第87話 村人の話
現れた、人間の意思がある村人達……が俺達の方に近づいてくる。
どうやら全員洗脳が解けたようだと俺が安堵しているとそこでシーナが一歩前に出て、
「そこで止まりなさい!」
そう叫ぶと彼らは止まる。
どうしたんだと俺が思っていると、
「貴方たちが操られていない保証はないわ。いくつか質問をさせて」
「わ、分かりました。というかこの周りに倒れているのは……」
「ええ、私達を“殺そうと”襲って来たわ」
「ええ!」
「だから質問をさせて。操られているかどうかの簡単な確認も兼ねているの。なにしろ、操られているとまともに会話もできないようだったもの」
「は、はい。シーナ様」
そこで村人のの一人がシーナの名前を呼んだ。
するとシーナは不思議そうな顔になり、
「こちらの方には殆どきていないはずだけれど」
「城下町の方に品物も降ろしますし。それに、祭日には城の外にいらっしゃいますから」
「そう。……そういえば今は顔を隠していなかったわね。それで……まずは、操られていた時の記憶はある?」
そこでシーナが問いかけると村人の一人が、
「記憶は……全部ではありませんが、あります」
「そう、どこまで?」
「……しばらく、水を飲んで食べ物を食べてといった行動と畑の水やりといった物と……会話は一切出来ませんでした。料理といった事もできない状況でしたね」
「そう。やはり、焦点に保存食ばかりが置いてあったのも……」
「ええ、瓶づめといった物ばかり食べていましたから」
どうやら予想通りそうであったらしい。
洗脳させて動かすと言っても、現状ではかなり単純な動きしかできないようだった。
それが分かっただけでも収穫だ。
しかし、時間が経過すればするほど更に高度に操れるようになっていたかもしれない。
それを考えると、早めに手を打たないといけないかもしれない。
そうしていると更にシーナが、
「それで、どうしてこんな風に集団で操られるようになったの?」
「記憶にある範囲では確か、話があると言って、タタの奴が村の広場に人を集めたのです。そういえばあの時、やけに覇気のない顔をしていたな」
ふと思い出したように村人が言う。
それに別の村人が、
「俺はチズに言われた。村の広場に集まってくれって。確か他にももう一人がいた気がするな」
「それはマノじゃないのか? ほら、あいつら欲宿屋の一回の酒場に集まっていただろう?」
そう、話し出したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます