私の足を雌鹿の足のように

作者 赤坂 パトリシア

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★★★ Excellent!!!

「走る」というのは、単純なことのようでいて、
実は少しも簡単ではないし、楽なことでもない。
でも、人は走る。走るだけのために走りたがる。

30歳のぽっちゃり女子、アマネは走ると決めた。
心臓病で息子を亡くして塞ぎ込んだ友人を誘い、
心臓病のチャリティへの寄付金を集めるために。

チャリティのためにフルマラソンを走るという、
それは日本ではあまり一般的ではないけれども、
アマネに馴染み深いイギリスはその文化がある。

国が異なれば、市民スポーツのあり方が異なる。
市民スポーツが担う社会的な広がりの規模とか。
そうした事情を俯瞰できる本作の造りが面白い。

女性がスポーツをすること、走ることの歴史も、
本作ではしっかりと触れられており、興味深い。
女性ランナーならではの悩みも痛みも赤裸々に。

地方大学で非常勤の英語教員を務めるアマネの
お仕事小説で、職場で縁を得る恋物語でもある。
もう全部ひっくるめて、アマネさん、頑張って!

ウィットに富んでお洒落で大人かわいい文章も、
ほかの誰も真似できない作者ならではの持ち味。
更新が楽しみでたまらない作品です。