斬撃レグ版初期ボイスコレクトワーカー外伝

闇討善悪

開始

ボイスコレクトワーカー。

ボイスメモリを集める仕事人の事である。

その内の一人、ハイズという名の男がいる。

まだ彼はグラレンドという者と共に集めているようだ。

最後の一つらしい、そのカプセルを見て、

「よし、大体分かったかい?」

と、グラレンドが声をかける。

「ああ、分かった。後は一人で集めろってことだな?」

「そうだよ。君も立派なワーカーだからね。私は引退するけど……」

「引退仕事にしちゃ淡々とこなしてたな」

「いつかは、君も守るべき相手が出てくるだろうからね」

と、グラレンド。

訳の分からないハイズに、

「じゃあ、これを回収して帰ろうか」

と、グラレンドが言うと、それのボイスを確認して回収した。

その後は二人でワーカーセンターに戻ったのだ。

「ご苦労様でした。全メモリ回収確認しました。お疲れさまでした、グラレンドさん」

「さて、どうするのかい? 私はこれから所要でいなくなるんだけど」

「ん?まぁ復習でもしておくよ」

「そうかい。じゃあ、またね」

そう言って、ハイズはグラレンドと別れた。

街を歩いていて、空を見上げ、はぁ、とため息をついた。

不安が入り混じっているが、ハイズは割り切って仕事を明日から頑張ろうと決めた。


翌日。

ハイズは仕事を確認し、仕事にとりかかる。

最初の仕事だ。

メモリの入ったカプセルを確認し、ボイスを確認してから、回収する。

それを聞いた時、

「ふーむ……」

と少し考えたものの、仕事を再開する事に。

ただ気になったボイスがあると、

「何でだよ!」

とか、

「おかしいだろお前!」

とか突っ込むのであった。

それから、全回収後、ワーカーセンターまで戻ることに。

「ご苦労様でした。全メモリ回収確認しました。お疲れさまでした、ハイズさん」

「ああ、ご苦労さん」

と、

「ああ、お前さん」

声をかけられたのだ。

「ん?お前誰だっけ?」

「グラスレッドだよ」

「ああ、お前か。ワーカー職員だっけか、今」

「一応な。勧められたんでやりだしたらこれに合っててな……」

「とりあえず、どうした? 俺は帰るんだが」

グラスレッドは少し考える。

「今回は順調のようだったが、この仕事は危険が付き物だ。あのグラレンドですら、一回死にかけた事故があったんだ」

「マジで?」

「ああ。崖が崩れて落ちて大怪我負った事故がある」

ぞっとするハイズ。

だが、グラスレッドはその事を気にせず語る。

「朦朧とした意識の中で、センターの方に通信して、それで発覚したんだ。発見時はヒヤリとしたよ。俺が運んで病院に送ってから、集中治療されてようやく助かったが、彼は次の仕事で引退すると決めたようだ。だからお前を呼んで学ばせたのだろう」

「そうだったか……。だけど、その時の仕事はどうした?」

「俺が聞いた話だが、他のワーカーが彼の持っていた分を持って全回収したという。ただ、恐怖が満ちていたらしいがな」

「そうか。じゃ、俺は帰る」

そう言うと、ワーカーセンターから出て真っ先に家に戻ったのだった。

「疲れたな……。しかし、グラレンドが大怪我負ってたとは……」

あの話を聞いて、どうするか考えたが、仕事を続けることにしたようだ。

それが、彼のためになるだろうと信じて。


それからして。

ハイズは立派にワーカーとして活躍してきている。

そのハイズは仕事を確認し、エリアに来た。

「さて、仕事するか! ん? センターからのお知らせ?」

その内容を確認する。

『増員を其方に送っております』

「ん? 増員? どういう事だ? 聞いてないぞ?」

訳の分からない内容に、

「あの、すみません」

と声をかけられた。

振り向いた時にハイズはぎょっとした。

その増員がまずいわけではない。

姿を見て驚いたのだ。

「え、あ……」

「新人ですが、宜しくお願いします。何か悪いことでもしましたか?」

「い、いや、大丈夫だ」

そう、その増員として呼ばれた男は、メイド服を着ているのだ。

しかも頭には猫耳が生えている。

尻尾は見えないようだが、奇っ怪な事この上ない。

「お前の名前は?」

「メナサです」

「じゃあ、俺の仕事を見て行ってくれよ?」

「はい」

そうして、二人で探索することに。

カプセルの中に入ったメモリを確認しているのに突っ込むのを見たメナサが、

「何故突っ込んでるんですか?」

と気になって聞いてきた。

「ああ……どうしても突っ込みたくなるんだよ。分からんけど何となく」

「そ、そうですか」

再開しているうちに、雪原に来たが、そこにあったメモリも全部回収完了した。

その後、数を確認し、全て集まっていたので、ワーカーセンターに戻る事に。

「お疲れ様です。全メモリの回収を確認しました。お疲れさまでした。ハイズさん」

「やっと終わったか。しかし……」

ちらり、とメナサに視線を向ける。

「? どうかしましたか?」

「いや、これで後は一人で回収できるだろ?」

と聞いてみるハイズ。

「ええ。有難うございます」

「よし! 俺の奢りだ! バーに行くぞ!」

「そうですね。ストロベリーキャット、ってありますか?」

「……お前見たまんまだな」

「? そうですか?」

と、その時。

「おい」

と、声をかけられた二人。

「お前さんらは好成績じゃねーか。羨ましいぜ」

「そりゃどうも」

「だが、認めれん! お前を! 好成績で通った俺を上回りやがって!」

「……争うのは苦手だからな。俺が」

「うるせぇ!」

言うなり隠し持っていたらしい、刃物でハイズを切りつけた。

「うぁっ!」

「ハイズさん!!!」

はっとしたグラスレッドが思わず飛び出し、その切りつけた男を確保する。

そこは職員といった所か、手慣れた様子であった。

しかも、刃物をしっかりと奪ったのは別のワーカーである。

「お前を警察に連行する」

そのまま連れて行かれる男を見てほっとしたらしい、ハイズは膝をついた。

「ハイズさん! 確りしてください!!!」

「大丈夫だ……。メナサ……」

その後にハイズは倒れてしまう。

「ハイズさん!」

メナサは彼を無我夢中で抱えると、病院にまで駆け込んだ。

一人の医者がぎょっとした。

「な、何事だ!?」

「お願いします! ハイズさんを助けてください!!!」

「分かった!すぐ手配する!」

ハイズはというと、薄い意識の中で、傷を負っている部分を押さえている。

「確り……!」

「メナサ……」

ハイズはその後に瞼を下に降ろしてしまう。

「ハイズさん!」

その後にやってきた医者の人たちにハイズを託した。

その手には、血が残されている。

「ハイズさん……」

不安を抱えたまま、メナサは一旦自室に戻った。


翌日。

重傷とは言われたものの、ハイズは一命をとりとめたと聞いて安堵するメナサ。

意識はまだ戻っていないが、それでもメナサにとってはいい知らせなのだろう。

今は病院にいるメナサ。

「メナサ。大丈夫か? あの男は警察につき出しておいた。刃物については俺が説得して納得させておいてある」

「すみません。グラスレッドさん」

「あいつはワーカー失格となったよ。だから、後は頭を冷やしてもらうだけだ」

「でしょうね……」

未だ眠るハイズを見て、不安そうに見つめるメナサ。

「此方の不備だった。まさか隠し持っていたとは思わなかったからな。今度からは刃物も持ち込み禁止になるよ。それ用の機械で検査させるようにしているんでね」

「分かりました」

「確かにお前が心配するのも分かる。だが、今は目覚めるのを待つだけだ……」

「すみません……」

仕事をする日は明日。

だが、メナサは不安しかなかった。

ハイズが死ぬのを恐れている為に。

自室に戻ってから、ベッドに身を預けたメナサ。

「ハイズさん……」

どうしようもない罪悪感を感じて、外に出てみることに。

「どうしたんだい?」

「あ、おばさん……」

「ハイズの事なら大丈夫よ。また元気になるさ」

「そうですね。有難うございます」

それでも、不安はあったが、明日の仕事の為に休もうと決めたようだ。


翌日。

メナサにとっては初めての仕事だ。

気をつけながら回収してみる事にした。

何故なら、グラレンドが大怪我を負ったという話を、グラスレッドから聞いている為である。

緊張しながら回収していくうちに、

「これは…」

と気がついた。

様々な時代を生きてきた。

その証だと。

「……」

だが、彼は思い出せない部分があるようだ。

過去に、何があったのかを。

その謎が明らかになるのを、メナサは信じてこの道を選んだ。

己を貫けと、グラレンド、グラスレッドから言われている為に。

慎重に調べていくうちに、全て揃ったので、戻る事に。

数もちゃんと数え、全部集まったことを知った。

その後、ワーカーセンターに戻って、報告をした。

「全てのメモリ回収を確認しました。お疲れさまでした、メナサさん」

「大した事はしていませんから」

とりあえずいつものように病院に足を運ぶ。

未だに眠っているハイズを見て、不安しかなかった。

既に傷は軽傷どころか完治もしている。

と、ハイズの手が反応した。

「ハイズさん?」

近寄って、ハイズの手を握るメナサ。

目を覚ますハイズに、ホッとするメナサ。

「大丈夫ですか?」

「……何とかな。まさか怪我するとは思わなかったよ」

「良かった……。死んでしまうかと思いましたよ」

「バカ、俺が死ぬわけ無いだろ……」

「良かった……本当に……」

泣きそうになるメナサに、こつん、と叩くハイズ。

「泣くな。お前は一人で回収しているんだろ?」

「あ、はい」

「復帰できたら、俺も影から応援するよ」

「有難うございます」

ホッとした様子で、メナサはその手を離してから、立ち去った。


その数日後。

ハイズも復帰し、仕事をしている事を聞いて安心したメナサ。

「よぅ、メナサ」

「ハイズさん。もう大丈夫なのですか?」

「ああ、もう大丈夫だよ。それより、グラレンドの奴が呼んでたよ」

「珍しいですね」

「お前の格好もな」

「? どういう事ですか?」

「……まぁいい。仕事頑張れよ」

「はい」

それからグラレンドの元に移動するメナサ。

「どうかしたのですか?」

「ああ……今回の仕事、ちょっと考えていたのだよ」

「何かあるのですか? 不都合でも?」

「いや、ソレは無いが……たとえ、それが君の過去に関わるとしても?」

「過去。思い出せないんですよね。何があったのか」

「そうだろうね。君が居たとされる時代のわずかな微粒痕が見つかった。これは君を案内した時と同じ物だ」

「じゃあ、私が誰かわかるのですね?」

「そうなる。ただ……」

「ただ?」

少し考えるグラレンド。

「私は君の事を信じている」

「? どういう事ですか?」

「心配だからだよ」

「有難うございます。それも、仕事ですから」

「そうだね。時代干渉に気をつけて」

「時代干渉というと、例の幻象ですか?」

「そうだよ。気をつけてね」

「有難うございます。行ってきます」

「気をつけて」

グラレンドと別れると仕事を開始する。

メモリを確認した時に、把握できた。

「これは、過去から未来へのメッセージですね」

それをとにかく集め続けるしかない。

そう感じて、集めていく。

そして、一人の名前を聞いた時、ズキリと頭痛が走った。

「……アーク……?この名前……どこかで……」

とにかく探索して一個見つけて確認する。

「エニーのお兄さん……。懐かしいのに……思い出せない」

とにかく回収する。

それしかないと感じた。

「アークさんは……確か、数年も前にいなくなった。懐かしいですね。また会えるでしょうか?」

そう思って、回収を続ける。

その時に気配を感じた気がして振り向いたが、そこには誰もいない。

メナサは、不安を抱きながら回収を再開する。

「……ロックさん……。あなたは……一体、あの後何を……」

そう思ったのは、最後のカプセルの中に入っていたメモリの記録を聞いた為。

全部集まっているので戻るだけのようだ。

戻っている最中、再び視線を感じ、振り向いた。

だが、誰もいない。

「何処にいるのですか……? この、視線の主は……」

寒気を感じた。

その後、現れる人魂。

「あなたは……ロックさん?」

『……何故分かる』

「どうして……?」

『バカどもにはいい薬だったのかもしれないな……。だけど、俺はそれを早めさせた。上の言いなりになっているのにも気がついていない、バカどもにな』

「そうではありません。あなたは、虚無感を感じていたのですね?きっと、昔のように。そして、エニーさんを失って……道を誤ってしまったあなたに言いたいことがあります」

人魂はゆらゆらと動く。

『……何を言う気だ』

「エニーさんは、あなたをきっと見ていて、悲しんでいるのかもしれません。私は、あなたの気持ちは分かります。アークさんを、追いかけているうちに道を外れたけども、それでも、あなたは、本当は勇敢だったのですね。あなたの存在は、私にとっては大きな存在だったのですから」

『泣くんじゃねぇよ……メナサ。有難う……気が楽になったよ……』

そして、人魂はその後に消えた。

メナサは、その後に涙を流した。

「さようなら……ロックさん……」

空を見上げ、そう呟いた。

涙を拭うと、振り向いて戻る事にした。

ワーカーセンターに戻ってきた時。

「君、メナサだよね?」

と声をかけられた。

「あなたは……?」

「忘れたの? 僕だよ」

その時、ドクン、という音と同時に頭痛が走ったメナサ。

「あなたは……アーク……さん……? それに、これは時代干渉……」

「そうだよ。君がいれたお茶、忘れてないよ」

「どうして、子供の姿のままなんですか……? うぅっ!」

警告音が鳴り響いた。

「警告! 警告! 時代干渉発生! 職員は直ちにワーカーの保護を優先してください!」

グラレンドが驚愕した。

「時代干渉が子供!? まさか、リストに載っていた人物の一人か! メナサ! 離れたほうがいい!」

メナサは頭痛に耐えつつ、ただ視線をアークに視線を向けている。

「僕は君に会いたかっただけだよ。どうして苦しんでいる表情を浮かべているの?」

「時代を超える力を……奪ったのも……」

「そうだよ。エニーに会いに行かないと」

思わず現場を見たハイズが驚いたのだ。

「おい! ガキ! メナサとセンターに何をした!」

「ハイズさん……危険です……。この人は……この子は……」

ふと、アークは考えたようだ。

「あ、時間だ。もう行かないと」

「メナサ!」

思わずグラスレッドも叫ぶ。

「またね。大好きなメナサ」

言うなり風が巻き起こり、収まった時にはアークはいなくて、時代干渉は収まっていた。

「時代干渉が収まりました。平常通りに移行してください」

だが、アークがいた場所をずっとメナサは視線を向けている。

「何だったんだアイツ……。あっ、おい! メナサ!」

「もう戻れない……。あの時代に……」

「?」

ハイズは疑問符を浮かべていた。

だが、その後メナサは倒れてしまう。

「メナサ!!!」

「彼の家に運ぼう」

「分かった」

メナサの家に運ぶと、メナサを寝かせ、グラレンドは連絡を取る。

「私は彼を看病するから、君は仕事に戻ったほうがいい」

「分かった。メモリも渡しそびれてるからそれも込だな」

「早く行きなさい」

ハイズはその後に家から出ていく。

メナサの息は荒く、ただグラレンドは視線を向けていた。

はっとして振り向くグラレンド。

無かったはずの封筒が置かれていた。

それを恐る恐る確認し、開けてみる。

それは、手紙であった。

『きっとこれを見ているときは、プロトメナサは倒れているでしょう。私は、こっそりとプロトメナサを監視しています。きっと、思い出したとしても、私は姿を見せるときは、きっと彼が会いたいと願う時でしょう。まだ、私に会うのは早い。会える時は、必ず来ますからね……』

そこまでしか書かれていなかった。

「……オリジナルメナサ君……」

そう呟いた。


数日後に、メナサは目覚めたようだ。

「過去を思い出したのかい?」

「はい」

「仕事は続けるのかい?」

「続けますよ」

「そこは、オリジナルのメナサと同じだね」

と、グラレンド。

「知っているのですか?」

「知っているもなにも、まだワーカーにいた時に、時代干渉に巻き込まれてね。まだその当時は周りには誰もいなかった。その時に、オリジナルのメナサ君にあったのだよ」

「となると、その名前も……」

「そうだよ。偽名だよ。本名は、レイヴァン・ラート」

と、レイヴァンが本名を告げる。

「騙していたのは悪かった。だが、オリジナルのメナサ君から、君を守るよう言われたのでね」

「オリジナルの私も、時代を超えれるのですね」

「君には考えなくてもいい……。君にはもう……」

メナサは泣きそうな顔を浮かべた。

「そうですね……。私には……もう……」

「おいおい! 何泣きそうな顔してるんだ!」

その声を聞いて視線を向ける二人。

「いつから聞いていたんだい、ハイズ」

「メナサの正体からお前の本名まで」

「内緒にしてくれよ?」

「わかってる。それよりも、酒飲みに行くぞ!」

「まだメナサは病み上がりだよ?」

「そいつのどこが病み上がりなんだよ。行くよな? メナサ」

ただ、苦笑するレイヴァン。

「(彼なりの励ましなんだよ……)」

と、心の中で呟いた。

「ともかく行くぞ! メナサ! ストロベリーキャット飲みに行くぞ!」

「あの……」

「何だ?今更行かないは無いぞ?」

「いえ、何も」

呆れているレイヴァンだが、やれやれといった表情だ。

「仕方ない、行くか! メナサ。それと、ハイズ、口止めに私が奢るよ」

「はい。行きましょう」

メナサは心の中で呟いた。

「(私にはかけがえのない人がいます。きっと、アークさんにも……)」

そう思って、行くことにした。


それからして、メナサとハイズはワーカーの仕事を、グラレンドことレイヴァンは職員の仕事を続けている。

そう、時代の流れを感じながら、三人は頑張って働いている。

いつかは幸せになれると信じて。



~ end ~

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