私と彼が見ている空
鷹夜 千飛羽
第1話 澄みきった青い空
入学式だというのに桜がもう散ってしまっている。
こういう時に咲いていれば退屈な気分も晴れるというのに。。。
私はそう考えながら学校に入っていった、これが初めてというわけではない
合格発表や説明会で何度も来ている今更新鮮感なんてものは微塵もない。
因みにすでにクラスも発表されている。この学校はどういう訳だか三年間クラスが
変わらないということで一人くらい同じ中学校出身の人が居ればいいなと思い
クラスの名簿を眺めていたが知らない名前ばかり、まぁ仕方がないといえば
仕方がない、なにせこの学校は一学年に八百人も居るそうだ。その中で同じクラス
になれたらそれこそ奇跡と言うほかないだろう。そう自分に言い聞かせ体育館へと
足を運んだ、当然一人でだ。
入学式はあまり記憶がない、というのも眠りこけていたからである。
幸い誰かにバレているということはないようだ。さてここからは教室へと戻り
担任からの自己紹介、書類配布などありきたりなことばかりだった。
しかしここでちょっとした問題が発生、今日提出する書類の封筒を忘れてしまった のだ。普通の書類なら問題ないのだろうがこの書類はお金に関わることらしく
しっかり封筒に入れなければならないようだ。初日から忘れ物とは我ながら情けない
恥ずかしがりながらも担任のところへ報告に行く、一人だったらどうしようと思っ たが意外にもそれは杞憂に終わった。もう一人忘れた人が居たのだ、それも封筒を。
同じものを忘れるとはこの人自分に似ているのでは?とこの時私は考えていた。
思えばこの時封筒を忘れていなければこの人に興味を持つことは無かっただろう。
帰り道、私は電車通学なので只々窓から見える景色を見ていた。
周りの建物のせいであまり見えなかったがその日の空は雲が少なく
澄みきった空だった。空を見ることは私の趣味でもある。見ていると嫌なことを
や考え事を忘れられるからだ。この一年間どんな空が見えるのだろうか、
私はすこし期待して流れていく空を見ていた。
私と彼が見ている空 鷹夜 千飛羽 @Takaya_Chitoha
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