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「あ、そうだ、せんせー、クリスマスのデートのプラン、ちゃんと考えておいてね!」
「デートのプラン……僕が?」
「当たり前でしょ! クリスマスはせんせーにエスコートされてデートするんだから!」
頭痛がする。というかそもそも、
「真奈さん、その、僕はまだ誰ともデートをしたことがないんだけど」
僕がそう言うと、膝の上の真奈さんの表情が固まった。そういえばデートは一般的に男女で遊びに行くものだと思うのだが、この場合ただ遊びに行くのと何か違うのだろうか?
「……えっと、じゃあ、さ、クリスマスにデートできたら、せんせーの初デート相手って、私?」
「……そうなるんじゃないかな」
突然、膝の上の真奈さんが抱きついてくる。恐らく精一杯の力で僕のことを抱き締めているのだろうけど、その力は体格相応の可愛らしいものだった。
「いきなり、どうしたの? 真奈さん」
「えへへ、なんでもなーいー」
真奈さんの勉強机に置かれた時計で時間を確認する。家庭教師の終了時間を四分すぎている。
「真奈さん、そろそろ帰る時間なんだけど」
「だーめー、まだこのままでいる」
あまりやりたくはないが、わがままに際限がなくなっても困るので、
「わがままばっかり言うなら、クリスマスのデートはなしにしようかな」
正に一瞬だった。真奈さんは弾かれたように僕から離れると、僕の正面に立った状態で、僕のことを泣きそうな顔で見下ろしていた。
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