第七十話 ②意外な人物と暗号! 特殊な暗号を解け!?
「どういうことだ? クエッションは生きていたのか?」
「そういうことだな! お前らを欺くため、ひっそりと息を潜めていた!」
「ガーリックよ!」
「はっ? なんだよ?」
「腹立つから、私の暗号を解け!」
俺は頭痛を覚えて、こめかみを押さえた。
「なんだよ、それ? 俺のことがムカつくから暗号の森の暗号を解けって言ってんのか?」
「そうだ! 私と暗号勝負しろと言っているんだ!」
クエッションは、サッと手で暗号に指示を出した。
「私の暗号の威力をとくと味わうが良い!」
俺の体に暗号たちの影がかかる。
「あああああああああああああ!」
俺は、崩れ落ちそうになったが、フラフラしながら立ち上がる。
手を叩き合わせ呪文を唱える。
「解読! ……ダメか!」
「無駄だな! この暗号は特殊だからな!」
「えっ? この暗号が特殊な暗号?」
この暗号が特殊な暗号だというのか? そういえば、暗号そのものは同じだが、以前のクエッションの暗号とはまるで違う仕様だ。透明な壁に四方を囲まれているところが、今までとは違う。しかし、暗号をどうやって解けば良いのか、全く考えもつかない。
「さあ、解けるかな?」
またしても、クエッションがサッと暗号たちに手で指示を出す。
「あああああああああああああああ!」
俺は、フラフラのフラフラになっていた。
千鳥足でよろよろしながら、手を叩き合わせて、開く。
「解読……ッ!」
その時、よろけて透明な壁に開いた片手を押し付けてしまった。
しかし、これが怪我の功名なのだろうか。それはすべて偶然だった。たまたま、片手を透明な壁に押し付けてしまったが、何故かそれに反応したように暗号たちが少し震えた。
「……? 何だ、さっきの……? 呪文を放つ俺の手と透明な壁が反応した……?」
俺は、朦朧とする頭で考える。クエッションは暗号たちは特殊な仕様だという。それは、いつもの暗号と違うということだ。
「……どうやったら暗号が解読できる……? そうだ、この透明な壁だ……!」
倒れそうな足を踏ん張ると、靴で地面を擦る音がはっきりと耳に響いた。開眼して、手を叩き合わせて開く。
「解読!」
その両手を、透明な壁に押し付けた。すると、透明な壁がガラスが割れるような音を鳴らして、砕け散った。その破片はキラキラと光彩を放ちながら、空気に解けて消えた。すると、暗号たちも雲散霧消した。
「やったぜ……!」
「クソが……!」
クエッションは、悔しそうに歯噛みしている。
ぱっぱらっぱっぱぱーと、どこからともなく効果音が鳴った。
『暗号が解読されました! おめでとうございます!』
アナウンスと一緒に、空に文字が並んだ。
【答え:まだ終わりではない! これには続きがある!】
俺は、上空に浮かんだ文字を見て、目を瞬いた。
「これには続きがある……? ……って、え゛? 続きがあるのか?」
「ハハハ、そういうことだな! これで、終わりではない!」
「どういうことだ……?」
この暗号に続きがある? 執拗なクエッションに、俺は嫌な予感を禁じ得ない。それにしても、暗号の答えが気掛かりだ。
「続きって? 暗号の続きか?」
「そういうことだな……!」
クエッションの後ろから誰かが歩いてくる。その人物の土を踏む音が聞こえて来た。俺は、眉をひそめた。
「どういうことだ……?」
歩いてくる人物。それはどう見ても、俺が異世界に来てから一番良く知っている人物だ。パフェット。その人だった。
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