第19話 特異点の後始末

今でも、あまり思い出したくないけど、光の大庭園ライト・ガーデンの特異点の件を振り返る。

・レムちゃんに…違うわね。光の大精霊様に会う為に特異点に訪れ、天族の愚かな方が特異点に住まう光の大精霊以外の全精霊を支配していたこと。

・外に居た精霊全てを解放し、四大の高位精霊さん達から光の大精霊様を助けて欲しいと頼まれた時に、天族の愚かな方に封印されそうになったこと。

・封印陣を逆手にとって、光の大精霊様を封印していた地に転移し、瑠璃ラピス様とルーシェ様の喧嘩に巻き込まれそうになって、私の影に隠れていた闇の大精霊様と友となり、封印され弱っていた光の大精霊様を助け出して友となったこと。

・そして、特異点全ての精霊を解放し、天族の愚かな方に精霊の怒りの鉄槌を降したこと。

簡潔にまとめると四点になるのかな。起承転結になっているような、なっていないような、まぁ、事実だし、これを話せばいいか。


光の大庭園ライト・ガーデンの特異点での事件をミカ様、琉璃ラズリ様、ラファちゃんに話す。

ルーシェ様は、私から簡潔的な話を聞いているのと四大の高位精霊さん達から事情を聞いているので、知っているので驚くことは無かった。

闇の大庭園ナイト・ガーデンのラファちゃん以外のお二方は、話を聞いて目を丸くしている。


「アニス様、それは本当のことなのですか?」


「えぇ、全て本当のことです。」


「信じられませんわ。」


「うーん、じゃあ、ちょっと待ってくださいね。」


信じろと言っても信じられないのは当たり前のことだろう。

私は、大樹の丘で過ごしている光の大精霊レムちゃん闇の大精霊シェイド君に精霊界を通して話しかける。


「おーい、二人共、こっちにじゃない。えっと瑠璃ラピス様にお姉さんが光晶宮クリスタル・パレスの応接室に来てるのを伝えて欲しいんだけど。それが終わったら、召喚するから、準備しておいてね。」


「はーい。準備はいつでも出来てるますど、伝言が先ですね。わかりました。」


琉璃ラズリが来てるの?じゃあ、瑠璃ラピスに伝えないとダメだね。でも、たぶん、そっちに行きたがるから、アニス様を逆召喚してもいい?」


「逆召喚って、私が大樹の丘に召喚されるの?」


「そういうことになりますね。」

「そういうことになるね。」


「帰りはどうするの? まだ、こっちでの要件は終わってないんだけど。」


「それでは、逆召喚の意味がないですね。」


「あぁ、そうか、じゃあ、伝言は僕がしてくるから、光の大精霊レムちゃんだけ先に召喚して、伝言が終わったら、光の大精霊レムちゃんに伝えるから、その時の話のタイミングで僕を召喚してくれればいいよ。」


「わかったわ。闇の大精霊シェイド君は伝言の方、宜しくね。光の大精霊レムちゃんは召喚するけど、準備はいい?」


「はい、大丈夫です。」

「ほーい、お任せあれ。」


私は、両眼を閉じてから、ゆっくりと両眼を開けて、精霊眼を解放する。

そして、光の大精霊レムちゃんの召喚を行う。


「光の精霊を束ねし、光輝なりし偉大なる精霊よ。我が願い、我が声に耳を傾け、その姿を我が前に顕現したまえ。」


私の目の前に精霊召喚陣が現われ、私の声と共に発動し、その中から光輝く、可憐なる少女の姿をした光の大精霊レムちゃんが顕現する。


「アニス様、何の御用でしょうか?」


可愛らしく可憐な姿で、顕現した光の大精霊レムちゃんが私に訊ねる。


「話したくないかもしれないけど、特異点での事件を天族の方々にお話しして欲しいのよ。」


「あの件ですね。わかりました。」


私達の前に顕現した光の大精霊レムちゃんに驚くミカ様がいて、琉璃ラズリ様は冷静であり、ラファちゃんは目を輝かしている。


「あれは、あの両眼の輝きは精霊眼? アニス様って何者なのですか? ルーシェ様。」


「何者って、自己紹介されたでしょ。光の大庭園ライト・ガーデンの特別管理整備補佐官って。」


「いえ、それは承知してますが、光の大精霊様を呼び出すなんて、普通、人の子が出来る訳ありませんよ。」


「そうね。普通の人の子ならね。でも、アニス様は違うのよ。幼少期より精霊を友とし、その記憶を封印されても、尚、精霊に愛された者。その記憶の封印が解かれた時に精霊眼に目覚め、全ての精霊に祝福され、大精霊師エレメンタルマスターになったのよ。」


「では、アニス様は、大精霊師エレメンタルマスターなのですね。全ての大精霊と友になれる存在。だから、光の大精霊を友とし、召喚できたのですね。」


「いえ、違うわ。アニス様は、既に精霊姫エレメントプリンセスよ。」


精霊姫エレメントプリンセスって、実在したことがない幻の存在ですよ。四大の大精霊と光と闇の大精霊を従えし者ですよ。人の子が大精霊師エレメンタルマスターというだけでも、稀な存在なのにその更に先を行くというのですか?」


「えぇ、そうよ。ミカは、変わってないのね。時折、視野を狭くしてしまう所は…。貴女の力なら、アニス様の能力ステータスは、その聖眼で見てわかるでしょうに。」


「いえ、聖眼で見れなくなってるのです。ルーシェ様の魔眼でも今では見えないと思いますけど。」


「あら、本当だわ。精霊の守護や加護が強くなってるのね。さすがは、精霊姫エレメントプリンセスね。」


何か私の話題で盛り上がってる気がする。


「あのう。ルーシェ様、ミカ様、光の大精霊レムちゃんが困ってるんですけど。」


「あぁ、失礼しました。ほら、ミカ、光の大精霊様に謝って。」


「ルーシェ様も同罪ですよ。一緒に謝ってください。」


「あのう、謝罪はいいので、お二方ともお話を聞きたいのですよね。私の知ってる大まかな状況であれば、直接、お伝えしても宜しいですか?」


「えぇ、構いませんけど、負担がかかるのでは?」


「いえ、大丈夫です。あっ、ちょっと待ってくださいね。アニス様、闇の大精霊シェイド君が伝えたから、準備できてるって。」


「わかったわ。お二方、すみません。少し、お待ちくださいね。」


精霊眼は解放してあるから、問題ないので、闇の大精霊シェイド君を呼び出す。


「闇の精霊を束ねし、深遠なりし偉大なる精霊よ。我が願い、我が声に耳を傾け、その姿を我が前に顕現したまえ。」


目の前に精霊召喚陣が再び現われ、私の声と共に発動し、深き闇と共に召喚陣の中から、悪戯っぽい少年の姿をした闇の大精霊シェイド君が顕現する。


「アニス様、お呼び頂きありがとう。して、私にはどのような御用で。」


闇の大精霊シェイド君には、光の大精霊レムちゃんのサポートと光の大庭園ライト・ガーデンに来た経緯を皆様方にお話をして欲しいのですけど。」


「了解したよ。サポートと経緯を伝えればいいんだね。」


新たに顕現した闇の大精霊シェイド君に皆、驚く。まさか、光と闇の大精霊が揃うとは思ってなかったらしい。


ラファちゃんが不意に声をかけてくる。


「アニス姉様、どうしたら、そんなに精霊と仲良くできるの?」


「うーんとね、きちんと心から友になりたいって思ってお話したのよ。」


「私は、闇の大精霊様と会った時に断られちゃったの。私じゃダメだって。」


闇の大精霊シェイド君は変わり者だからね。でも、きっと他の精霊さんとなら、仲良くなれると思うわよ。」


「ホントに? 嘘だったら嫌だよ。」


「大樹の丘に行ったら、精霊さん達、皆をラファちゃんに紹介してあげるから、大丈夫よ。きっと仲良くしてくれるわ。」


「ラファ様は、精霊と友になりたくて、闇の大庭園ナイト・ガーデンの特異点に行ってしまい、その際にこの件に関わってしまったのです。」


琉璃ラズリ様がラファ様の警護で一緒に闇の大庭園ナイト・ガーデンの特異点まで行った経緯を念話テレパシーで伝えてくれる。

ラファちゃんは、普通の場所では精霊が見えないらしく、精霊の力が満ちていて顕現している特異点へ会いに行ったとのこと。

そして、その際にあの愚かな天族にラファちゃんが持つ力に興味を示し、精霊だけでなく、ラファちゃんも狙い、警護で付き添っていた琉璃ラズリ様の返り討ちに遭い、そのまま特異点で行方を晦ましたとのこと。そして、闇の大精霊も行方不明になってしまったこと等を伝えてこられる。


「それで、光の大精霊レムちゃん闇の大精霊シェイド君を友とした私に興味を持っているのですね。」


「はい。アニス様の御力というか、精霊と友達になったことを凄いと思っており、憧れているのです。」


「憧れられるような者ではないんですけどね。あぁ、そうだ、琉璃ラズリ様。瑠璃ラピス様に来訪してることを伝えておきましたよ。」


「それでですか…。いえ、先程から瑠璃ラピスからの同調シンクロ念話テレパシーがしつこくて無視していたのです。しかし、この短い時間によく連絡を出来ましたね。」


「いえ、闇の大精霊シェイド君に伝言を頼んだんです。」


すると、琉璃ラズリ様は少し呆れて困った顔をされる。ラファちゃんは、私を見る目がますます輝かしていく。

うーん、ある意味で困ったわ。下手に伝言なんてするんじゃなかったのかしら…。


「あの、琉璃ラズリ様、要らぬお世話でしたかね。」


「はい。あとで驚かせようと思っていたので、しかし、困りましたね。もうすぐ此処に来るみたいです。」


「やっぱり、そうなりますよね。」


「あの子、あれでいてお姉ちゃん子なんです。双子なんですけどね…。」


「とりあえず、ここで大喧嘩にならなければいいです。」


「私としても、ルーシェ叔母様に迷惑は掛けたくないので。喧嘩になりそうなら、全力で止めますので。」


「では、先にこの件を終らせるのが先ですね。」


ルーシェ様とミカ様に光と闇の特異点での件が光の大精霊レムちゃん闇の大精霊シェイド君から伝えられた様子。


「これ程とは、思ってなかったですわ。」


「はい。ルーシェ様、私もこれ程までに凄い件とは、思ってなかったです。それで、この件を起こした者は今、どこに。」


「えぇっと、光晶宮クリスタル・パレス内の使ってない小会議室の一部屋に特殊結界を施して、捕えているわよ。」


「では、その者をここに呼んで頂けますか?」


「それは無理ね。特殊結界を解かないといけないし、絶対に安全とは言えないから。」


「では、この件は、私とルーシェ様だけで大丈夫です。あとで、その者の場所へ案内をお願いします。」


「そうね。大精霊様方、アニス様、本当にありがとうございました。このような大事件を解決して頂き、誠にありがとうございます。」


「アニス様、我ら天族の者が犯した大失態とその許されざる罪、天族の筆頭として、ここに謝罪致します。誠に申し訳ありませんでした。」


お二方が私に揃って、頭を下げられる。


「お二方、もし極刑に処すというのならば、光の大庭園ここではなく、闇の大庭園ナイト・ガーデンでお願い致します。そこまで、何もできないように私がしますので。」


「しかし、アニス様にこれ以上、負担をかける訳には参りません。なので、私が封印して闇の大庭園ナイト・ガーデンへ連れ戻しますので。」


「いえ、私も二度と顔は見たくなかったのですが、光の大庭園ライト・ガーデンの特別管理整備補佐官として、闇の大庭園ナイト・ガーデンへ移送を責任もってさせて戴きます。」


「そう言われると私は何もできませんわ。アニス様にお任せするしかありません。」


「わかりました。アニス様にお任せします。しかし、何をするのかをしっかりと見届けさせて頂きたいです。」


「では、琉璃ラズリ様とラファちゃんは、ここで待っててくださいね。お二方、その者がいる場所へ参りましょう。」


そうして、お二方を応接室で待っていただき、私は一旦、光と闇の大精霊を精霊界に帰すことにし、ルーシェ様とミカ様と共にあの者が捕らえられている場所へとルーシェ様の瞬間転移の魔術テレポートで、小規模ながら特殊結界で封じられた一部屋の前に着く。


「では、封印の一部を解きますね。アニス様、準備は宜しいですか?」


「えぇ、大丈夫です。」


「やはり、この封印ごと、私が…。いえ、なんでもありません。」


私の決意した表情を見て、引き下がったのかもしれない。

光の大庭園ライト・ガーデンの特別管理整備補佐官としての任であり、精霊姫エレメントプリンセスとしての責務を負わないといけない。

そして、扉を開く。


「ほう。これは魔族の筆頭に天族の筆頭までお揃いで、一体何用かな?闇の大庭園ナイト・ガーデンへ連れ戻すのか?それとも、ここで極刑に処されるのかな?」


「この前よりも随分と威勢のいいことね。この方を前にして、その口をまだ聞けるといいのだけれど。」


無言で、お二方の前に私が立つ。


「貴様、あの時の小娘か…。ふふふ、我が野望が潰えてはないということか、ここならば、貴様も何もできまい。小娘、貴様だけは決して許さん。」


私は無視して、私の友である全ての大精霊を召喚する。


「光と闇、そして四大を司りし、大いなる力を持ちし精霊達よ。我が願いを聞き、今ここに顕現したまえ。」


私は精霊眼を解放し、願いと共に同時に六つの召喚陣が描き出され、発動し、光、闇、火、水、風、土の大精霊を召喚する。


「な、なんだと…。そんなバカな…。小娘如きが、このようなことを出来るはずは無い。」


「我らが姫を愚弄するつもりか、下賤なる天族の者よ。」


「こんな奴が、おいら達を捉えようなんて、笑っちゃうのだ。」


「うーんとねー。高位精霊を支配したつもりみたいだけど、私達には通用しないよー。」


「わらわ達を傷つけようとしても、無駄の極みというもの。」


「僕は、何にも言えないからパスしまーす。」


「私は一言だけ。貴方のことは、大嫌いです。」


火、土、風、水、闇、光の大精霊が顕現し、愚かなる者を威圧する。


「これでも、何かするつもりかしら?」


「こうなれば、意地でも貴様だけでも、み…。」


「時の精霊よ。我が願いを聞き給え。我が前に立ちし、愚かなりし者の時を止めたまえ。」


時の精霊に願うと、私に何かしようとした天族が動けなくなる。


「手足と口に関する時を止めました。声は出ないし、手と足は動かせないです。他は止めてないから、見えるし聞こえるはずです。あとは闇の大庭園ナイト・ガーデンで刑を受けてください。一応、私からの刑はこれで最後です。貴方が手に入れたかった力の全てを受け止めてみるといいですよ。」


私は、精霊使役の一時譲渡を行う。

大精霊、6体の使役を譲渡する。

すると、愚かなる者の表情が一瞬にして、苦悶に変わる。

口の時は止めてあるので、声は出せない。それでも悲痛な叫びをあげている。


6体の大精霊は、顕現しているだけで、それ以上のことは何もしていない。

簡単に言えば、これが精霊力の差と言うものなのだろう…。


今、私に備わっている精霊力は、とてつもなく莫大な容量を持っているとのことです。

元々、幼い頃に精霊を友とした際に精霊力に目覚め、莫大な精霊力を宿した為、記憶の封印と共にされていたというのです。そして、大樹の丘で整備士として過ごし、大樹の丘の全ての精霊さん達は、記憶を無くしていた私に力を貸し与えてくれていました。その間に新たに幼い頃と同等以上の精霊力を宿し、記憶の封印が解放された際に秘められていた莫大な精霊力と身体に宿していた精霊力がぶつかり大爆発のようなものを起こし、精霊眼を両眼に開眼したということを「光の書」さんに聞いて知ったことです。


「もう、いいかしら? では、戻ってきてくれますか?」


顕現している6体の大精霊の使役を私に戻す。

愚かなる者は全精霊力と全天力、体力、精神力の全てを消費し、立ったまま失神している。

全てを合わせても、1分にも満たず、持たなかったらしい。


「あのような下賤な輩に一時と言えど、力を渡すとは、姫も剛毅な方ですね。」


「その姫と言うのは、まぁ、火の大精霊サラさんだから、仕方ないけど、あんまり好きじゃないわね。あと別に剛毅でもないですよ。」


「そうじゃ、姫に剛毅とはなんという物言い、恥を知れ。」


「だから、水の大精霊ディーネさんも姫というのはって、このお二方には無駄なのかしら…。」


「アニスちゃんに特別な呼び方は嫌われちゃうよー。」


「おいら達は、普通にアニスちゃんと呼ぶのだ。」


風の大精霊シルフィさん土の大精霊ノムさんは、普通に呼んでくれてありがたいわ。」


四大の大精霊さん達と話していると、ルーシェ様が声を掛けてくる。


「アニス様、お見事です。これ以上の刑は無いでしょう。しかし、いささかやり過ぎな気もしますが…。」


「望みを叶えてあげたのですよ。ひと時でも偉大なる力を手に入れたのですから、やり過ぎとは思いませんが?」


「確かにそうですが、光と闇だけならず、四大の大精霊まで呼び出すことは無かったかと。」


「まぁ、確かにそうですけど、光の大精霊レムちゃん闇の大精霊シェイド君は狙われていましたから、二人の力だけをひと時と言え、貸し与えるのは本人達が可哀想です。」


「いえ、6体もの大精霊を顕現できるのは、両眼に精霊眼を宿しているアニス様だけですから。それに時の精霊まで友としているとは、驚きしかありません。しかも、部分停止とか高度なお願いをして、アニス様は大丈夫なのですか?」


「別に何ともありませんよ。まぁ、6体の大精霊さんを顕現させて、さらに時の精霊さんにお願いをしたから、ほんの少し疲れたくらいですけど。」


ミカ様は、この状況についていけてない様子。

それもそのはず、あり得ないことが目の前で現実で起きているのだから。

光の大精霊レムちゃん闇の大精霊シェイド君の顕現だけでも、驚いていたのにさらに四大の大精霊まで顕現させたから。

普通ではありえないことを平気でやっている私がいる。

あぁ、やっぱり普通の人の子ではなくなってる自覚はをきちんとしなくてはいけないのよね…。


「ミカ様、大丈夫ですか?」


「え、はい、アニス様。すみません。目の前に起こっていることを整理できず、どこか遠くに行ってしまっていたようです。」


「まぁ、誰だって、こんな状況を見れば、どこか遠くに行ってしまうわよ。私だって、そうだったから。」


「とりあえず、光の大庭園ライト・ガーデンとしての処罰は終わりました。あとは、闇の大庭園ナイト・ガーデンでの刑はお任せします。」


「はい。わかりました。あとは闇の大庭園ナイト・ガーデンにて、刑罰を降したいと思います。」


「立ったまま失神しているけど、命に別状は無いわ。回復させる必要はないと判断するので、そのままミカに身柄を渡すわ。」


「ルーシェ様もありがとうございます。この度はご協力、感謝いたします。それでは、身柄を引き受けますね。」


ミカ様は、一旦、結界の外に出て、何かを取り出して、再び結界の中に入り、拘束監獄球プリズンボールの中に失神したまま拘束する。

ルーシェ様は特殊結界を解いて、普通の小会議室に戻される。

私は、顕現していた大精霊さん全てを精霊界に帰して、精霊眼を閉じる。


「確かにそれなら逃げ場は無いわね。それにミカの天力で強化されている以上、脱獄は無理だものね。」


「ルーシェ様に褒められるとは、思いませんでした。嬉しい限りです。」


「別に褒めてはいないけど、まぁ、いいわ。それじゃあ、中央転移門セントラル・ゲートに行きましょうか。アニス様は少し休んでから、ラファと琉璃ラズリを連れて、大樹の丘へお戻りください。」


「いえ、私も光の大庭園ライト・ガーデンの特別管理整備補佐官として、お見送りさせていただきます。」


「アニス様、お心遣いありがとうございます。」


「それでは、転移門ゲート前まで、転移しますね。」


ルーシェ様の瞬間転移の魔術テレポートで、中央転移門セントラル・ゲート前に一瞬で辿り着く。

そして、鍵となる光晶クリスタルを取り出し、門を開ける。


「それでは、ルーシェ様、アニス様、大変、お世話になりました。アニス様がご両親と共に闇の大庭園こちらに研修に来るのは存じてますので、是非、闇の大庭園こちらの中央管理局へ遊びに来てくださいね。」


「私は研修生ではなく、一家族の扱いで、闇の大庭園そちらに伺うので宜しくお願いします。」


「あら、そうでしたの。わかりました。では、闇の大庭園こちらの案内を私自らさせていただきますね。」


「ありがとうございます。ミカ様。その際は、宜しくお願い致します。」


「ミカ、光の大庭園うちの研修生は、人でも、ずば抜けてるから、その際は宜しくね。」


「ルーシェ様もいろいろとありがとうございました。闇の大庭園うち研修生達をどうか宜しくお願いしますね。それでは、失礼します。」


そう言うとミカ様は、中央転移門セントラル・ゲートの中に入り、門が閉じていく。

こうして、特異点での後始末が全て終わりました。

これで、もう関わることは決してない…と思います。

さて、応接室に琉璃ラズリ様とラファちゃんを待たせているから、戻らないと。しかし、何か一つ忘れているような…。

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