第52話 プラムの妹と俺。

 べっこう飴のような輝くオレンジ色のブロンド。プラムと違って、かなり毛がフワフワしている。

 あ、スレンダーなのはプラムと一緒か。


 「さ。自己紹介するにゃん。」

 「アンズみゃ。連れてってくださいみゃ!」

 「姉妹の末っ子にゃ。12歳でレベル11にゃん、探索や冒険のスキルは鍛えてあるにゃん。」

 「連れてくのは、かまわない。俺たち“コイコイ”は、魔道具制作師ミラクルスミスで有名な街マテリアに向かうけど、いいかい?」

 「大好きなスキヤキ様と一緒なら、何処へでも行くみゃ!」

 「大好き?」

 「にゃーが、悪の蛸踊りギルド職員に拘束されたところを、颯爽と「俺の女から手をはなせ!」と叫んだ、とか、話をもったら、こうなったにゃん。」

 (・・・どうしろと?)

 「プラム姉が、噓つきなの知ってるみゃ!そんなこと関係ないみゃ!・・・でも、嫌ならもう言わないみゃ。」

 「嫌じゃない。急にびっくりしただけだよ。じゃ、一緒に行こう!」

 「はいみゃ!」


 ピィーと指笛を吹くと、空から巨大なサナギが降りてくる。

 5年前に転移の指輪を渡し忘れた件で、魔導士ギルドからお詫びとして貰った家畜でちゅ。

 最初は芋虫だったけど、2年前からサナギでちゅ。

 何に羽化するかは、教えてもらわず楽しみにしてるでちゅ。

 プラムが、最初にモスリンと名付けようとしたが、蛾になったら嫌だったので、アゲハと名付けたでちゅ。


 荷物は乗せてある。ハーナとナーナ、俺が乗り込む。

 手を差し伸べて、俺の前にアンズを乗せる。


 アンズの体が、俺に触れる。


 こ、これは、すごいでちゅ!


 もふもふ。

 「みみみみゃ?」

 「すまん。思わず、もふってしまった。」

 「ふふーん。アンズの毛並みは、姉妹で一番にゃん。」


 アゲハは、飛び立つ。


 「それじゃ!元気でな!」

 「いってらっしゃいみゃーーー!」


 あっという間にプラムは見えなくなり、都の家々も小さくなっていく。


 「あんず~。あたいも~。もふもふさせて~」

 「もふもふ~したい~です~」

 「は、はいみゃ。」

 「空だと危ないから、地上に降りてからな。」

 僕もあとで、もふもふ。させてもらうでちゅ!

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