第41話 相変わらず余裕ね

 黙ってしまったロゼッタ。

 けれど、あり得ないわ、がどういった意味なのだろう?

 何か彼女は知っているのではと俺が思い更に聞こうとするが、そこでロゼッタが……嗤った。


「でも、どの道その件について調べるなら、私達が主導権を握った方がいいわ。いえ、そうするべき。だから、そこの異世界人は剣ごと私達の方に来ない?」


 などとお誘いをロゼッタは開始した。

 セレンは、そんな事をしている場合では……とロゼッタをたしなめようとしているがロゼッタは、


「……話を上手く通すにも勝利しておいた方が都合がいいのよ。セレン、貴方は黙っていて」

「そんな~、うう、ただロゼッタ様がシーナ様に勝ちたいだけなんじゃ……連敗中ですし」

「さ、三連敗しただけよ! でも今度こそ勝たせてもらうわ。それで異世界人の……そういえば名前は何だったかしら」


 そこでロゼッタは初めて俺に名前を聞いた。

 そういえば俺の名前は先程のギルドの時には聞かれなかったので名乗っていなかった。

 異世界人という紹介だけで、今までも異世界人とだけしか認識されていなかった気がする。


 あの時ロゼッタの申し出に頷いていたならどうなったのだろうと俺は思いつつ、


「アキラです」

「そう、アキラね。覚えたわ。貴方は名前を覚えるに値する。それで、その剣をを持って私達の方に来る気はあるかしら」

「無いです」

「そう、誠実なのね。……でも、そうね、あともう一つ、シーナの方に聞かせてもらっていいかしら」


 そこでロゼッタがシーナの方を見て問いかける。

 シーナはそれに首を傾げて、


「何かしら」

「シーナ、貴方はとある貴族の令嬢、という話になっていたわよね。どうして城から逃げてきたことになっているのかしら」

「……さあ、どうしてだと思う?」

「今ここで話す気はないと?」

「ええ。……といっても、アキラがそう話しているだけかもしれないわ」

「それならそれで私も安心していらっるけれど、そこの異世界人のアキラは、そういった事に関して“嘘”は付きそうにないような気がするのよね」

「そのお話は、私がロゼッタを再び倒してからにするわ」


 シーナがさらっと勝利宣言をした。

 なぜそこで挑発したのかと俺は思ったがそこでロゼッタが、


「ふ、ふふふふ、相変わらず余裕ね」

「私が勝利するに決まっているもの」

「……前から思っていたの、貴方のその自信が……気に入らないわ!」


 そうロゼッタが笑顔で怒りそう返す。

 それが戦闘開始の合図になったのだった。



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