○●○第四章○●○②書き直し

第六十七話 特訓するパフェットとアヒージョの異変!

 ここは、パフェットの家だ。アヒージョの任命式は内密に行われることになったので、俺とパフェットは早々と帰宅した。合印決定選でクタクタに疲れていたので、早々とそれぞれの部屋で就寝した。翌日は、疲れも取れてすっきりとした目覚めだった。

 更に、その翌日のことだ。


「おはよう……って、パフェットは居ないのか……?」


 一階に降りてきたが、パフェットの姿はなかった。見慣れない朝刊が、テーブルの上に置かれている。手に取ると、今日の日付だった。寝ぼけ眼で朝刊に目を通す。


「きっと、アヒージョが第三区域の合印に決まったことがでかでかと載っているんだろうな」


 ため息交じりで、その記事を読んでいく。パフェットもフォイユも惜しかった。応援していた俺は、少し残念な気持ちになっていた。でも、アヒージョが合印に就任したことは、限りなく喜ばしい事だ。よく考えれば、俺の友達のアヒージョが合印なんて誇らしいではないか。そう思うと、また喜ぶ気持ちも湧いてくる。確かに、アヒージョが第三区域の合印になることは載っていた。朝刊の一面に、アヒージョの似顔絵がでかでかと載っている。続いて行われた任命式のことも書かれていた。


 しかし――。


「えっ? な、なんだって?」


 俺は、書かれている記事に目を疑った。しかし、記事を読んでも書かれている内容に変化はない。俺は、新聞の朝刊を手にパフェットを探した。階段を駆け上がる。しかし、仕事場にはいない。となると、一階か。パフェットの部屋をノックしたが、いないようだ。庭の外で動く影があった。そのまま、外に出る。すると、パフェットが特訓していた。


「パフェット!」


 声をかけるが、返事はない。無視ではないことは明らかだ。パフェットは解読し続けていた。集中しているせいで俺の声が届いていないのだろう。


「パフェット、おはよう!」


 俺が再び声をかけると、パフェットがハッとしてこちらを振り向いた。パフェットは、解読し続けて汗だくになっていた。夜も寝ずに特訓か。心配な目を向ける俺に、パフェットはパッと笑った。


「あ、ガーリックさんっ! おはようですっ!」

「……もしかして、昨日の夜から特訓してたのか?」

「はいっ! アヒージョさんに負けたので、特訓しないと眠れないのですっ!」

「ふーん。ほどほどにしとけよ? それで、朝刊に載っていたんだが……」


 俺のセリフが続かない。

 元気に笑うパフェットだが、どことなく痩せた気がする。合印決定選の前半で丸っこくなっていたのに、元に戻っている。

 合印になれなかったのがショックだったのだろうか。あまり無理はしてもらいたくない。

 よし! 美味しいメシを作って、パフェットを丸っこくさせよう! でないと、パフェットが心配だからな!

 パフェットが聞いたらはた迷惑な俺の決心を知らずに、パフェットが目をぱちくりした。


「ガーリックさん、今日の朝刊がどうかしたですかっ?」

「あ、そうだった! 実はな!」


 俺は、朝刊の一面をパフェットに見せた。


「アヒージョが任命式の前に倒れて、任命式が延期になったそうだ」

「えっ!? それは大変ですっ! お見舞いに行くですっ!」

「そうだな!」


 アヒージョの容態が心配だ。

 朝食を摂った後、俺とパフェットはアヒージョのお見舞いに向かったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る