第134話(プログラム)
肉体がいないから特殊能力者が今はあまりいないらしい。
どうしてだろうと俺が思っていると、
『肉体……後でなく以前のような肉体を持っていた方が、特殊能力(チート)を認識しやすい。昔のこの世界の人が特殊能力(チート)を今よりも使えたのはそのせい。そして、魔法がほとんど存在しないがために、君たちの世界の人間は“魔法”という“違和感”に敏感だからね。……それでもたまにこの世界の人も特殊能力(チート)を持つのだけれど、物によっては今回の人のようにおかしくなってしまうんだ』
「……そういった事がある時に手助けはしないのですか?」
『う~ん、僕は“人間同士の争い”への介入は、自身、この場合は人間の集合体かな? を破滅に送る時のみにしか許されていない。基本的には、異世界人を呼んで肉体は“時間”という概念も含めて“保存”を行い、“特殊能力(チート)”のプログラムをつけて送り込むのが仕事だからね。……君たちにつけるようにしている特殊能力(チート)は、本当はもう記憶に残らないような大昔に存在していたものばかりなんだ』
「まさか、俺達に特殊能力(チート)をつけて送り込んでいるのは、その特殊能力(チート)を忘れないようにするためですか?」
『忘却防止と保持……そして進歩させるためかな。また、特殊能力を多くが持っていた昔と同じようになった時のため。……そして特殊能力(チート)が消えていくのを憂慮した過去のこの世界の人間が、時が来たら異世界人を呼んだり、特殊能力を与えたりするような機能をつけて、“僕”を作り残していったんだ』
どうやらある一定期間後に動き出す、AIか何かのようなもの、それが多分……この異世界の“神”のような存在らしい。
そう俺が思っているとそこで、
『随分話し込んでしまったね。皆が待っているからそろそろ戻ったらどうかな』
「戻るのは構わないのですが、そういえば俺は一体いつ頃元の世界に戻れるのでしょうか?」
ふと沸いた疑問を問いかけるとそこで声が一瞬黙ってから、
『実は一度呼んでしまうと、元に戻せる時期が来るまで戻せないんだ』
「そうなのですか。それで俺はどれくらいここにいる事になるのでしょうか」
『……』
「あの……」
『その時が来れば否が応でも分かるから、頑張れ。うん、君ならきっと大丈夫だよ、ばいば~い』
そう言って声がぐんと遠のいていく。
同時に俺は、一番初めに見た光景のように……光の中に落ちていったのだった。
-------------------------------------
あとがき
評価、フォローありがとうございます。評価、フォローは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます