第280話「怖い話」


「「「「屋上の幽霊?」」」」


「姉ヶ崎。お前、文化祭の準備が一通り終わって、生徒会が暇だからって……そんな与太話を持ってくんなよ」

「センパイ! 与太話なんかじゃないですよぉ~! 今、ウチの学校で夜になると屋上に女子生徒の幽霊が出るってすごい噂になっているんですよ!

 これは、大きな騒ぎになる前に生徒会で調べるべきだと思うんですよねぇ~キャピ!

「姉ヶ崎さん。それって……あくまで『噂』なのよね?」

「そ、そうだな……。朝倉さんの言う通り、所詮はただの噂話……そんな信憑性のない噂に僕達生徒会が動く必要もないだろう」

「石田センパイ! ただの噂って言いますけど、実際に目撃した生徒もいるんですよぉ~キャピ!

「目撃者……? てか、その幽霊って夜に出るんだろ? 何で夜中の学校で目撃者がいるんだよ……」


(それ、誰かが適当に流した作り話じゃないの……?)


「えっと、えっと……姉ヶ崎さん。その目撃者ってどんな人たちなのかな? かな?」

「藤林センパイ、そうですねぇ~……私が話を聞いた人達は運動部の人やカップルの生徒とかでしたねぇ~キャピ!

「確かに、部活動で帰りが遅くなる人達なら夜の学校にいてもおかしくはないわね」

「……ん? でも、朝倉さん。部活動の奴らが夜遅くまで学校にいるのは分かるけど、何でカップルの生徒まで夜遅くまで学校に残ってんの……?」


「「「「え”」」」」


「あ、安藤くん……そ、それは~……」

「せ、センパイ……それ、マジでわかってないんですか……キャピ?

「あ、安藤……お前、そ、それは……」

「あ、朝倉さん!? 安藤くんは何で分かってないのかな? かな!?」

「えっと、そのぉ……な、何でかしらねぇ~? ウフフ……」


(安藤くんは奥手だから、あまり学校に残って可愛い彼女(ここ重要)とイチャイチャするって発想が無いのよね。うぅ……)


「と、とりあえず! そこまで噂になっているのなら調べる必要がありそうね! ウフフ……♪」

「こ、コホン……そ、そうだな。朝倉さんがそういうのなら調べるしかないだろう」

「アハハ……正直、こんな形で決定するのは少し予想外でしたけどぉ……でも、これで今夜は肝試し――もとい! 夜の学校心霊調査に決まりですねぇ~キャピ!

「ちょ、ちょっと! 姉ヶ崎さん!? 今なんて言ったのかな? かな!?」

「ねぇ、ねぇ、何で夜中の学校で目撃者がいるの? ねぇ? ねってば!?」





「というわけで、一度家に帰った後に飯を食って夜の学校に再集合となったわけだが……」

「私の作った『特製家系ちゃんこ鍋』のおかげで、今の安藤くんは満腹よ!」 スカーン!

「べ、別に……僕は怖いわけじゃないんだ……しし、しかし、やっぱり夜の学校に先生の許可なく入るというのはいかがなものかとだな! だだ、だから、帰るのなら今のうちだぞ! べ、別に、怖いわけじゃないんだからな!?」

「石田くん? 一応、許可なら姉ヶ崎さんがすでに取ったって言ってたよ……?」


(本当かは怪しいけど、けど……)


「何で言い出しっぺの姉ヶ崎が……すっぽかしているんだよぉおおおおおおお!?」


『センパァ~イ、ゴメンなさい♪ 急に用事ができたんで、調査はセンパイ達に任せますね! あ、ちゃんと学校に入る許可は先生達からもらっているんで心配しなくていいですよキャピ!


「何このメール! ふざけてんの!? あいつ、自分で案件持ってきたくせにやりたい放題し過ぎだろ……」

「まぁまぁ、安藤くん。私もあの後軽く調べたけど、夜中の学校の屋上に女子生徒が現れるって噂は本当に流れているみたいだから……どのみち調査は必要になるんだからね?」

「フム……そそ、そうだな……。その噂が本当にあるということは、幽霊などではなく! そう決してなく! 誰かの人為的なイタズラ、または何者かが許可なく深夜の学校に忍び込んでいるという可能性があるわけだな! むしろ、それ以外の可能性なんてありえないだろう……はず……そ、そうだ……けけ、決して幽霊なんて!」

「ハッ……なんだよ。石田、お前もしかして幽霊とか苦手なのか?」

「バババババ、バカを言うな安藤!? ぼぼぼぼ、僕が幽霊ごときにびびびb、ビビッてなどいるわけないだろう!?」

「じゃあ、それを証明するために最初は石田一人で屋上まで行ってくる?」

「…………」 プルプル

「うん、分かった。石田、冗談だよ。だから、そんな火サスで断崖絶壁にまで追い詰められた真犯人みたいな涙目で俺を見るなって……」

「そ、そうだな! 安藤、君がどうしても怖くて皆で行くというのなら仕方ないな!」

「この野郎……」


(途中で適当な空き教室の中に閉じ込めてやろうかな……)


「石田くんが怖いの苦手だったのは意外だったけど……藤林さんは怖いのは大丈夫なのかしら?」

「えっと、えっと……私はオバケとかは別に大丈夫……かな? 映画とかでもホラーは好きだし……」

「そうなの? 藤林さんにしては意外な趣味ね」


(私はちょっと、こういうホラー的なのは苦手だけど……それこそ、屋上の目撃情報も、石田くんが言ったみたいに誰がの人為的なイタズラであって欲しいわ)


「で、でも……私だって夜の学校は怖い……よ? それこそ逆に『ホラー』じゃない方が怖いみたいな……?」


(((ん? ホラーじゃない方が怖い……?)))


「藤林さん、それはどういう意味かしら?」

「えっと、えっと……だって、オバケなんか信じるより…ただの『人間』がこんな夜中の学校に忍び込んで屋上で何かをしているとしたら……その方が恐くないかな?

 もしかしたら、だけど……


 例えば、一人の女子生徒が誰かと夜の学校の屋上に忍び込んで……その場で何かしらの揉め事が原因で相手を殺害しちゃったりしてだよ?

 女子生徒はその死体をとりあえず学校の屋上に隠すんだけど、翌日に夜の学校の屋上で女子生徒を見たって噂が学校に流れちゃって……

 それを聞いた女子生徒は誰かが屋上に来る前に隠した死体を夜中の間にこっそりと別の場所へ捨てに行くの……

 でも、一度に多くの『もの』は運べないから、女子生徒はそれを細かく『分けて』毎晩少しづつ『それ』を何処かに捨てているんだよ……。

 噂が流れてから時間は立っているみたいだから、すでに屋上にその証拠はないかもしれないけど……

 もしかしたら、まだ屋上の何処かにその『残り』が――、


 って、みたいな感じの方が怖くない……かな? かな?」


「「…………」」 ゴクリ


((藤林さんの方が『恐い』……))


「もう嫌だぁ……お家帰るぅ……」 プルプル ← 震える石田くん





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪

 実はこの話は一話完結で終わって、来週の18日から別の話を毎日更新するつもりだったんだけど……

 意外と長くなりそうだから、次回18日からの毎日更新に続くわよ♪


 それと、何故かの2巻の店舗特典の情報が公開されたわよ」



【第2巻 店舗特典情報!】


☆アニメイト様☆


【アニメイト特典 出井愛書き下ろしSSペーパー】

「朝倉さんと大根役者」 『何故かの』2巻、朝倉さんの裏話



☆ゲーマーズ様☆


【ゲーマーズ特典 出井愛書き下ろし4Pリーフレット】

「委員長と待ち人」 『何故かの』2巻、委員長の裏話



☆メロンブックス様☆


【メロンブックス特典 出井愛書き下ろし4Pリーフレット】

「桃井さんと初メール」 『何故かの』2巻、桃井さんの裏話



☆とらのあな様☆

【とらのあな特典 出井愛書き下ろし4Pリーフレット】

「妹ちゃんと噂話」 『何故かの』2巻、妹ちゃんの後日談



☆電子書籍☆

【電子書籍用 出井愛書き下ろしSS】

「安藤くんと脚本と欲望」 『何故かの』2巻、安藤くんの裏話




「今回は「アニメイト」「ゲーマーズ」「メロンブックス」「とらのあな」の4店舗と電子書籍の系、5個分の特典SSがあるわ。

 もちろん、皆はわたしがメインの特典SSがある「ゲーマーズ」で買うわよね? クフフ……♪


 さーて、次回の『何故かの』は?」


次回「恐怖を凌駕するもの」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ? 

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



 チョキかな?



    チョキかも?



チョキじゃない?




         チョキだったりして……

















 最近じゃんけんで『チョキ』出していたかしら……?


















【グー!】


「皆のコメント、評価、待ってるわね♪」




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