第18話 天族のお出迎え

光晶宮クリスタル・パレス内の大食堂にて、中央庭園セントラル・ガーデンの中央管理整備室の皆様方と楽しく昼食をしています。

主に臨時朝礼で私に悪戯を働き、吹き飛ばされた方々なのですが、きちんと反省して貰えたようで、私をきちんと認めてくれています。

まぁ、一部の方々は、私に対して、敬意と畏怖の両方が見え隠れしているのは、気のせいではありませんが・・・。

ルーシェ様も私達と一緒に昼食を食べているので、緊張をされている方も居たりします。


別行動を取っていた大樹の丘の皆様方も、大食堂に戻ってきており、別々の場所で昼食をされています。

レイティア様とシャイン様は、中央管理局の方々と食べており、アス姐は、中央管理整備室のサタン様と私の両親と食事をされています。


「ルーシェ様、ここの食事も美味しいですね。でも、なぜか、庭園整備学校の味を思い出します。」


「あら、アニス様は、中央地下都市の庭園整備学校の出身なのかしら?」


「はい、そうですよ。なぜ、そのようなことを?」


光晶宮クリスタル・パレスの大食堂を管理してる厨房管理料理長は、中央地下都市にある庭園整備学校の食堂で働いている料理長と兄妹なのよ。」


「へぇ~。だから、私には懐かしい味なんですね。学校の食堂も、とても美味しかったですから。」


「あの兄妹、仲がいいからね。でも、料理となると味勝負となって大変みたいだけどね。」


「そうなんですか、でも、味勝負も観てみたいですね。」


「実は、月一回、中央庭園セントラル・ガーデン大食堂ここで開かれる中央料理大会があるのよ。中央庭園うちの名物大会の一つよ。中央の料理自慢が集まって料理大会をしてるのよ。」


「そのような大会をやっているのですか? では、大会上位の常連なんですね。」


「大会上位の常連には、間違えないんだけど、二人とも優勝は、まだ出来てないのよ。」


「え? お二人よりも料理上手な方がいらっしゃるんですね。」


「えぇ、でも、毎回、優勝者が違うから、安定した味に関しては、二人がトップなんだけどね。」


「では、お二方とも、大樹の丘うちの料理勉強会に参加されたら、楽しそうですね。」


「それは、いいわね。今度の料理大会の時にでも、二人に話しておくわ。」


こんなお話をルーシェ様としたり、他の方々ともお話をしたんですけどね。

とても楽しいお昼を過ごし、昼食後にルーシェ様から、午後の予定を言われました。


「アニス様、午後の予定なのですが、昼食休憩の一時間後に中央転移門セントラル・ゲートにて、天族の研修生ご一家の出迎えとなります。」


「では、14時に来られるのですね。楽しみですね。どんな方々なのでしょうか…。」


「それと先程、長距離ロング通話ラインにて、特別管理顧問官様より伝言がありました。」


「ク…じゃなかった。コホン。顧問官様が何と?」


「特異点で起こった件に関して、闇の大庭園ナイト・ガーデンの管理局より一名やってくるとのことです。それと天族のご一家の警護役を一名つけるとのことで、ご家族以外に計二名の方がこちらにやって来るそうですわ。」


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そう、それは、アニス達が中央庭園こちらに来て、臨時朝礼をしている頃に大樹の丘の特別管理顧問官たるクラルテ宛に直接、闇の大庭園ナイト・ガーデンからの超遠距離スーパーロング通話ラインでの出来事でした。


時は遡って、中央庭園セントラル・ガーデンで臨時朝礼が行われている頃、古竜の住処にて。


「うむ、中央庭園向こうでもアニスは、相変わらずのようじゃな。さて、珍しいのう、お前さんから直接、連絡を寄越すなどと。」


「久しぶりやな、クラルテ。元気そうで何よりや。さて、今日は管理局からちゃうくて、直接、闇の大庭園ナイト・ガーデンの特別管理顧問官として連絡をしたまでのことです。」


「して、何のようじゃ、フォンセ。お前さんから直接連絡するくらいだから、相当のことじゃろう?」


「すんまへん、天族の研修生一家の警護役に琉璃ラズリを付けたさかい宜しゅうお頼もうします。あと、特異点の件はかんにんえ。直々に謝罪の為、闇の中央管理局から管理局長のミカをそちらに向かわせたさかい、宜しゅうお頼もうします。」


「ほほう。一触即発のような楽しい状況を作るんじゃのう。」


「偶には、以前の天敵同士と姉妹を会わせるのもええと思いましてな。」


「まぁ、それも一興じゃな。そうよのう、まだ先の話じゃが、そっちにこちらの研修生が行く時には、瑠璃ラピスを警護で同行させよう。」


「おぉ、そら愉快よのう。あの姉妹揃う所を見るのも久しいさかい、それにクラルテのお気に入りが見れるのを今から楽しみにしとります。」


「アニスのことか、あれは、ホンに不思議な子だからのう。フォンセも気に入ると思うがな。とりあえず、ルーシェに今のことは、簡単に伝えておくとするかのう。」


「ところで、ルーシェや他の七大は、皆、元気にしとりますか?闇の大庭園うちの方は、先の戦で残った者は達者じゃが、それ以外は、ようやく血族の者が目覚めたとこや。」


「ルーシェは管理局で頑張っておる、他の七大も各庭園でしっかりと元気にやっておるよ。そうか、ようやく目覚めたか。あれは、わしの落ち度じゃからのう。だが、死したものは戻らんからのう。その血筋が絶えなかっただけでもよかったよ。」


「そうかそか、それが聞けただけでも良うござりました。おおきにや。では、研修生と謝罪の件を宜しゅうお頼もうします。」


「うむ。心得た。それでは、またのう。」


こうして、大樹の丘にて、光の大庭園ライト・ガーデン闇の大庭園ナイト・ガーデンの特別管理顧問官同士の超遠距離スーパーロング通話ラインでの会談が終了し、事の詳細を詳しく説明することはせずに、光の大庭園ライト・ガーデン、中央管理局局長たるルーシェの元へ簡単に伝えられたのである。


そして、時は今に戻ります。



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「ルーシェ様、つまり警護の方も6ケ月の間、こちらに滞在するということですよね。っで、特異点の方は、数日位ですかね。」


「そうね。特異点に関しての方も数日は、こちらに滞在すると思うわ。警護に関しても研修期間中は、滞在することになるわね。」


「そうですか。それでは、特異点の件に関しては、光と闇の大精霊あの子たちを呼んだ方がいいですよね?」


「あぁ、そうね。呼んで貰えると助かるわ。向こうから誰が来るかもわからないから、アニス様が仲介してくれると助かるわ。」


「わかりました。では、天族の方々は、お母さんとレイティア様達にお願いして、必要ならば、私は少し残らせていただきますね。」


こうして、時間となり、中央庭園セントラル・ガーデン光晶宮クリスタル・パレス地下にある中央転移門セントラル・ゲートに向かうことに。

中央管理局からは、局長のルーシェ様と主任であり1ヶ月の同行をするニナお母さん。あとは、大樹の丘の私を含む4名です。


中央転移門セントラル・ゲートは、厳かな雰囲気の中に佇む神秘的な巨大な門でした。これを自由に開閉できる者は限られており、光の大庭園ライト・ガーデンで言えば、特別管理顧問官たるクラ爺のみであり、他には居ないそうです。今回、クラ爺はいませんが、代理者として、ルーシェ様がその力の一端を預かっているのです。遥か昔は、自由に行き来ができたみたいですが、1300年前の抗争終結時に封印がなされたとのことです。


「さて、闇の大庭園向こうの扉は開いたみたい。だから、光の大庭園こちらの扉も開けるわね。」


そういうとルーシェ様は、鍵らしき光晶クリスタルを取り出し、門に掲げる。すると鍵らしきものから、眩い光が放たれ、門を照らし包んでいく。

そして、轟音と共に門が開いていく。


門の中から5名の天族の方々がやって参りました。


一名だけ、光輝なる羽根を輝かせた美しい天族の女性がおり、その方を先頭にし、その後ろをゆっくりついてくる天族のご家族と思われる方々とフードを深く被っていて顔がわからない警護と思われる方の姿がありました。


「げっ、ミカ、なんで、闇の中央管理局局長の貴女がこっちに来てるのよ。」


「お久しぶりです。ルーシェ様。この度は闇の中央管理局の不手際をこちらで解決して頂き、大変ありがとうございます。」


「その件で、直々に管理局長が来たって言うの!? わかったわ、フォンセ様ね。今回こっちに来るように仕向けたのは。」


「はい。フォンセ様より管理局長が出向くようにとのことがでしたので。」


「わかったわ、ミカ、それよりも背中の羽根はしまいなさい。誰も羽根なんて出してないでしょ。それにここは、そんなに暗くないわ。」


「はい。失礼しました。では、これで良しっと。」


こうして、美しい天族の女性は羽根をしまわれましたが、どこか高貴な感じのお嬢様みたいな美しく可憐であり、勇猛にも見える不思議な女性であり、どこかルーシェ様に通じる美しさが見えました。

お二方のやり取りに天族のご家族の方々と警護の方も私達も大人しく見守っていました。


「では、改めまして、私は闇の大庭園ナイト・ガーデン、中央管理局の局長を務めるミカと申します。特異点での件でこちらに参りました。宜しくお願い致します。それで、ルーシェ様。特異点の件を解決してくださった方はどなたなのですか?やはり、ルーシェ様が解決されたのですか?」


「ミカ、あのね。今回、私達は研修生の御一家を出迎えに来ているの。貴女は、そのオマケなの。その件は後にして、先に研修生の紹介をなさい。」


ルーシェ様がミカ様の軽く興奮めいた暴走を一言で止めると、ミカ様が落ち着きを取り戻し、天族の御一家と警護の方を順々に紹介されていきます。


「申し訳ありません。ルーシェ様に会えて、舞い上がってしまいましたわ。では、こちらでお世話になる研修生と警護の方を私から紹介させていただきますね。ラエルから前に。」


「はい。ミカ様。私、この度、光の大庭園ライト・ガーデンの大樹の丘にて研修をさせて戴く、ラエルと申します。不手際なこともあるかと思いますが、どうか宜しくお願い致します。」


「次にそうね。一緒に挨拶した方がいいわよね。フィールにラファ。挨拶を。」


「はい。私はラエルの妻で、フィールと申します。こちらは娘のラファ。私も大樹の丘にて研修をさせて戴きます。この子はラファ。私達の娘で、大樹の丘こちらの地下基礎学校に通わせていただきますので、宜しくお願い致しますね。ラファも、ご挨拶しなさい。」


「はい、ママ。私はラファと申します。こちらの学校にお世話になります。よろしくおねがいします。」


背の高い天族の男性のラエルは言い方は悪いかもしれないけど、優男って感じかな。とても優しそうな男性。妻のフィール様もとても優しそうなお顔立ちの綺麗な女性。うちの両親おやといい勝負だわって、そんな勝負どうでもいいわね。そして、ラファちゃんは、とても可愛らしく、このご両親のいい所を全て持って生まれたような顔立ちをしており、優しくそして可愛らしいお子様。


「最後に警護の琉璃ラズリ様、お願いします。」


そういうと深く被っていたフードを捲り、顔を見せる。

あれ?あの顔立ちは、どこかでっていうか、瑠璃さまよね?もしかして…。


「私は琉璃ラズリ、こちらでお世話になっている瑠璃ラピスの双子の姉です。警護の任で闇の大庭園ナイト・ガーデン、特別管理顧問官より承り、研修期間中、こちらのご一家の警護及び、こちらの地下基礎学校で、時折、臨時講師もさせて頂きますので宜しくお願いします。」


そう言うと琉璃ラズリ様は、私を見て微笑む。

瑠璃ラピス様と違って、右眼を前髪で隠すようなことはしておらず、髪型が少し違うのと、体型が少し違うかな。

そして、私達は、順々に挨拶をする。


「はじめまして、皆様。私は光の大庭園ライト・ガーデンの特別管理整備補佐官であり、大樹の丘所属の整備士のアニスと申します。ラエル様ご一家を専属的に補佐致しますので、何かあれば、私に申して頂ければ幸いです。人の子であるので、不安に思われるかもしれませんが、宜しくお願い致します。では、次にレイティア様、ご挨拶をお願いします。」


「皆様、はじめまして。私は光の大庭園ライト・ガーデンの中央管理局兼大樹の丘所属、上位管理官のレイティアと申します。ラエル様方の管理整備研修では、私が講師を致しますので、宜しくお願い致します。次はシャインね。」


「はい。えっと、皆様、はじめまして。光の大庭園ライト・ガーデン、大樹の丘の管理整備棟所属、管理補佐官のシャインと申します。ラエル様方の管理研修の講師を務めます。精一杯頑張りますので、宜しくお願い致します。では、アス姐、宜しくお願いします。」


「えーっと、たぶん、はじめましてだと思う。光の大庭園ライト・ガーデンの大樹の丘所属の整備官のアスだ。整備研修を担当するので宜しくね。っで、次はルーちゃんでいいのかな?」


「ルーちゃんって、こほん。皆様、はじめまして、光の大庭園ライト・ガーデンの中央管理局の局長を務めるルーシェと申します。ラエル様御一家の最後の1ヶ月の研修の際に同行致しますので宜しくお願いしますね。最後にニナ、お願いね。」


「天族の皆様方、はじめまして。私はニナ。光の大庭園ライト・ガーデンの中央管理局で主任を務めております。最初の1ヶ月、中央との連絡と研修状況の確認や補佐等をさせていただきます。アニスは私の娘であり、私も人の子であります。そして、この研修が終わり後に、そちらへの研修生として伺わせていただきます。どうぞ宜しくお願い致しますね。」


私の挨拶から始まり、レイティア様は普通に丁寧に挨拶をされ、シャイン様は若干、緊張気味な挨拶。アス姐はいつもと変わらず、ルーシェ様とお母さんも普通に挨拶をされて、お互いの挨拶が終わりました。

天族の皆様は、私が特別管理整備補佐官であることをやっぱり驚いていました。でも、ラファちゃんだけは、私にすごく興味を持ってるみたい。


「さて、挨拶も終わったところで、とりあえず、中央管理局の来賓応接室へ行きましょうか。では、皆様を案内しますね。」


そう言うとルーシェ様は、瞬間転移の魔術テレポートで、光晶宮クリスタル・パレスの3階にある中央管理局の応接室へ一気に転移する。

中央管理局の応接室は、すごく豪華なのね。壁画の彫刻も素敵だし、テーブルやソファーも凄い豪華で素敵。

天族の方々は、ラファちゃんを除くと懐かしい様子が伺える。


「ここは、変わりないのですね。ルーシェ様。」


「そうよ、しっかりと管理整備させて貰ってるわ。まぁ、特異点での件はあとでね。それよりも改めて、光の大庭園ライト・ガーデンへようこそいらっしゃいませした。研修とは言え、お客様です。研修中に様々なこともあるかもしれませんが、お互いの親睦を深め、よりよい研修になることを中央管理局を代表して願っております。この後、本日の予定として、天族のラエルご一家と警護の琉璃ラズリ様には、大樹の丘へと中央地下都市にある長距離ロング転移扉ドアで移動して頂き、大樹の丘向こうで生活の準備等をして貰おうと思います。案内にレイティアをつけますので、宜しくお願いします。では、レイティア、お願いね。それと転移魔術テレポートばかりでは、味気ないでしょうから、中央庭園セントラル・ガーデンを見ながら、中央地下都市の長距離ロング転移扉ドアまでの案内をニナにお願いするわ。アニス様には、特異点の件で、ここに残って貰わないといけないので。」


「ルーシェ様、申し訳ないのですが、特異点の件でラファと琉璃ラズリ様も関係しているので、残って貰っても宜しいでしょうか?アニス様が残られるのであれば、ラエル夫婦も安心して、先に大樹の丘向こうにいけますので。」


「それは、当事者が残って頂けるのであれば、こちらとしても大変助かるのだけれど、ラファちゃんは大丈夫?」


「うん、だいじょうぶ。パパとママは先に行っててね。琉璃ラズリおねえちゃんと一緒にあとから行くから。」


「ラファ様の警護は、しっかり致しますので、ご安心ください。」


「では、私達は、先に大樹の丘に向かわせていただきます。ルーシェ様は、この度はお出迎えして頂き、ありがとうございます。それでは、ニナ様、レイティア様、ご案内の方宜しくお願い致します。」


ミカ様からラファちゃんと琉璃ラズリ様を少し残らせたいことを話され、それをルーシェ様がラファちゃんに確認すると大丈夫とのことなので、ラエルご夫妻に安心された様子がみれました。

そして、ラエル夫妻は、一言、ルーシェ様に挨拶をし、ニナお母さんと大樹の丘の皆様方と一緒に応接室を出て、大樹の丘へと向かわれていきました。

こうして、私は、特異点の件を終らせる為、応接室に残ることになるのでありました。

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