第114話 誕生日

 今日は誕生日だった。

 何事も無く、過ぎていく時間。


 昨年は、それが空しくて、彼女をデリヘル嬢として呼んだ。

 コンビニのケーキを自分で買って、誰かに祝ってほしかったのだろう。


 結局、ホテルを出て家に帰ると空しいだけ。

「おめでとう」

 その言葉すら有料なのだから…。


 今年は、メールすらこないだろう。

 元々、彼女は僕の誕生日を覚えているとは思えない。


 たまたま、バイトも休みでホテルにも行かなくていい。

 彼女は僕の誕生日にホテルで誰かに抱かれている。


 いつもとなんら変わらない日。

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