ドクターシップの方程式

作者 油布 浩明

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★★★ Excellent!!!

冷たい方程式の構図で、初めて出口を提示した作品に出会いました。
これまでも、出口に近い結論を提示した作品は有りましたが、少々奇抜な設定を組み込んでいました。
でも、本作品には無理が無い。
***だけで60kgも稼げるか?とも思いましたが、***の類いも廃棄すれば、60kgは余裕で稼げるでしょう。
冷たい方程式が温かい方程式に様変わり。見事でした。
短編にはMAX2つが信条なんですが、星3つ付けました。

追記)
以下はネタバレとなりますので、読み飛ばしてください。

作者から解説を頂きました。
『ネットで調べたところ、空気の重さは1リットルで約1.3グラムだそうです。宇宙船の居住空間を例えば40平方メートルのアパートだと仮定して、最低二メートルの高さがあるとすると、80立方メートルです。1リットルは1000分の1立法メートルです。1立法メートルで1300グラム、80立方メートルでは100キロ以上になります。
 エアロックには自由に空気を抜いたり注入したりする機能があるとすれば、十分な可能性がある。そう考えました。
 乗組員は操縦する空間にいなければならない。そういう縛りがなくなればという仮定です。ありがとうございました。』
チャンと調べて、脇を固めてらした。脱帽です。

★★★ Excellent!!!

原点「冷たい方程式」は古典として評価される一方で、「あまりにバッファが無い状況設定はご都合主義的だ」という批判をも浴びました。

この作品ではそれをも踏まえ、どうしてもギリギリの状況にならなければならないという状況演出に工夫があり、そのギミックのひとつとしての「医師」という設定が、主人公の行動に説得力をもたせ、さらにそれがドラマの演出に繋がって読み手の心に訴えます。


解そのものよりも、「どうなるんだろう、どうなるんだろう!」と思わずドラマに感情移入して手に汗にぎる、そんな演出がしっかりと練られた秀逸な作劇。

高いクオリティの短編作品。ぜひご覧ください。