第290話「わんこ焼き蕎麦」
『では、十時になりましたので、南都高校文化際を開始します……
ウェエエエエエエエエエエエエエイ!』
「「「「「ウェエエエエエエエエエエエエエイ!!」」」」」
「安藤くん、ついに文化祭が始まったわね♪」
「え、ちょっと待って! 朝倉さん!? あの開始の放送のアホみたいな挨拶にはツッコミないの!? あれウチの学校公式の挨拶なの!?」
(というか……あっれぇ~? なんか一、二週間くらいの記憶がすっ飛んでいるような気が……なんかこの前まで学食で朝倉さんの
「ねぇ、安藤くん。私達も文化祭見て回りましょう♪」
「うん、そうだね。朝倉さん」
(まぁ、そんな些細なことはどうでもいいか!)
(ウフフ、ここ最近は生徒会の仕事や文化祭の準備で忙しかったから、安藤くんとのデートも久しぶりね♪)
「朝倉さん、今日はなんだかやけに機嫌が良いね。どうしたの?」
「もぅ、安藤くんてば……私にそれを言わせる気なの?」
(これくらい察してよね……?)
(……なんだ? ここじゃ言いづらいことなのかな? あ、そうか! ラノベの話題か! 朝倉さんは学校だとラノベ好きなのは隠しているから学校じゃラノベの話題は言いにくいもんな……)
「ゴメン、朝倉さん。ちょっと、うっかりしてたよ」
「ウフフ、分かってくれればいいのよ♪」
(あの様子だと、何か新しいなろう作品でも見つけた感じかな? そう言えば、最近は朝倉さんがどの作品にハマっているとかも、生徒会が忙しくて聞けてなかったもんな)
「そう言えば、朝倉さんが今(なろうで)夢中になっているのって何かあるの?」
「私が(安藤くんで)夢中になっていること?」
(安藤くんてば何でそんな話題を? もちろん、安藤くんのことならすべてにおいて夢中だけど……でも、しいて言うのなら――)
「『寝顔』かしら……」
(授業中や生徒会で居眠りしちゃう時とか、あとは家に来た時の寝顔なんかもこっそり一眼レフで……キャ♪)
「『寝顔』……?」
(ああ! 『可愛ければ寝顔でも好きなってくれますか?』通称『寝顔』か! 確かに、最近アニメ化も発表されたし、朝倉さんもそれを見て読み始めたのかな?)
「あれ、アニメ化も楽しみだよね」
「アニメ化するの!? 安藤くんの寝顔が!?」
「ちょっと待って、朝倉さん!? 一体何を言っているの!?」
「いらっしゃいませー! たこやきだよー! おいしいよー!」
「いらっしゃいませー! 焼きそばだよー! おいしいよー!」
「いらっしゃいませー! ケバブだよー! そこそこいけるよー!」
「校庭は出店エリアだから、食べ物屋さんが一杯ね。安藤くん♪」
(ふぅ……安藤くんとのすれ違いを解くのに無駄な時間をとっちゃったわね。まぁ、私が安藤くんの寝顔をこっそりコレクションしているのはなんとか隠せて良かったわ!)
「出店は確か一年生の屋台が多いんだっけ? 皆、元気あるよね」
(それにしても、元気な『いらっしゃいませー!』って、久々に聞いた気もするなぁ……。
もう、あの店なんてこの前は『いらっしゃったかぁー』って、言われたからね?
何? 俺、あの店で迷惑とかかけた覚えないけど知らないうちにブラックリストにでも入れられているの?)
「いらっしゃいませ~♪ おっ! そこのお似合いのカップルさん、良かったらウチの出店はどうかにゃ♪」
「……お前は一体どこの客引きをしているんだよ」
(突然、呼び込みを仕掛けてくるから誰かと思ったら、なんだ妹か……)
「妹ちゃん! そういえば、妹ちゃんのクラスも出店をしているんだったわね」
「はい! わんこ焼き蕎麦です♪ サクラお義姉ちゃんもお一ついかがですか? サービスしちゃいますよ♪」
「ウフフ、そうね。じゃあお一つ頂こうかしら? 安藤くんは?」
「そうだね。じゃあ、せっかくだし俺も頂こうかな」
「えへへ、まいどありだにゃ♪ 注文入りました! カップル特製わんこ焼き蕎麦お願いします~♪」
「「「ガッテン!」」」 ← 従業員のクラスメイト
「……ん? ちょっと待て、妹よ。なんか今、注文で不吉な言葉が聞こえた気がしたんだが……『カップル特製わんこ焼き蕎麦』って何?」
(もうなんか、そのネーミングセンスですげぇ……嫌な予感しかしないんだけど)
「もう、お兄ちゃんてばいらないところで勘が良いんだから! えへへ、サービスするって言ったよね? はい! これが私からお兄ちゃんとサクラお義姉ちゃんへのサービスを込めた『カップル特製わんこ焼き蕎麦』だよ♪」
「「こ、これは……!」」
((焼いたお蕎麦が何故か、どんぶりの中に入っている!?))
「と言うか……お箸は二膳あるのに、お蕎麦はこのどんぶり一つだけなのかしら……?」
「お、おい、妹よ……ま、まさか、これは……?」
「ムフフ、お兄ちゃん。気づいてしまったようだね……。そう! この『特製カップルわんこ焼き蕎麦』は一つの焼きお蕎麦(二人前)をお互いに食べさせ合うというコンセプトの焼き蕎麦なんだにゃ♪」
(そんなこっぱずかしいことを校庭のど真ん中で、できるかぁあああああああああああああああああああああああ!)
「なんて素晴らしいコンセプトなのかしら!」 スカーン! ← 朝倉さんの
「朝倉さん、これは――」
「はい、安藤くん! あーん♪」
「もごぉ!? あ、あばらららくらざん!?」
(ダメだ! すでに朝倉さんの目がポンコツに染まっているだと!? 俺の話を聞くどころか問答無用で蕎麦を俺の口にねじ込んで来る!)
「あ、お兄ちゃん。お題まだだから払ってね? はい、お値段『1200円』になりますにゃ♪」
「安藤くん、はい! おかわりよ♪」
「ぼかぐもね!?」 ← 蕎麦を口に詰め込まれる安藤くん
(高くね!?)
「だって『カップル特製』だよ? ぼったくらないでどうするのかにゃ♪」
「もう、安藤くんてば、そんな飲み込むように食べちゃって♪ そんなに慌てて食べなくてもまだお蕎麦はあるわよ? はい、あーん♪」
「おぼえばーびすびるってぼったぼが!?」 ← 蕎麦を口に詰め込まれる安藤くん
(おまえ、サービスするって言ったじゃん!?)
「だから、サービスして一杯500の『わんこ焼き蕎麦』じゃなくて、隠しメニューの『カップル特製わんこ焼き蕎麦』にしてあげたんじゃん♪」
「ごっじのぼうがたかいびゃべぇがぼぉおおおおおおおおおおおお!」
(そっちの方が高いじゃねぇかぁあああああああああああああああああああ!)
「あらあら、安藤くんてば、そんな風に食べたら、喉に詰まっちゃうわよ? ウフフ~♪」
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
やっと今回から本編の再開ね。だから、急にホラーになったり、番外編と違って甘々ラブコメじゃなくて、アホアホラブコメの『何故かの』だから安心していいわよ? クフフ……♪
さーて、次回の『何故かの』は?」
次回「お茶とお水」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわね。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
因みに、今日は【パー】ピックアップデー! なんと97%の確率でわたしが【パー】を出しちゃうわよ♪
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
パーかな?
パーかも?
パーじゃない?
パーだったりして……
本当は『グー』を出すかもしれないわよ……?
【パー!】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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