宵の宮

作者 奈月沙耶

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★★★ Excellent!!!

司とさやか兄妹が訪れたのは、とある山村。
古くからの神事を受けついでいる村は秋祭りを控え、楽しげに浮きたっているかと思えばそうとも言えない。

古からの理を重んじるため閉じられた村。
山の空気は冷たく、暗く、静寂に満ちていて。
その静けさに潜むよう様々な思惑が積もり、流れ、巡り繋がる。
静かに運ばれる語り口が闇の静けさや淀みをさらに際立たせていて、けれど時折ふっと綻ぶ緩急の妙。
ラストの結び方も愛おしく、安心して楽しむことができました。

祭祀、神話、あやかし、人身御供。
そういったキーワードに惹かれる方や、ホラーとはまた違ったひんやり感を楽しみたい方はいかがでしょう。

★★ Very Good!!

 神事を軸に人々の様々な想いが交差する現代ファンタジー。
 いや、ファンタジーと言うほど嘘くさくもなく、空想じみてもいない。

 神事とは神を祭る事なのか、それとも人の欲を満たす物なのか、そして神とはいったい何なのか。

 その事実を知りたいのなら、この作品を読み進めるといい。

★★★ Excellent!!!

伝統的な祭を見物に山奥の村を訪れた、司とさやかの兄妹。その村には〈人身御供〉の伝説があって・・・・・・

非日常と日常、ハレとケが交差する場でもある「祭」と、曰くありげな山村。未解決の失踪事件。もうこの舞台設定だけでわくわくします。

2人の主人公も魅力的で、特にさやかのキャラがいい。次第に明らかになる秘密、錯綜した人間関係など、話数は少ないのに内容は濃く、すべてが解決した時には青空のような爽快感が残ります。ラストの謎も印象的。

続編もあるとのことで、ぜひ読みたくなりました。お勧めです☆

★★★ Excellent!!!

 神社、お祭り、その意義や意味を知らずに私達は関わっている。
 その意義や意味を知り、そこで生じる非日常的なトラブルにもまた意味があることを知る。

 こういった行為は、私達が生活している空間からさほど遠くないところにあるのに、なんとミステリアスなことか。
 
 この作品はそのミステリアスな感覚を呼び起こしてくれる。
 少し背中が寒くなるような、それでいて田舎を持つ者に懐かしさを感じさせてくれるような、そんな感覚。

 シリーズものにして、事件解決簿にもできそうな設定と、謎を秘めた主人公達、その二つの魅力がこの作品にはあり、関連作品につい手を出してみたくなる。

 丁寧な描写で、ミステリアスな世界を楽しませてくれる作品でした。
 

★★ Very Good!!

謎めいたはじまり方に加え、どこか秘密めいたものを抱える兄妹。
それが気になって読み進めてしまいました。
少しずつ、不思議な要素が物語に絡んでいくのですが、描写も違和感なく、すっと入り込めます。

村の伝統祭祀という、ややなじみのない主題を扱っていますが、丁寧に説明されているので、分かりやすいです。
出てくる人物たちの心情も、伝わってきました……。

読んでいる間は、村の謎に迫っていく中で緊迫感ある場面もありますが……。
ラストが、心に強く残っています。最後まで読んだとき、心が温かくなりました……!

★★ Very Good!!

普段読まないジャンルであるため、正直物語の状況を理解できたとは言い難いですが、それでもレビューを書かせていただきます。

神を信じ、伝統を頑なに継承し続けることが、古より命繋がれる現代人の役割であるようにも思います。

けれど世界がどんどん解明されていくにつれて、神の存在はどんどん薄れ、信じられてきた神話も薄いものとなっているように感じます。

実際のところ、いるかもしれないし、あるかもしれない。

今もどこかで、宵闇に紛れた神のもとに、生贄が捧げられているかもしれません。

そう今も、どこかで神の息吹が。

★★★ Excellent!!!

 内容については作者のあらすじをご覧ください。ほれぼれするほど簡潔で美しく、驚くほど的確に内容を表現しています。ただ、本文はあらすじのような重厚な文章というわけではありません。

 序盤の雰囲気になじんでしまうと、中盤からの展開には誰もが意表をつかれると思います。終盤には胸が熱くなります。

 本作でぜひ見てもらいたい点は、人物の相関関係や、村の伝統行事やしきたりといった舞台設定がきめ細やかにされているところです。

 空気感まで伝わるような「村」が舞台として構築され、表情豊かな登場人物達がその村で暮らしていることを実感させてくれます。

★★ Very Good!!

 伝奇+人身御供と聞いてやってきました。
 他の方のレビューにもありましたが、王道の和風伝奇ですね。山中の村、秘された風習、暗躍する人ならざるもの……和の空気に満ち満ちた、伝奇の魅力が詰まっていたと思います。
 個人的には、一途な昌宏が可愛くて頭を撫でてやりたくなりました。さやかとの言い争いも、姉に対する思いも。ある意味、主人公の二人よりも目立っていたかも……。

★★★ Excellent!!!

日本神話に詳しければもっと楽しめるんだろうなぁと思いながら、でも最後まで楽しんで読ませていただきました。

まだ2作品しか読んでいませんけど、奈月沙耶さんの小説はほんとに安心して読めます。

さやかと司の過去も一応描きつつ、100%正体を説明しきってしまわないところがうまいなぁと思いました。

ラストもいいです。こういうラスト、大好きです。これもシリーズ化できそう。というか、続きが読みたいです。

楽しませていただき、ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

兄妹が訪れた村は古くから伝わる祭祀を大切に行う村。
古から守り続ける祭祀、そして去年失踪した人物。
キーワードが、物語の空気が、昔の日本を思い起こします。

司とさやか兄妹が村を訪れたとき、村は宵宮の準備中で、彼ら以外にも、記者も取材にきていた。
祭祀について調べる中、お世話になっていた家の娘、久子の夫が行方不明になっていたことを知った司とさやかは、何かがあると慎重に調べる。
司、さやか兄妹と謎を追ううちに、村が祀っていたものの正体が明らかになる!


秋の描写も美しく、あと個人的に最後のエピローグがとても好きです。
彼女との約束を守りに来たんですね。

司とさやかの謎も、面白いです。
シリーズものではないようですが、続きがあるといいなあと思います。
あと、宮座ではありませんが、我が父の故郷にも似たような制度があります。まだ若い人がしているようですが。
徐々に、村の風習は消えていきますね。

漫画の百鬼夜行抄や、小説の陰陽師がお好きな方にオススメしたい作品です。
秋の夜長にいかがでしょうか。

作者様へ。
『秋を題材にした物語、詩集』企画へ一番はじめに応募してくださいましたね。本当にありがとうございます。
とても好みの物語でした。
物語の空気まで伝わってきました。

★★★ Excellent!!!

私は、夏の暑い日に神社の境内へと足を運ぶ事が多い。
単純に涼しいからだ。エアコンの風はどうも苦手でならない。
手入れも行き届いているし、涼むのにはちょうどよい。だが、それはあくまでも昼間の話。
日が沈み、宵闇が空を染めるとそこは「まったく別の場所」へと変わる。
ここにいるのは、必ずしも人だけではない。神社なのだから当然神様が祀られている。
そして、古来においては神は必ずしもありがたいだけのものではなかったのだ。
災いをもたらし、人身御供を求める危険な神も、中にはいたのである。
そして、人の住むところなら神社はどこにでもある。この物語にあるような出来事も、知らないうちに身の周りで起きているのかもしれない。
そんな風に思わせてくれる不思議な作品だ。じっくりと「空気感」を味わってほしい。