第83話「料金プラン」
「お会計が800円になります。こちらレシートです。
ありがとうございましたー」
(けっ……もう来るな! それか爆発しろ! このバカップルが!)
「安藤くん、本当におごってもらってよかったの?」
「うん、彼氏なんだしこれは一週間も朝倉さんを放っていたお詫びって事で俺が払うよ」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかしら♪」
(流石にあそこまで騒いだ後じゃ、あのファミレスにもいづらいから出てきたけど……さて、これから何処に行こう?)
「朝倉さん、この後だけど何処か行きたいところはあるかな?」
「そうね……確か安藤くんの携帯の機種ってハードバンクよね?」
「そうだよ」
「じゃあ、ハードバンクの携帯ショップに行きたいわ」
「携帯ショップ? 何でまた?」
(携帯ショップってデートの定番だっけ?)
「安藤くんは『カップル割』って知っているかしら?」
「確か、登録したカップル同士の通話やメールが安くなるんだよね? って、もしかして――」
「そうよ! 私達せっかくカップルなんだから登録しておきたいじゃない!」
「別にいいけど……正直、俺そんなに電話とかメールしない性格だよ?」
(実際に、朝倉さんへの連絡を一週間近く放置したくらいだからな)
「むしろ、それの対策もかねてよ!」
「対策?」
「そう! 安藤くんも言うとおりこのままだと夏休みの間、安藤くんは私のことなんか忘れて連絡もせずに夏休み中はラノベを読んで終る可能性が高いわ」
「うっ……」
(否定できない)
「だから、これからは毎晩、安藤くんには私と電話でお話してもらいます!」
「毎晩!? てか、お話って何を話すのさ?」
「そんなの何でもいいのよ。今日は何があったってお互いの近況を報告してもいいし、それこそ学校で話すみたいな内容でもいいわ! むしろ、学校で会う機会が無いのだから、せめて電話でのやり取りを続ければ次のデートも決めやすいでしょ?」
「なるほど……それで、そのためのカップル割なんだね?」
「そうよ!」
(本当は毎日会えるのが一番だけど……でも、外に出ると基本ファミレスでお金とか使っちゃうし安藤くんの予定もあるから毎日会うのは厳しいでしょう。でも、電話ならカップル割にさえしておけば一定金額の通話料ですむわ)
(なるほど、確かに朝倉さんの言い分ももっともだ。だけど……)
「でもさ、連絡を取るだけならメールとかメッセージでもいいんじゃないの? それに、今ならLane(レイン)とか無料通話のアプリもあるし……別に携帯ショップでカップル割にしなくてもいんじゃないかな?」
(俺も『ぼっち』だからそういう通話アプリ系には詳しくなくても、妹との連絡ではもっぱらLane(レイン)のアプリを使っているから今更普通の電話と言うのも――)
「だ、だって……カップル割なら、私と安藤くんが『恋人』だって実感が持てるじゃない……」
(何これ!? 俺の彼女メッチャ可愛い!) ズッキューーン!
「べ、別に! 安藤くんと確かな絆みたいなのをちゃんとした書類上の契約で形に残したいなんて乙女的な理由じゃなくて! そ、そう! カップル割なら大好きな安藤くんの声を聞きたい時に毎日聞けるから――って、私は何を言っているのよぉおおおおおお! それじゃアプリの無料通話でも同じじゃない!」
「朝倉さん……」
(本当、俺の彼女はなんて世界一可愛い美少女なんだろう……)
「あ、安藤くん! 違うの! とにかく、カップル割にすると『ハゲてるお父さんストラップ』が特典でもらえるからで――」
「うん、じゃあカップル割にしようか。朝倉さん」
「へ……い、いいの?」
「もちろん! だって、俺も朝倉さんの声を毎日聞きたいからね」
「あ、安藤くん……うん!」
(朝倉さんは一見すると完璧な美少女だけど、その中身は意外とスカスカでポンコツなんだから、それを知っている俺がちゃんとしないと駄目だよな……
だって、俺はこの超絶可愛い女の子の彼氏なんだから!)
「じゃあ、さっそく近くの携帯ショップに行こうか? 朝倉さん」
「うん、安藤くん! デヘヘェ~♪」
(うわ! 朝倉さん、こんな道の真ん中で俺の腕に抱きつくとかちょっと大胆すぎじゃないですか!? 彼女とは言え、やわらかい腕の感触が『ぼっち』には刺激が強すぎるんですけど!)
(うへへ~~♪ 付き合っているんだしこれくらいはいいわよね? 私決めたわ。安藤くんは確かに少し『おっぱいが好き』すぎる所があるわ……でも、だからと言って私に魅力が無いわけじゃないって言ってくれた。だから、私はこれからはより積極的に安藤くんへアプローチをかけてあげるのよ! 安藤くんが他の女の子の『おっぱい』に余所見しないくらいに、甘えてあげるんだから! で、でも、それで安藤くんの『エッチな欲望』が爆発したら……
キャァアーーッ! 私ったらなんて事を考えているのよ! べ、別に、期待とかしていないんだからね!)
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