第四話:素敵な夢の描きかた

プロローグ

 ある時はおじさんに泣きつかれていた。

 ある時は女王の娘自慢を聞かされていた。

 ある時は不思議な世界を走りまわっていた。


 そしていま。


 眼下に広がるのは黒い海原。わたしの体は宙にぶら下がり、その手はかろうじて船から伸びた荒縄を掴んでいた。

 この手を離せば、落ちるしかない。

 夜のこの海原へと。

 そしてその場所には、やつがいる。


 チックタックと音を立てて大きな咢を開いている、やつがいた。



 ――わたしはワニに食べられかけている。



 ……いやいやいやいやいや!? さすがにどうなの、この状況!?

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