第72話 美少年

 だが息が上がって声が出ない。

「ア、アリスゥ……」懸命に掠れた声で彼女を呼んだ。

 一瞬、間がありドアが開いた。


「どうぞ……」と車内から返事があった。

 ボクは、『ハアハア……』と息を切らせて席に着いた。

 香水の匂いだろうか、車内は甘くて眩暈めまいがするほど良い匂いが漂っていた。

 ボクの隣りにはアリスが座り、彼女を挟んで美少年が座っていた。


「やぁ…😉✨✨」

 美少年はボクにれなれしくウインクをした。

「君が……、アリスの新しい《所有者》かな?」と訊いてきた。


「え、所有者? だって……」何なんだ…… この美少年は……

 いや、それともショートカットの美少女なのか……

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