ルニアの生贄

作者 ロクエ ヒロアキ

★★ Very Good!!

高い文章力で読ませる河川奇譚

ルニアの企画を立てた細茅ゆきです。
私が作ったおかしな言葉「ルニア」を神のごとき存在にまで昇華していただき、ありがとうございました。

以下レビューです。

本作を読んですぐに気がつくのは、筆者の高い文章力だ。豊富な語彙力に裏付けされた、流れるような文章が、ルニアという存在(河)をめぐった人々の畏敬と恐怖を丁寧に描写している。文芸的で決してライトとは言えない、語彙が緻密に織られた文章がすっと頭に入ってくるのは、ひとえに文章表現が自然で読みやすいからであろう。

本作は聖なる河「ルリア」をめぐる人々の物語だ。特定の主人公はいない。あえて言うなら、ルリアという河そのものが主人公だといえよう。
ルリア河は、そこに集った人々が形而上的な意味合いをもたせ、崇拝するに至って神格化されていく。その信仰は、例えば横溝正史的な、文明と迷信の狭間にあった前時代的な空気の中で続いていく。
しかしその信仰は、人々を裏切っていく。河にまつわる不幸な事件が続くにつれ、人格を与えられた河に生け贄を捧げようとする。もちろん、河が生け贄など求めるはずがないのだが、迷信ぶかい人々は生け贄の必要性を信じ、やがて陰惨な事件を引き起こしてしまう。だが、ルリアは皮肉なことに…。

この物語は人間の蒙昧さを浮き彫りにしている。そんな彼らを、我々は愚かしいと笑うだろう。だが彼らよりも後の世界、より科学が発展した時代に生きている我々は、本当に彼らよりも賢いのだろうか。
世間を騒がしている一部の報道を見る限り、我々もルリアを盲信する人々と変わらないようにも思えた。

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