第五十三回 孫秀は石崇を謀りて殺戮す
孫秀自身も、淮南王を誅殺した功績は余人の及ぶところではないと思い上がる。
これより、孫秀の振る舞いは前にも増して横暴を加え、人々はその意に背かぬように努め、
これにより、人々は孫秀を虎のように畏れるようになった。
※
王愷は
この頃、石崇は一人の
石崇はこの美姫を何よりの宝と愛した。
緑珠の評判は孫秀の耳に入り、人を遣わしてその身を求めさせる。
石崇はこれを拒み、孫秀は深く恨んで趙王に讒言を構え、
「妾は女の身ですが、仕える主を替えるつもりはありません」
緑珠は石崇が己のために罪を得たことを嘆き、楼閣より身を投げて石崇の後を追った。孫秀は石崇の家財を没収してすべて己の物とし、その宝物は数百万種にも上ったという。
また、各地に人を遣わして石崇の一族に連なる者たちを捕らえて殺し、死者は四、五十人に止まらなかった。この時、
※
孫秀が勢威を恃んで
「聖上を廃して位を正し、自ら天下を治められればよろしいではないですか」
側近の
「まだ時機ではありません。齊王(
孫秀の異論に趙王が問う。
「淮南王を図るにも危うい局面があった。齊王を図るにはよほどの良策がなくてはなるまい」
「臣に一計がございます。明日、朝廷にて『齊王父子は国家に大功があり、
▼行相国事は、相国に任じるに先んじてその職務を執らせることを意味する。相国は臨時の官であり、三公の上に置かれる。
孫秀が献策すると、趙王はさっそく晋帝に上奏して宣旨を下し、使者を遣わして齊王府に詔を伝えさせる。
「先に賈后を平らげて淮南王の難を救ったのは、すべて
詔を聞いた齊王は机を叩いて立ち上がり、朝廷に出向いて是非を
長史の
「大王は何ゆえにお怒りになりますか。趙王と
「司馬倫の勢威に敵しがたいとは、孤も承知しておる。それでも、このような扱いを受けて堪え忍ぶことなどできようか」
齊王の言葉に孫洵が言う。
「小事を忍び得ず大謀を損なってはなりません。愚見では、趙王の意に添うよう明日には入朝して拝謝し、『宗室に連なるがゆえに非才を見捨てられぬだけでなく、このような重任を
その言葉に齊王は同じ、翌日には入朝して恩を謝し、趙王の功徳を盛んに褒め称えた。趙王は心中大いに悦んで言う。
「假黄鉞に任じられたからには征伐は卿の意による。不道の者があれば、朝廷の許可を待たず檄文を発して誅殺せよ。国威を
齊王は拝謝して朝廷を退く。王府に還るとすぐさま孫洵たちとともに準備を整え、新旧合せて五万の軍勢を揃えると、一斉に許昌に向けて出発したことであった。
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