第15話
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「はい、そこまで。みんな。今はそれより、もっと重要な問題があるでしょ」
さすが
アルファ級のモンスターハンターは、目前の問題から眼を逸らさない。
「殺人鬼ジークベルトが逃亡したのよ。ほら、あなたはさっさと情報収集する」
ピンクちゃんに指示を出した。
「ハイ」
振り向いた上樹先輩が、
「あなたと琥珀ちゃんは、戦闘服に着替える」
「はい!!」
「いまは、それどころじゃ無いのじゃ」
上樹先輩と眼を合わせず、ボクの眼を見続けている琥珀さまの、ほっぺを左右にギューッと引っ張りながら、上樹先輩が微笑んだ。
「琥珀ちゃん。いいから言う通りになさい」
出たよ。
人喰い虎も逃げ出す、上樹先輩の恐怖の微笑み。
「あなたと、あなたはプールに退避。何かあったら、すぐに自分の世界に戻りなさい」
「ええ、やだー。アタイもアキトと戦う」
「あたしも逃げたりしない。あのストーカーには、あたしの大切なファンが何人も被害にあってるの。今度こそ許さないんだから」
腰に手を当てた上樹先輩が、首を
「そう。好きになさい。ただし命の保証は無いわよ」
テキパキと指示を出す上樹先輩を見ながら、師村がボクに耳打ちした。
「何が起きてんだ
「あ~、なんて説明したら良いのか」
「いいから言えよ」
「ボクの命を狙ってる、異世界の殺人鬼が逃亡したんだ」
「はぁ?」
うん。
今日イチ、真っ当な反応だ。
「ジークベルトっていう、異世界の変態ストーカーがいて、人魚のアンジェリカにフォーリンラブなの。でも、アンジェリカはボクに惚れてるから、なんていうか逆恨みして、ボクを殺しに来たんだよ」
「お前、なに言ってんの」
これ以上端的な説明がある?
「もっと、詳しく聴かせろよ」
お前、なにしてんの?
「いや、こんな面白いネタそうそう無いだろう。グリフォンが襲って来た所から詳しく話せよ」
「お前ねえ。そんな暇ないの。もしかしたら、ここが戦場になるかも知れないんだよ」
「
嘉藤が創先輩に声を掛けた。
「フォースフィールドシールドか?」
「はい」
「オレは持ってないが、確か、このペントハウスの倉庫に予備がある筈だ」
そんなモノが、ここにあるの?
ボクは知らない。
「
「
二人して倉庫に向かった。
勝手知ったるってヤツだ。
もしかして、前任の管理人って創先輩なの?
「おら、さっさと話せよローリー」
「いま、そんな時じゃないって」
「上樹先輩が居るんだから、大丈夫だろう」
「なに? お前等、殺人鬼の相手を上樹先輩に任せるつもりなの?」
師村が眼を剥いた。
その気持ちは良く分かる。
よ~く、分かるよ。
でもな、訊いてくれ師村。
上樹先輩は、多分、今、この瞬間、地球上で最も強い人なんだ。
「何事ですか?」
いや、違った。
もう一人いた。
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