第129話「選挙カー山田」
『それでは、ただいまより各立候補者の演説を始めます。生徒の皆さんは興味のある立候補者の演説会場にご移動ください』
【学校の中庭】
石田くん、演説スペース
「僕が生徒会長になったら、まずは各部活動の予算を見直し、その削減した予算で学校の暖房器具の充実を図る予定です!」
「「「キャァアアア! 石田くーーん♪」」」 ←観客の生徒達
【学校の校庭】
朝倉さん、演説スペース
「私は生徒会長になったら、先ほどの討論会での意見を取り入れ、食堂を放課後はカフェテリアとして開放し、購買だけでなく飲み物やスナック菓子類の自動販売機の種類を充実させて、その利益を学食の改善に回したいと思います」
「「「ワァアアアアアアアア! 朝倉さぁーーん!」」」 ←観客の生徒達
【校舎裏の駐車場】
安藤くん、演説スペース
「…………ねぇ、委員長」
「…………何かしら、安藤くん?」
「これさぁ……演説しても意味ないよね?」
【観客の生徒 0人】 シーン
「そうね」
(流石は安藤くん、支持率が上がったというのに誰も安藤くんの演説スペースに来ないわ。支持率6%は伊達じゃないわね……)
「てか、何で俺の演説会場だけ、こんな人気の無い寂しい場所なんだよ!? 石田とか、学校の休憩スペースで人気の中庭だし、朝倉さんなんか学校真前の広い校庭じゃん! それなのに、俺だけ『校舎裏の駐車場』って……こんな場所、普段車で学校に来る職員しか知らんわ!
てか、むしろ学校の裏に駐車場があるのを俺は今日始めて知ったんだけど!」
「まぁ、普段学校の校舎裏なんて誰も来ないわよね……下手したら、他の生徒も安藤くんが何処で演説しているのか知らないんじゃないの? てか、この配置を考えた人物って安藤くんに何か恨みでもあるんじゃないの?」
「この配置を考えた奴ね…………」
『オッホッホッホ! 貴方なんかどうせ人が集まらないのですから、広いスペースを与えるだけ土地の無駄ですわ!』 ペッターーン!
「うーん、心当たりのある人物が一人だけいるような気が……」
(一瞬、あの偽造カップの言葉が脳裏をよぎったが……まさか?)
「でも、どうする? 実際、人が来なきゃ演説もクソもないぞ?」
「一応は……各所を山田に呼び込みしながら走らせているから、もしかしたら誰か来てくれるかもしれないわよ」
「山田か……呼び込みの人材がそもそも不安なんだよな」
「そうは言っても、他に人がいないんだから仕方ないじゃない。もともと山田に期待なんてしていないんだから、誰か一人でも来てくれれば儲けものよ」
「そうだな」
その頃の山田
「ヘイ! おいら山田だよ! 選挙演説の手伝いで走ってるんだぜ! 応援宜しくな! おう! 俺は山田だ! 皆、聞けぇえええええええ! 選挙してるっぞおおおお! 演説してるぞおおおおおおおおお! 絶対来てくれよなぁああああああああ!」
「「「うるせぇええ! 山田、黙ってろ!」」」
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう! 委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は?」
山田の活動は無意味に終わり、安藤くんの演説会場には誰も観客が来ないまま終わりの時間を迎えようとしていた。
しかし、そんな哀れな安藤くんを笑い者にしようとする下級生が安藤くん達の前に現れて――
次回、何故かの 「冷やかし」 よろしくお願いします!
「うーん、委員長がメロンだとすると、この子はレモンだな」
* 次回予告の内容は嘘予告になる可能性もあります。
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