白黒世界の色術師

作者 犬のニャン太

今すぐこの世界に着色しよう。彼らの道程が色あせないうちに!

  • ★★★ Excellent!!!

最新話に追い付いてしまったので衝動のままに書きます!

見渡す限り白黒の世界。
そこに色を宿すのが『色術師』の職務。

この舞台設定だけで、胸がときめきませんか?
神秘的な世界観。
特殊能力として確立された強大な職業。

この二つから、今後何が起こるのか・主人公は何を成し遂げるのか、に期待が膨らみます。

設定説明とは、単なる舞台の能書きではありません。読者の好奇心を刺激するガイドラインになってこそ意味が生まれます。

また『色』というビジュアルイメージに強く訴えるモチーフだからこそ、読み手はその有様をありありと想像できます。
例えば、白黒テレビの画面に総天然色のキャラクターが登場したら、どれほど鮮烈でしょうか?
本作は文字でありながら、視覚的な像を結ばせるのです。
「文章から情景が浮かぶのは名文の証拠」
だと昔の文豪は言いました。ならば、まさに本作は。

偉大な色術師に出逢った少年は、自らも色術師を志願します。
旅の途中でまざまざと列挙される『色の価値観』……色の有無による差別や宗教観の違い、物価の変動など、徹底的に『色とは何ぞや』を問われます。

色術師の組織に巣食う不穏な影も、権謀術数も、少年を襲う障害というよりは「この世界ならではの事情」を綴っています。世界のありようを見せ付けて来る、視覚に叩き付けて来るんです。

……嗚呼、そうか。
これは、この「世界」が主役なんだ。
少年も、個性豊かな色術師たちも、彼らの目を通して「世界」を視るための小道具に過ぎないんだ。

読者諸兄よ、決して主人公に惚れるなかれ。ヒロインに惚れるなかれ。
惚れる対象は「この世界」です。

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