「ごめんなさい。せんせー、怒ったのなら謝るから、だから、クリスマスのデート……」

 正面の真奈さんをよけるようにして僕は立ち上がった。身長差のために真奈さんの頭はとても撫でやすい位置にある。真奈さんの頭にポン、と手を置いて、

「怒ってないよ。でももう少しわがままが少ない方が僕は好きだな」

 そう言うと真奈さんの顔が硬直し、次いで見る見るうちに真っ赤になった。

「……はい」

 視線をやや下に落として、真奈さんは小さな声で返事をした。

(いつもこうだったら助かるんだけど)

「それじゃあ、また」

 真奈さんの部屋から出ると、後ろから足音がする。いつものように真奈さんが見送りのためについてきたのだろう。

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