第四十八話 パフェット、荒業を披露する!?

「ガーリックさんっ! ガーリックさんは格好良いので自信を持つですっ!」

「ぱ、パフェット……!」


 俺の感涙が止まらない。

 しかも、何故かパフェットがいつもより可愛く見えるような錯覚を覚えた。キラキラとした粒子がパフェットの周りを舞っているような、パフェットの背中に羽があるような――。パフェットは天使なのか。


「百歩譲って付き合ってやってもいいぞ!」

「百歩お返ししてお断りしますっ!」

「……」

「……」


 空に視線を馳せた俺は、ニヒルにフッと笑った。


「……嗚呼、今日は良い天気だ。この天気だと、流した涙もすぐに乾燥するだろう。涙さん、さようなら! 笑顔さん、こんにちは! ニッ!」

「ガーリックさん、悠長に構えている場合じゃないですっ!」


 パフェットに注意されて、俺はハッと我に返った。


「そ、そうだったな! 早く何とかしなければ!」


 その時、アナウンスが響き渡った。


『百七番! パフェットさん! シオンの間に入ってください!』


 俺はギョッとなって、パフェットを見た。

 このままでは、パフェットは合印決定選の一ノ選に参加できない。


「どうするんだ? このままじゃ、パフェットは失格に――」


 しかし、パフェットは不敵に笑い始めた。


「フッフッフ! ガーリックさん、私の特技を見るですっ!」


 パフェットは、肩を寄せるようにして身を小さくした。そして、暗号の文字列の束縛に隙間を作り、そこからスルスルと地面に滑り落ちた。


「うお……!?」

「必殺、パフェット様のグニャグニャの術ですっ!」

「そうか! パフェットは体が柔らかいのか! だからこんな荒業ができるのか!」

「そうですっ! パフェット様は、ちゃちゃちゃーっと合印決定選の一ノ選を適格になってみせますっ!」


 パフェットはチャッと手を振る。


「ガーリックさんも、怒りをバネに頑張ってくださいっ!」


 パフェットは、たたたたーっ、と合印邸の表に走って行った。パフェットはおそらく間に合うだろう。一ノ選も突破できるはずだ。流石はパフェットだ。


「俺も、パフェットを見習って、グニャグニャの術を……!」


 しかしながら、俺は男であるからして、体も硬いので、結論から言うと――。


「やっぱり、無理だろッッ!?」

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