第223話「玉入れ」
『次の競技は「玉入れ」です♪ この競技は入れた玉の数がそのままポイントになるので是非、頑張ってくださいね♪』
「おっしゃあああああ! 玉入れと言ったら誰だ? そーれーはぁぁあああー俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だ!俺だぁああああああああ!
そう、この山田様だぁああああああああああああああ!」
「山田、うるせぇえ! 隣でバカでかい声を出すな!」
「なんだよ~? 吉田の方だってでかい声出してるじゃんか?」
「それはお前の所為なんだけどな!?」
「ウェーイ!」
「フン! まったく、うるさい連中だ……安藤、キミはこんな奴らと組んで、本当に北高に勝てると思っているのか?」
「石田、そういうなよ……奴ら三バカはあれでも『野球部』なんだぞ? この競技は玉を投げるコントロール力が武器になるから、あれでも立派な戦力なんだよ」
「そ、そうか……しかしだな?」
「いや、そもそも、石田はどうなん? この『玉入れ』って、確か野球部以外の人間は運動能力が低い奴を優先的にエントリーさせたはずだけど……お前もその一人だろ?」
(この合同体育祭ってすげぇー面倒なルールで、全ての生徒を最低一回は何処かの競技に一回は入れなきゃいけないんだよね……。でも、合同体育祭って二つの学校が参加するから参加人数も多いし、その分出れる競技も少なくなってくる。だから、全クラスの参加種目の希望を取った上で、生徒会がいい感じに全生徒が参加出来るように競技のエントリーを決めるんだけど……その中で非常に重要になるのがこの団体参加競技なんだよな。
さっきの「短距離走」とか「障害物リレー」は何組かに分けて何試合も行うけど、団体競技は基本一回きりだ。そして、その一回の競技に参加できる人数がかなり多い。だから、競技のエントリーを決める中で運動が得意じゃない生徒は基本的に「玉入れ」や「綱引き」などの団体競技に参加させられるわけだけど……)
「うぐっ! そ、それは――そうだが……安藤! そういうキミだってそうじゃないのか!?」
「石田ァ! 俺を侮るな……俺は運動が出来ないからここにいるんじゃない!」
「なっ! あ、安藤……まさか、キミは運動が得意だとでも――」
「いいか? 俺はなぁああ! 運動が『できない』じゃなくて『したくない』から! あえて、この場所にいるんだよ!」
(いや、だって体育祭なんて疲れるだけだし、別に個人競技なんて参加しなくていいじゃん? だって、こっちは生徒会で準備もしてヘロヘロなんだよ?)
「安藤……キミって奴は……」
「あ、石田! お前さては俺のことを『運動ができないぼっち』だと思ってるんだろ! ハッ! ぼっちの全てが運動できないと思ったら大間違いだからな? こう見えても俺は学年の長距離マラソンで『48位』なんだぜ!」
「いや、安藤……。それ学年の半分よりちょっと上くらいじゃないか? 正直、その成績で威張られても微妙なんだが……」
「じゃあ、そういう石田は何位だったんだよ?」
「『120位』だ」
「学年で一番下じゃねぇか!」
(……え! 石田が体力テストの結果が酷いってのは聞いてたけど、そんなにヤバイの!? だって、学年の長距離マラソンって男女混合だぞ?)
「えーと……因みに、藤林さんは?」
「……『112位』だ」
「おぅ……」
「因みに、安藤……朝倉さんは長距離マラソン何位だったんだ?」
「そうか、石田はビリだから知らないのか……」
「ビリじゃない! 『120位』だ――って、ん? ま、まさか……」
「あぁ、朝倉さんの順位は『1位』だよ」
「…………」
「…………」
((
「石田……『玉入れ』はコントロールだ! 『体力』や『足の速さ』なんて関係ない!」
「あ、安藤……そうだな! キミは本当に偶にだが良いことを言う男だ!」
「「『玉入れ』勝つぞぉー!」」
「……ねぇ、藤林さん。安藤くんと石田くんってあんなに仲良かったかしら……?」
「朝倉さん! そんなことより、二人を応援しないと! あ、えーと……い、石田くん! が、頑張ってぇ……っ!」
「もう、藤林さんったら、それじゃ全然声が出ていないじゃない? 応援って言うのはこうするのよ! ムキャァアア~~ッ! 安藤くぅうーーん! がんばってぇええええええええええええ!」
(負けたら、もう一度お仕置きなんだからね!)
『はぁーい♪ 「玉入れ」の結果はぁ~~?
北高が「112個」で、南高が「81個」なので……北高の勝利でーす!』
「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」 ←北高生
「ハッハッハッハ! またしても、この僕が勝利を収めてしまったみたいだね? フッ……知ってみたいものだね? 敗北の味というのを、ね
「流石は、坊ちゃまです……。現状、ご自身が一度も競技に出てもおらず、他者の持ち運んだ勝利でそこまで悦に入られるお方はこの世で坊ちゃましか存在しないでしょう。この早坂、坊ちゃまの安直でのんきな様に御見それいたしました(訳:お前、能天気だな)」
「ハッハッハッハ! 早坂、僕をそんなに褒め称えなくてもいいんだ、よ
「ガァーーハッハッハッハッハッ! どうだ! お前ら見たか!? この玉入れで一番多くの玉を入れた男の名は誰だぁ~? そーれーーはぁああーーーーっ!
俺だ俺だ俺た俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だぁあああああああああああああああっ! この、山田様だぁああああああああああああああああ!」
「ウェエエエエエーーイ!」
「なにぃい!? 沢渡! お前の方が多く入れたってだと!?」
「ウェーイ!」
「いいや、俺の方が多かった! だって、俺は『20個』も玉を入れたからな!」
「ウェーイ!」
「はぁあ!? 自分は『21個』だって! なら、俺は『22個』だぜ!」
「ウ、ウエェーイ!?」
「お前ら、いつまでバカな話してんだよ……。ほら、次の競技が始まるからクラスの方に戻るぞ?」
「吉田、聞いてくれよ! だって、沢渡の奴が!」
「ウェーイ!?」
「はいはい……そんなのどうでも良いだろ? だって、一番多くの玉を入れたのは『24個』の玉を入れた……この、吉田様なんだからなぁ!」 ← ゲス顔
「はぁあああああああああ!? てめぇ、このハゲふざけんな! おまえぇが『24個』なら、俺は『60個』だ!」
「誰が『ハゲ』だゴラァアア! 山田ァ! てめぇそれ、入れた玉の合計が合わなくなるじゃねぇえか! お前は計算もできねぇのか!」
「ウェェエーーイ!」
「おいコラ、石田ァ! お前が玉を全然入れない所為で玉入れも北高に負けちまったじゃねぇかよ! お前、勉強はできる癖に運動はコントロールも含めてからっきしじゃねぇか!?」
「な、なんだと……くっ、安藤ォ! そういうキミだって、僕のことを言えるのか!? この結果は僕だけじゃなく、キミにも責任があるんだぞ! 僕は確かにコントロールはなかったが、それでも数個は玉を入れることが出来た! しかし、その僕に比べてキミの玉は投げる側から見当ハズレの方向に全部行ってたじゃないか? もし、僕がコントロールからっきしと言うのなら、安藤! キミはノーコンだ!」
「誰がノーコンじゃい!? アレは玉とか風が悪いんだよ! だって、俺はちゃんと狙って投げてるのに、投げる側から球が変な方向に行くんだもん! それに、俺の投げた球だって、ちゃんと入ってますぅーっ! アレだけ投げたんだから一、二個くらいは入っているだろ! それよりも、お前こそ『入れた』とか嘘言うんじゃねぇよ!」
「嘘じゃない! ちゃんと僕の玉は入ってたんだ!」
「ありえないね! 入ったのは俺の投げた球ですぅ~!」
「ノーコンのキミの玉が入るわけないだろ!」
「ああぁん!? それはこっちのセリフだ! このからっきし副会長!」
「ななな……なんだとぉおおお! このノーコンヒモ会長!」
「からっきし、からっきし、からっきし、からっきし!」
「ノーコン、ノーコン、ノーコン、ノーコン!」
「……ねぇ、朝倉さん。二人の仲が――えーと、なんだっけ?」
「ご、ごめんなさい……。ハッ! 藤林さん、そんなことより、ほら! 二人を止めないと! ね、ね!?」
((もう! 二人とも戻ったらお説教なんだからね!))
玉入れ 個人結果 吉田『24個』 沢渡『21個』 山田『19個』
安藤くんと石田くん『
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ♪
次回 のタイトルは『借り物競走』っと言ったわね……アレは嘘予告よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ! 出す手は決まった? もちろん、私は決めてるわ。じゃあ、いくわよ?
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【グー】
「皆のコメント、評価、待ってるわ♪」
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