第93話 見ることすら

 意図的か…たまたまか…彼女の姿をモニターで見れない。

 僕の勤務時間と彼女の出勤が合わない。


 見れたからどうだということはない。

 見れないからなんだということもない。


 僕は彼女に触れることすらできない。

 それは、視力を失うことと同じくらい怖い。

 彼女だけをこの目に映していたい…古いモニターは彼女を映してくれない。


 擦り切れたような細切れの映像を流し続けるモニターを知らない嬢が横切って行く…オマエなんか興味が無い。


 ただ彼女が…それだけでいいのに…それだけが映らない。

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