第43話 不気味なその音
何かが近づいてくるような音。
不気味なその音に、俺はぞっとする。
地面をこするような音が徐々に大きく聞こえる。
一つや二つではない。
数十、もしくはそれ以上いるとも思えるような、耳障りな音。
一体何がここに近づいているのかと思う。
魔物の大群だろうか?
そう思いながらシーナに俺は、
「魔物の大群のようなものが近づいているのか?」
「……分からない。聞いたことがない。確かに集団で移動する魔物はいたけれど、こんな風なものが存在しなかった気がする」
シーナがそう答える。
どうやら未知の魔物であるようだ。
だがそこでロゼッタが、
「……まさかこんな所にまで来ているなんてね。魔物が増え始めたと聞いて、妙だと思ったわ。何か起こる前に剣だけでも回収しようと思ったけれど、少し遅かったようね」
ロゼッタの言葉に即座にシーナが反応をした。
「ロゼッタ、何かを知っているの?」
「……貴方が城から逃げてくる羽目になった話や、魔王軍がそれに関わっていないといった話もおそらくは、全て“彼ら”の仕業かもしれない」
「……ロゼッタ、詳しく説明をしている余裕はある?」
「無いわ」
「分かった、これから手を組む、で構わないかしら」
「ええ、そうしないと自信がないもの。……魔法が効きにくくてね」
嘆息するようにロゼッタが呟くと同時にそれは姿を現した。
ここ周辺は明かりが整っていないがために、その先は暗闇に満たされている。
そこに現れる無数の赤い瞳。
それらがじっとこちらを見ている。
やがてその怪物の姿が俺達の前にあらわれた。
黒く四角い体に、足のようなものが生えている。
その四角い物体の表面には二つ赤い目が付けられていて……今までの魔物と違い、“無機質”な印象を受ける。
そこでロゼッタが、
「ある程度魔法を放って逃げるわ。数も多いし、魔法の効果も薄くて攻撃がしにくいのもあって蹴散らしながら突破は難しいわ」
「それに数も分からないから?」
シーナの言葉にうなずくロゼッタ。
そして慌てて俺達はそれに攻撃する。
何となく俺の攻撃が一番効果があった気がしたが、そのまま別方向の出口に向かい進んでいく。
だがあれらは追ってくる。と、
「おい、こっちだ、早く!」
そんな男の声が聞こえる。
見るとすぐそばの道を入った場所に一人の男がいる。
彼は俺達を手招きする。
服装は普通の冒険者のように俺は見えた。
敵か味方か分からない。
けれど今は危機的な状況なのは確かで……俺達は彼の元に走り寄ったのだった。
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