第二十二回 劉和と楊興寶は柳林川に到る
▼「家将」は私兵を率いる一族またはそれ以外の将帥を意味する。
その後、
そのはじめ、廖全は安定に行って劉和に会い、
「お前さんたちは
「使いがあり、吾が伯兄と父は
心配する胡芳に廖全から聞いた仔細を伝えて言う。
「それは重畳なことだが、一つ心配の種がある。最近、路上では賊徒が多く、先には
胡芳はなお心配して止まず、ついに劉和は実情を告げた。
「吾が父が吾らを
それを聞くと、胡芳もようやく納得して言う。
「それなら、吾が甥の
そう言うと、銀二十両(約7.5kg)の路銀を餞別に与え、劉和は再拝して安定を発った。道には関塞が多く設けられていたものの、胡文盛が先行して道を選び、恙なく柳林川の軍営に到った。
※
一方、安定を発った廖全は、漢の遺臣の捜索をつづける。ある日、
「吾はこのあたりの出身だが、この頃、在所の近くに余所者が住まうようになった。聞くところ、もともとは成都の商人だが、このあたりで商売して損を引き、故郷に還れなくなったらしい。住み着いてもう数年になる。その中に三、四人ほど武芸に優れた者がいて、近隣の士人は残らずともに遊猟したらしいが、みな敬服して甚だ重んじている。さらに一人、身長八尺(約2.5m)で歳は二十ばかり、面は白粉をつけたように白くて冠玉のように清潔、鼻梁が通って眼は紫色、甚だ聡明で売卜を生業としている人がある。郡人でその霊験に服さぬ者はなく、日ごとに数千の銭を稼いでいると聞く。探しているのは、そういう人たちじゃないのか」
廖全はその話を聞いて卜者は
「その先生がそんなに霊験あらたかなら、吾も占ってもらおうか。どうやって行けばいいのか教えて貰えないかい」
「暇があれば送ってやるんだが、どうにも商売が忙しくてな。占いの先生が住んでいるのは、
男に礼を言うと、廖全は教えられたとおりに徐普明の家に向かったが、その道すがら徐普明の家に向かうという初老の卜者と行き会った。ともに徐普明の家に向かいながら、占卜について話しているうち、卜者は次のように言った。
「このごろ、このあたりには一群の明人があって異郷より来た三姓の人が一家に同居している。その中に姓を
家主の徐普明は名を
「八卦占いの先生に弟子入りされていたからには、姓名もご存知かと思いますが、三姓の方々の姓名は何といわれるのでしょうか」
廖全が丁寧に問うと、卜人が何事でもなく応えた。
「先生の姓は
それを聞いて廖全は内心で思う。
「諸葛宣于は名を姓名に分けて字は変えず、馬寧というのは
廖全は勇躍して徐光の家に向かったことであった。
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