第19話 特異点の後始末
今でも、あまり思い出したくないけど、
・レムちゃんに…違うわね。光の大精霊様に会う為に特異点に訪れ、天族の愚かな方が特異点に住まう光の大精霊以外の全精霊を支配していたこと。
・外に居た精霊全てを解放し、四大の高位精霊さん達から光の大精霊様を助けて欲しいと頼まれた時に、天族の愚かな方に封印されそうになったこと。
・封印陣を逆手にとって、光の大精霊様を封印していた地に転移し、
・そして、特異点全ての精霊を解放し、天族の愚かな方に精霊の怒りの鉄槌を降したこと。
簡潔にまとめると四点になるのかな。起承転結になっているような、なっていないような、まぁ、事実だし、これを話せばいいか。
ルーシェ様は、私から簡潔的な話を聞いているのと四大の高位精霊さん達から事情を聞いているので、知っているので驚くことは無かった。
「アニス様、それは本当のことなのですか?」
「えぇ、全て本当のことです。」
「信じられませんわ。」
「うーん、じゃあ、ちょっと待ってくださいね。」
信じろと言っても信じられないのは当たり前のことだろう。
私は、大樹の丘で過ごしている
「おーい、二人共、こっちにじゃない。えっと
「はーい。準備はいつでも出来てるますど、伝言が先ですね。わかりました。」
「
「逆召喚って、私が大樹の丘に召喚されるの?」
「そういうことになりますね。」
「そういうことになるね。」
「帰りはどうするの? まだ、こっちでの要件は終わってないんだけど。」
「それでは、逆召喚の意味がないですね。」
「あぁ、そうか、じゃあ、伝言は僕がしてくるから、
「わかったわ。
「はい、大丈夫です。」
「ほーい、お任せあれ。」
私は、両眼を閉じてから、ゆっくりと両眼を開けて、精霊眼を解放する。
そして、
「光の精霊を束ねし、光輝なりし偉大なる精霊よ。我が願い、我が声に耳を傾け、その姿を我が前に顕現したまえ。」
私の目の前に精霊召喚陣が現われ、私の声と共に発動し、その中から光輝く、可憐なる少女の姿をした
「アニス様、何の御用でしょうか?」
可愛らしく可憐な姿で、顕現した
「話したくないかもしれないけど、特異点での事件を天族の方々にお話しして欲しいのよ。」
「あの件ですね。わかりました。」
私達の前に顕現した
「あれは、あの両眼の輝きは精霊眼? アニス様って何者なのですか? ルーシェ様。」
「何者って、自己紹介されたでしょ。
「いえ、それは承知してますが、光の大精霊様を呼び出すなんて、普通、人の子が出来る訳ありませんよ。」
「そうね。普通の人の子ならね。でも、アニス様は違うのよ。幼少期より精霊を友とし、その記憶を封印されても、尚、精霊に愛された者。その記憶の封印が解かれた時に精霊眼に目覚め、全ての精霊に祝福され、
「では、アニス様は、
「いえ、違うわ。アニス様は、既に
「
「えぇ、そうよ。ミカは、変わってないのね。時折、視野を狭くしてしまう所は…。貴女の力なら、アニス様の
「いえ、聖眼で見れなくなってるのです。ルーシェ様の魔眼でも今では見えないと思いますけど。」
「あら、本当だわ。精霊の守護や加護が強くなってるのね。さすがは、
何か私の話題で盛り上がってる気がする。
「あのう。ルーシェ様、ミカ様、
「あぁ、失礼しました。ほら、ミカ、光の大精霊様に謝って。」
「ルーシェ様も同罪ですよ。一緒に謝ってください。」
「あのう、謝罪はいいので、お二方ともお話を聞きたいのですよね。私の知ってる大まかな状況であれば、直接、お伝えしても宜しいですか?」
「えぇ、構いませんけど、負担がかかるのでは?」
「いえ、大丈夫です。あっ、ちょっと待ってくださいね。アニス様、
「わかったわ。お二方、すみません。少し、お待ちくださいね。」
精霊眼は解放してあるから、問題ないので、
「闇の精霊を束ねし、深遠なりし偉大なる精霊よ。我が願い、我が声に耳を傾け、その姿を我が前に顕現したまえ。」
目の前に精霊召喚陣が再び現われ、私の声と共に発動し、深き闇と共に召喚陣の中から、悪戯っぽい少年の姿をした
「アニス様、お呼び頂きありがとう。して、私にはどのような御用で。」
「
「了解したよ。サポートと経緯を伝えればいいんだね。」
新たに顕現した
ラファちゃんが不意に声をかけてくる。
「アニス姉様、どうしたら、そんなに精霊と仲良くできるの?」
「うーんとね、きちんと心から友になりたいって思ってお話したのよ。」
「私は、闇の大精霊様と会った時に断られちゃったの。私じゃダメだって。」
「
「ホントに? 嘘だったら嫌だよ。」
「大樹の丘に行ったら、精霊さん達、皆をラファちゃんに紹介してあげるから、大丈夫よ。きっと仲良くしてくれるわ。」
「ラファ様は、精霊と友になりたくて、
ラファちゃんは、普通の場所では精霊が見えないらしく、精霊の力が満ちていて顕現している特異点へ会いに行ったとのこと。
そして、その際にあの愚かな天族にラファちゃんが持つ力に興味を示し、精霊だけでなく、ラファちゃんも狙い、警護で付き添っていた
「それで、
「はい。アニス様の御力というか、精霊と友達になったことを凄いと思っており、憧れているのです。」
「憧れられるような者ではないんですけどね。あぁ、そうだ、
「それでですか…。いえ、先程から
「いえ、
すると、
うーん、ある意味で困ったわ。下手に伝言なんてするんじゃなかったのかしら…。
「あの、
「はい。あとで驚かせようと思っていたので、しかし、困りましたね。もうすぐ此処に来るみたいです。」
「やっぱり、そうなりますよね。」
「あの子、あれでいてお姉ちゃん子なんです。双子なんですけどね…。」
「とりあえず、ここで大喧嘩にならなければいいです。」
「私としても、ルーシェ叔母様に迷惑は掛けたくないので。喧嘩になりそうなら、全力で止めますので。」
「では、先にこの件を終らせるのが先ですね。」
ルーシェ様とミカ様に光と闇の特異点での件が
「これ程とは、思ってなかったですわ。」
「はい。ルーシェ様、私もこれ程までに凄い件とは、思ってなかったです。それで、この件を起こした者は今、どこに。」
「えぇっと、
「では、その者をここに呼んで頂けますか?」
「それは無理ね。特殊結界を解かないといけないし、絶対に安全とは言えないから。」
「では、この件は、私とルーシェ様だけで大丈夫です。あとで、その者の場所へ案内をお願いします。」
「そうね。大精霊様方、アニス様、本当にありがとうございました。このような大事件を解決して頂き、誠にありがとうございます。」
「アニス様、我ら天族の者が犯した大失態とその許されざる罪、天族の筆頭として、ここに謝罪致します。誠に申し訳ありませんでした。」
お二方が私に揃って、頭を下げられる。
「お二方、もし極刑に処すというのならば、
「しかし、アニス様にこれ以上、負担をかける訳には参りません。なので、私が封印して
「いえ、私も二度と顔は見たくなかったのですが、
「そう言われると私は何もできませんわ。アニス様にお任せするしかありません。」
「わかりました。アニス様にお任せします。しかし、何をするのかをしっかりと見届けさせて頂きたいです。」
「では、
そうして、お二方を応接室で待っていただき、私は一旦、光と闇の大精霊を精霊界に帰すことにし、ルーシェ様とミカ様と共にあの者が捕らえられている場所へとルーシェ様の
「では、封印の一部を解きますね。アニス様、準備は宜しいですか?」
「えぇ、大丈夫です。」
「やはり、この封印ごと、私が…。いえ、なんでもありません。」
私の決意した表情を見て、引き下がったのかもしれない。
そして、扉を開く。
「ほう。これは魔族の筆頭に天族の筆頭までお揃いで、一体何用かな?
「この前よりも随分と威勢のいいことね。この方を前にして、その口をまだ聞けるといいのだけれど。」
無言で、お二方の前に私が立つ。
「貴様、あの時の小娘か…。ふふふ、我が野望が潰えてはないということか、ここならば、貴様も何もできまい。小娘、貴様だけは決して許さん。」
私は無視して、私の友である全ての大精霊を召喚する。
「光と闇、そして四大を司りし、大いなる力を持ちし精霊達よ。我が願いを聞き、今ここに顕現したまえ。」
私は精霊眼を解放し、願いと共に同時に六つの召喚陣が描き出され、発動し、光、闇、火、水、風、土の大精霊を召喚する。
「な、なんだと…。そんなバカな…。小娘如きが、このようなことを出来るはずは無い。」
「我らが姫を愚弄するつもりか、下賤なる天族の者よ。」
「こんな奴が、おいら達を捉えようなんて、笑っちゃうのだ。」
「うーんとねー。高位精霊を支配したつもりみたいだけど、私達には通用しないよー。」
「わらわ達を傷つけようとしても、無駄の極みというもの。」
「僕は、何にも言えないからパスしまーす。」
「私は一言だけ。貴方のことは、大嫌いです。」
火、土、風、水、闇、光の大精霊が顕現し、愚かなる者を威圧する。
「これでも、何かするつもりかしら?」
「こうなれば、意地でも貴様だけでも、み…。」
「時の精霊よ。我が願いを聞き給え。我が前に立ちし、愚かなりし者の時を止めたまえ。」
時の精霊に願うと、私に何かしようとした天族が動けなくなる。
「手足と口に関する時を止めました。声は出ないし、手と足は動かせないです。他は止めてないから、見えるし聞こえるはずです。あとは
私は、精霊使役の一時譲渡を行う。
大精霊、6体の使役を譲渡する。
すると、愚かなる者の表情が一瞬にして、苦悶に変わる。
口の時は止めてあるので、声は出せない。それでも悲痛な叫びをあげている。
6体の大精霊は、顕現しているだけで、それ以上のことは何もしていない。
簡単に言えば、これが精霊力の差と言うものなのだろう…。
今、私に備わっている精霊力は、とてつもなく莫大な容量を持っているとのことです。
元々、幼い頃に精霊を友とした際に精霊力に目覚め、莫大な精霊力を宿した為、記憶の封印と共にされていたというのです。そして、大樹の丘で整備士として過ごし、大樹の丘の全ての精霊さん達は、記憶を無くしていた私に力を貸し与えてくれていました。その間に新たに幼い頃と同等以上の精霊力を宿し、記憶の封印が解放された際に秘められていた莫大な精霊力と身体に宿していた精霊力がぶつかり大爆発のようなものを起こし、精霊眼を両眼に開眼したということを「
「もう、いいかしら? では、戻ってきてくれますか?」
顕現している6体の大精霊の使役を私に戻す。
愚かなる者は全精霊力と全天力、体力、精神力の全てを消費し、立ったまま失神している。
全てを合わせても、1分にも満たず、持たなかったらしい。
「あのような下賤な輩に一時と言えど、力を渡すとは、姫も剛毅な方ですね。」
「その姫と言うのは、まぁ、
「そうじゃ、姫に剛毅とはなんという物言い、恥を知れ。」
「だから、
「アニスちゃんに特別な呼び方は嫌われちゃうよー。」
「おいら達は、普通にアニスちゃんと呼ぶのだ。」
「
四大の大精霊さん達と話していると、ルーシェ様が声を掛けてくる。
「アニス様、お見事です。これ以上の刑は無いでしょう。しかし、いささかやり過ぎな気もしますが…。」
「望みを叶えてあげたのですよ。ひと時でも偉大なる力を手に入れたのですから、やり過ぎとは思いませんが?」
「確かにそうですが、光と闇だけならず、四大の大精霊まで呼び出すことは無かったかと。」
「まぁ、確かにそうですけど、
「いえ、6体もの大精霊を顕現できるのは、両眼に精霊眼を宿しているアニス様だけですから。それに時の精霊まで友としているとは、驚きしかありません。しかも、部分停止とか高度なお願いをして、アニス様は大丈夫なのですか?」
「別に何ともありませんよ。まぁ、6体の大精霊さんを顕現させて、さらに時の精霊さんにお願いをしたから、ほんの少し疲れたくらいですけど。」
ミカ様は、この状況についていけてない様子。
それもそのはず、あり得ないことが目の前で現実で起きているのだから。
普通ではありえないことを平気でやっている私がいる。
あぁ、やっぱり普通の人の子ではなくなってる自覚はをきちんとしなくてはいけないのよね…。
「ミカ様、大丈夫ですか?」
「え、はい、アニス様。すみません。目の前に起こっていることを整理できず、どこか遠くに行ってしまっていたようです。」
「まぁ、誰だって、こんな状況を見れば、どこか遠くに行ってしまうわよ。私だって、そうだったから。」
「とりあえず、
「はい。わかりました。あとは
「立ったまま失神しているけど、命に別状は無いわ。回復させる必要はないと判断するので、そのままミカに身柄を渡すわ。」
「ルーシェ様もありがとうございます。この度はご協力、感謝いたします。それでは、身柄を引き受けますね。」
ミカ様は、一旦、結界の外に出て、何かを取り出して、再び結界の中に入り、
ルーシェ様は特殊結界を解いて、普通の小会議室に戻される。
私は、顕現していた大精霊さん全てを精霊界に帰して、精霊眼を閉じる。
「確かにそれなら逃げ場は無いわね。それにミカの天力で強化されている以上、脱獄は無理だものね。」
「ルーシェ様に褒められるとは、思いませんでした。嬉しい限りです。」
「別に褒めてはいないけど、まぁ、いいわ。それじゃあ、
「いえ、私も
「アニス様、お心遣いありがとうございます。」
「それでは、
ルーシェ様の
そして、鍵となる
「それでは、ルーシェ様、アニス様、大変、お世話になりました。アニス様がご両親と共に
「私は研修生ではなく、一家族の扱いで、
「あら、そうでしたの。わかりました。では、
「ありがとうございます。ミカ様。その際は、宜しくお願い致します。」
「ミカ、
「ルーシェ様もいろいろとありがとうございました。
そう言うとミカ様は、
こうして、特異点での後始末が全て終わりました。
これで、もう関わることは決してない…と思います。
さて、応接室に
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