。」
機会が在ればCBR改90を見せてくれと言って安井さんは帰っていった。
※ ※ ※
高嶋市の対岸の街。とある整備工場。
「
「そう言えば、車検証や書類が無いな」
「ナンバーが付いていた跡が有るんですけど・・・?」
「何か変やな」
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