クリスマスイブの仕事
「はい、これでもう治りましたね」
お医者さんは、私の足を見て言った。
「本当にもう痛くないです。すごい、こんなにすぐ治るなんて… ありがとうございます先生」
「『
「はは… はーい目井さん。とにかく、これで今日の仕事ができそうです。本当にありがとうございます」
「いえいえ。今日はクリスマスイブな上にもう夜ですが、これからお仕事なんですか? お疲れ様です」
「ええ、でも私は自分の仕事に誇りを持ってますから」
私が笑顔で答えると、目井さんも笑顔で言った。
「奇遇ですね。私もです」
今日は年に1度の大切な日だ。
今年が終わる前に、子どもたちに忘れられない思い出を残すのが私の役目。
みんなが来年、より良いクリスマスを過ごせるようにするために。
大きな白い布袋を肩に担ぎ、姿見で自慢の仕事着に乱れがないかどうかを入念に確認する。
よし、完璧だ。
さあ、仕事だ。
ガラッ
深夜、私はとある家の窓を開けた。音を立てないよう細心の注意を払いながら、ある部屋へと向かう。
ドアを開け、目的の部屋へと入る。1人の子どもがベッドでぐっすりと眠っている。
私は、担いでいた袋をさかさまに持ってぶんぶんと上下に振った。中身が眠っているその子の顔面にべちゃべちゃと降り注いでいく。
「えっ、なっ… きゃー!」
動物の内臓と血液まみれになった子どもが目を覚まして悲鳴を上げた。
「きゃーじゃねえええええ! お前今年いい子にできてなかったろうがあああああ! 悪い子へのプレゼントはこれじゃあああああ!」
真っ黒な仕事着が血まみれになるのも構わず、腹から大声を出しながら、私は「プレゼント」をぶちまけ続けた。
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