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「――急に呼び出して、ごめん」

「ううん、いいよ。それで、どうしたの? 何かあった?」

 突然連絡したにも関わらず、梓は連絡したその日のうちに僕のアパートまで来てくれた。梓に会うのは、ニャン太の一件以来だった。見たところ特に影響は残っていないようなので安心する。

「その……ちょっと、落ち込んでる」

 ローテーブルの斜向かいに座る梓に向かってそう言うと、

「……楓、何があったの? 私にできることなら、なんでも力になるよ?」

 梓はみるみる顔を歪ませ、そう聞いてきた。

「……最近、高校生の女の子と知り合ったんだ」

「……その子に関することなの?」

「うん。その子は、普通じゃ想像もできないような、辛い立場に置かれてて、なんとか助けてあげたいんだけど……僕じゃ、無理なんだ。助けてあげられない」

 不意に目から涙が流れ落ちそうになったが、懸命にこらえたおかげで、泣くことは避けられた。

「そう、なんだ」

 梓は少しの間うつむいていた。そして、顔を上げると、

「……楓が、詳しいことを話してくれないってことは、それだけ大変な状況ってことだよね?」

 僕は、ただ頷いた。それを見て、梓はまたうつむいてしまう。

「――梓、ごめん」

 正直なところ、自分の体を支えていることすら厳しくなっていた。だからすがりつくように、僕は梓を抱き締めた。すると、

「――え!? え、え、えええ!? か、楓!?」

 全く予想外のリアクションが返ってきた。

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