第23話 技能講習研修
見学研修の最初の一週間が終わり、休日を挟んで、本日より技能講習の研修が始まります。
娘のラファちゃんは、本日より地下基礎学校へ天候となっています。
今月の残り三週間は、整備研修、管理研修、管理整備研修の各技能の講習です。
無論、
それぞれの技能講習の研修官は以下の通りです。
整備研修の技能講習には、アス姐。
管理研修の技能講習には、シャイン様。
管理整備研修の技能講習には、レイティア様。
私とお母さんのニアは、その補佐になるのですが、整備研修と管理研修だけ不安が募ってます…。
アス姐の座学は見たことが無いし、ルーモ主任は座学より実地の方がいいと言うので、講習はアス姐任せ。
シャイン様は、ドジを踏まなければ、問題ないのですが、レイティア様が居るので、不安の一言。
まぁ、一緒に講義を行うことはないので、問題ないと思っているんだけど…。
このことを母のニアに話したところ、「別段、問題ないでしょ。何かあれば私達が補佐すればいいんだから。」の一言で終わりました。
お仕事モードの母だから、確かに問題は無いと思うんだけど、アス姐はわからないけど、シャイン様は凹みそうだな…。
最初の2週間は、午前に管理技能講習、午後に整備技能講習になります。
そして、最後の一週間が、管理整備の技能講習が午前、午後共に行われます。
今回の研修は、大樹の丘の管理整備棟の小会議室で、講義が行われます。
まず、初日の様子は、こんな感じでした。
「ラエル様、フィール様、管理技能講習を行わせて頂きますシャインです。ふ、不束者ですが、よ、宜しくお願い致します。」
「「宜しくお願い致します。」」
「お二方とも、
そう言うと、管理技能講習が始まりました。
最初は、本当に管理者が教わる基本的な所を丁寧に解説し、教示していきました。
次に下位管理官の技能を進めるかと思いきや、並行して、中位管理官、上位管理官の技能講習を進めていったのです。
これは、私がこの大樹の丘に来た際に、レイティア様から新人研修で行われた方式とそっくりでなのでした。
下位管理官の業務は、一般管理者への指示、指示した内容のまとめると共に並行して、自身の管理者としての業務を遂行する。
中位管理官になると下位管理官の業務は無論のこと、提出された管理内容の再確認及び再考、問題点があれば、再度、指摘し、下位管理官へ指示等が行われる。さらに庭園管理業務の管理者への業務態度や姿勢なども監視対象となる。
上位管理官は、中位管理官までの業務は無論の事であるが、視察及び査察の場所、問題点等を事前に把握し、視察及び査察時に現状の把握、職務態度等の確認、視察及び査察後の対処、庭園管理状況の把握と進行状況、庭園設備の増築や補強と言った資材、予算の確認等、各種書類の最終確認などが行われる。
各管理官業務の教示を並行して行うことにより、より解りやすいものになる。一つだけを集中して教えるよりも、その上の役職になるとここまで可能になるということを並行することにより、理解が深まるのであるとのこと。(ニナ談)
「シャイン様、さすがはレイティア様の教え子なのよね。お仕事中は、本当に素敵に思えるけど、いつものドジっ子はどこに行くのかしら…。」
「アニス、シャインさんに失礼ですよ。あの方は、管理補佐官であるけれど、実力的には上位管理官と同等なんだから。」
「えぇ、それは、レイティア様に聞いてるけど、ドジっ子が幸いして、管理官になれないと。」
「レイティアさんも管理整備官の実力があるのに、本人が拒否するのよ。今のポストで充分だって。」
「確かにレイティア様もお仕事は、物凄く出来るものね。私の新人研修もレイティア様がしてくれたから…。」
「それは初耳よ。アニス、良くついていけたわね。あの方、研修となると管理整備官でも容赦ないんだから…。」
「えぇ、一年前、授業以上の内容で付いていくのに必死だったのはいい思い出。でも、いろいろと質問したら、丁寧に教えてくれたから、今では色々と身について役立ってるよ。」
「あの平均以上でも以下でもなく、庭園整備学校を卒業した私達の娘ですからね。教務の先生方には目立っていたのよ。アニスは知らないだろうけど、「実力を隠すのが巧すぎて困ります。」って、担任の教務から言われたことを思い出したわ。」
「下手に目を付けられるのも嫌だったので、平均点より少し上で卒業したんですよー。」
「こほん!研修生補佐のお二人、私語は慎むように。」
「「は、はい。申し訳ありません。」」
「「ふふふ。」」
こうして、ラエル夫妻に笑われながら、午前の管理講習は終わりました。
そして、昼食の為、
ラエル様もフィール様も食堂のメニューの多さとその味の美味しさに感動していたのは言うまでもありません。
午後は整備講習です。アス姐が行う整備講習の始まりは、至ってシンプルでした。
簡単に言うと一般整備士が出来ない所を先輩の整備士や主任、整備官が手伝えばいいということ。これが基本理念だということ。
そこから入り、主任、整備官に関しての教示が始まったのです。
一般整備士は、主任や各持ち場担当の管理者からの指示の元での整備作業を行うということ。
主任になると、各持ち場担当である責任者の配置、整備指示。整備士の業務態度、姿勢などの監視。資材、整備用品の確認。整備作業の時間と効率化の検討。庭園整備状況の把握及び確認。管理者及び整備官への報告が行われることや整備書類の作成と提出などの業務もあるということ。
整備官は、庭園全体の整備状況の把握、増築や補強の必要性の考慮、資材や整備用品の最終確認。管理官との連携。造園時、設計内容、場所、作業工程及び日数、必要植物の栽培管理状況等の細々な業務、各整備書類の最終確認も加算されていくことを講義されていました。
思っていた以上の講義をしていて、普段とは違うアス姐の姿に驚く私がいました。
そんな、私に気付いたお母さんから一言。
「アスさんは、管理整備官の資格は持ってるから、この程度の講習はお手の物なのよ。だから、心配することなんてないのに。」
「普段、整備現場でのアス姐しかしらないから、驚いてるだけよ。あんまり、話してるとまた怒られるよ。」
なんとなく悔しかったので一言だけ、言い返して終わりにしました。
こうして、初日の講習は、無事に終わりました。概要を大まかに説明する講習って感じでした。
2日目より、細かく分類されての講習が始まり、聞いていて大変、勉強になりました。
そして、あっという間に2週間が過ぎ、最後の1週間。レイティア様の管理整備の講習になります。
何故か、研修生に交じって、シャイン様が席についているのは、強制受講だそうです。
私達の方を見て、「助けて…。」と目で訴えてましたが、無論、
レイティア様の講習は、かなり厳しいので、有名なのであります。
管理整備の講習は、今までの集大成の講習です。
管理整備官の主な業務は、両者の橋渡し的な箇所でもあり、庭園の増築計画や予算、整備方法、大まかな作業工程と日数の算出、各備品、資材等、提出書類の確認、視察や査察業務、各業務の改善点等と言った管理官と整備官の両方の仕事を兼ねており、それらが巧く機能しないと、全体の効率は悪くなるので重要な役職でもあります。管理整備補佐官は、その名の通り、管理整備官を補佐する任なので、それに近い仕事が出来ないといけないのです。
こうして始まったレイティア様の管理整備の講習は、かなり解りやすいのですが、所々で、質問や応用の答えを求めることが多く、今までの講習に比べると格段に難しいものでした。これには、ラエルご夫妻も、時折、難色を示すも答えが出ると納得されており、今までの講習を全て総括していました。
シャイン様も自分で思っていた以上に答えが出せていたので、自分がきちんと成果を出せていることをわかった様子でした。
技能講習の最終日は、本来、レポート提出なのですが、お二方とも管理整備官なので不要と言うことを研修補佐である母のニナよりラエル様夫妻に伝えていました。
しかし、レポートにまとめて、しっかりと書いて提出をしたいとのことで、最終日は今月のまとめとしてのレポートを書いて貰うことにしました。
お二方のレポートは、中央への報告の為、お母さんに提出されたのですが、内容を見せてもらうと、今月の講習に関して、素晴らしいレポートが詳細に書かれていました。また、
こうして、研修の一ヶ月目が終わり、お二方に温かい言葉をかけた後、レポートを持ってお母さんは、中央管理局へと戻ることになりました。
中央に帰る際、私に笑顔で言ってくれました。
「残りの研修補佐、ガンバってね。しっかりと出来ていたから安心できるわ。アニスなら大丈夫よ。」
「ありがとう。お母さん。残りの研修補佐も私らしくガンバるね。」
「えぇ、あっという間の一ヶ月だったけど、お母さんも楽しかったわ。仕事をしている我が娘も見れたし。」
「私は、お母さんみたくスイッチは無いから、普通にお仕事をできますよー。」
「ふふ、じゃあ、アニス、今度は料理勉強会の時に会いましょうね。荷物は古式転移陣でもう送ったから心配いらないわ。」
「どおりで荷物が少ないのね。でも、何か忘れ物があったら、私が預かっておくから安心していいわよ。お母さんは、そそっかしい時があるからね。」
「じゃあ、元気でね。またね。アニス。」
「お母さんも元気でね。お父さんに宜しくね。」
こうして
来月から実施研修です。
当初は、今後の研修は、二手に別れての研修予定でした。
しかし、技能講習を受けて貰った際、夫妻の意見や考え方等、一緒の方が効率がよいのが判ったので、一緒に実施研修を受けて貰うことになっております。
私の来月一週目の予定は、研修から離れて、ラファちゃんの様子を見る為、地下基礎学校へ見学となります。
ラファちゃんに、きちんとお友達が出来ているといいんだけれど…。
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